【60番札所横峰寺】伊予の國の「関所寺」である山岳信仰の霊地の雪景色

西日本最高峰「石鎚山」の中腹にある60番札所横峰寺は、昔から山岳信仰の霊地で、伊予の國の「関所寺」です。2月下旬でも雪が残る厳寒のお寺で、あたたかいお接待をいただきました。

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遍路ころがしを制覇した先には伊予の國の「関所寺」

60番札所横峰寺は標高1982mの西日本最高峰「石鎚山(いしづちさん)」の北側中腹の標高750m地点に位置し、歩きでお寺にたどり着くためには歩き遍路にとっての難所「遍路ころがし」を制覇する必要があります。

※遍路ころがしに関しては、以下タグリンクの記事もぜひご覧ください。

四国遍路「遍路ころがし」タグ

湯波(ゆうなみ)休憩所から、未舗装登山道に入り、妙谷川沿いのワイルドな急坂遍路道(距離約2km、標高差約400m)を登りきって、お寺になんとかたどり着きました。
※横峰寺への遍路ころがしの様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

【60番札所横峰寺への遍路道】石鎚山のふもとから中腹の横峰寺への歩き遍路登山ルート

お寺の入口では山門(仁王門)がお出迎えしてくれるのですが、車で登ってくるお遍路さんは山門をくぐらず、お寺の裏の方から境内に入るルートになるので、表参道から境内に入ることができるのは、歩き遍路の特権です。

横峰寺 山門

山登りの難所では、坂の下から目的地が見えたときの感動は格別なものです。横峰寺の山門のこの角度からの眺めもお気に入りのひとつです。

このようにお寺にたどり着くのにたいへん苦労をすることから、伊予の國の「関所寺」にもなっています。
関所寺とは、各県に1カ所ずつ関所寺とされている札所があり「お大師さまの審判を受け、邪悪なものは先に進めない」とされているお寺のことです。
たしかに、伊予の國の中では、お寺にたどり着く苦労でいえば、ここ横峰寺が断トツだと思います。
※関所寺に関しては、以下タグリンクの記事もぜひご覧ください。

四国遍路「関所寺」タグ

 

山岳信仰の霊地は身を切り裂くようなするどい空気

横峰寺の縁起によると、飛鳥時代にさかのぼり白雉2年(651年)に役行者小角が石鎚山頂で修行をしていたところ、蔵王権現が現れたのでその姿を石楠花の木に刻んで堂に安置したのが始まりとされています。
石鎚山は昔から山岳信仰の霊地であり、修験道の道場でもあって、空海も若いころに厳しい修行をしたようで、横峰寺を拠点にして山頂に向かっていたようです。
空海は大同年間(806〜10年)に厄除けと開運祈願の星供養の修法を行い、その際に彫像安置したとされる「大日如来像」は現在も残っており、愛媛県の有形文化財に指定されています。

横峰寺 本堂

元の石鈇社跡に建つ本堂は、神社建築でよく見られる権現造りで、神仏習合の歴史を色濃く残しています。

私が横峰寺を訪れたのは2月下旬で、歩き遍路をスタートした1月下旬に比べるとだいぶ気温が上がってはきていたのですが、横峰寺は下界とはまったく違う身を切るような寒さでした。
上の本堂の写真でお気づきになったかもしれませんが、雪も残っています。
冬季は林道が車両通行止めにもなるそうなので、単純に標高が高いだけではなく、厳しい自然環境にさらされているお寺であるからこそ、霊地にふさわしいのだと思います。
ただ寒いだけではなく、身を切り裂くような空気は、気持ちを引き締めてくれるように感じました。

 

身も心も温まるしょうが湯のお接待と通夜堂

気持ちが引き締まるとはいえ、この寒さは体にこたえます。
しかも、遍路ころがしではかなり汗をかいていたので、汗冷えもしてきました。

震えながら参拝を終わらせ、納経所に行くと、ストーブでとても温かく、しかも広々した休憩スペースがあって、休ませていただくことができました。
しかも、住職から身も心もあたたまるお接待をいただきました。

横峰寺 しょうが湯 お接待

この寒い中ではたいへんありがたいしょうが湯のお接待です。住職とお話もさせていただき、遍路ころがしの苦労が吹き飛びました。

また、納経所の横には休憩所兼通夜堂の小屋もあり、宿泊もさせていただけるとのことです。
冬の時期にここに泊まるのは寒さ対策がかなり必要だとは思いますが、山の難所のお寺の登り下りはスケジュールコントロールが難しく、トラブルもつきものなので、このような施設を用意してくださっていると安心です。

私は朝9時頃に山のふもとから登り始め、昼前にはお寺に到着したので、お寺に宿泊はせずにそのまま下山しました
横峰寺の参拝は丸1日は時間をみておいた方がよいので、スケジュールを綿密に、前後の宿泊場所確保も慎重に行ってください。
ちなみに境内に飲み物の自動販売機があるのですが、冬季は補充ができないのか、使用中止になっていました。
飲食物の調達も万全にして、霊山・石鎚山に登りましょう。

横峰寺 休憩所兼通夜堂

休憩所兼通夜堂の中には、長机と長椅子を設置してくださっていました。雨風をしっかりしのぐことができるだけでもたいへんありがたい施設です。

 

60番札所横峰寺は、霊地ならでは空気を存分に味わうことができるお寺で、気温は低く寒かったのですが、身も心もあたたまるお接待をいただくことができ、遍路ころがし制覇の達成感がより高まりました。
今回の遍路旅では立ち寄らなかったのですが、奥の院である「星ヶ森」や石鎚山頂の「石鎚神社」では、さらに違った空気を感じることができるのだと思います。
いつか横峰寺から石鎚山に登ってみたいと思い残して、下山を開始しました。

 

【60番札所】   石鈇山 福智院 横峰寺(いしづちさん ふくちいん よこみねじ)
宗派: 真言宗御室派
本尊: 大日如来
真言: おん あびらうんけん ばざらだどばん
開基: 役行者小角
住所: 愛媛県西条市小松町石鎚甲2253
電話: 0897-59-0142

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この記事を書いた人

お遍路さん初心者です。  2015年1月20日(火)に1番札所を出発し、2015年3月1日(日)に41日間で88番札所で通し歩き結願を果たすことができました。 2015年4月12・13日の2日間で、開創1200年で盛り上がる高野山にお礼参りにも行ってきました。 自身の通し歩き遍路体験を元にお役立ち情報を発信しています。