【48番札所西林寺】小川を渡って山門をくぐれば見事な庭園が広がる静謐なお寺

48番札所西林寺は、お寺の前に小川が流れ、小さな橋を渡って、山門をくぐれば、見事な庭園が広がり、静謐な空気が流れるお寺です。お大師さまゆかりの清水の伝説が残る「杖ノ淵」が奥の院です。

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小さな橋で小川を渡り山門をくぐる

47番札所八坂寺を出発し、四国遍路の元祖「衛門三郎」ゆかりの文殊院・札始大師堂に立ち寄ってから、一級河川「重信川」を久谷大橋で渡り、松山自動車道の下をくぐってから、住宅街方向に進むと、ほどなくして48番札所西林寺(さいりんじ)の山門が目に入ります。

山門の前には、小川が流れ小さな橋を渡ってから、石段を数段下りて山門に向かいます。
いろいろな札所を思い起こしてみても、段を下ってお寺に入ることは非常に珍しいです。

西林寺 山門前橋

お寺側から見た山門前の小さな橋。お寺直前に川が流れ、橋があるもの珍しいです。

西林寺 山門

「山門」は入母屋造りの立派な仁王門です。きれいに手入れされた松の木とのバランスがすばらしい。

西林寺の縁起は奈良時代にさかのぼり、天平13年(741年)に行基菩薩が聖武天皇勅願で伊予国司の越智玉純公とともに伊予一宮別当寺として堂宇を建立したそうで、その地は現在の松山市小野播磨塚あたりの「徳威の里」とされ、大同2年(807年)に空海が四国の霊跡を巡礼した際この寺に逗留し、ここで空海は国司の越智実勝公と協議、寺をいまの地に移して四国霊場と定め、国家の安泰を祈願する道場とされたとのことです。

創建時は山深い場所にお寺が建てられたようですが、今は田畑や住宅が広がる平地で、しかも道路から少し下ってお寺にアプローチするという環境の変わりようです。

 

境内は見事な庭園の広がる静謐な空間

山門の前からも、手入れのいきとどいた松の木に気配を感じましたが、西林寺の境内はいろいろな木が計算された剪定で絶妙に配置された庭園になっています。
広さはコンパクトながらも、お堂のたたずまいと相まって、静謐な空気が流れていました。

西林寺 庭園

松の木と色鮮やかな木のバランスが絶妙です。山門前にもありましたが、石燈籠が多く設置されているお寺でもあります。

西林寺 閻魔堂 庭園

閻魔堂を囲むように、様々な種類の木が絶妙に配置されています。

西林寺 本堂

火災で焼失したのち、宝永4年(1707年)に再建された本堂の前にもすくっと伸びる松の木があります。

西林寺 水子地蔵

コンパクトな境内の中に、数々のお堂があり、水子地蔵のお堂は天然木に屋根をつけた珍しい形態でした。

 

お大師さまゆかりの清水の伝説が残る奥の院「杖ノ淵」

西林寺には空海ゆかりの清水の伝説が残っており、空海がお寺に逗留した際、干ばつに苦しんでいた周辺の村人を救うために錫杖を突き、近くで清水の水脈を見つけたそうです。
お寺の西方向300mほどの距離の場所で、現在は奥の院「杖ノ淵(じょうのふち)とされ、今でも涸れることなく水が湧き出し、昭和60年の「全国の名水百選」にも選ばれ、地域の方々に利用されています。
この清水があることで、清流にしか自生しない「ていれぎ」という珍しい水草が育つことでも有名で、「ていれぎ」は松山市の天然記念物にも指定されています。

奥の院「杖ノ淵」に関しては、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

【48番札所奥の院杖ノ淵】お大師さまゆかりの清水が湧き出る公園は安心の野宿スポット

西林寺 奥の院 杖ノ淵 弘法大師像

「杖ノ淵」は庭園の中の池の小島にお大師さま像が安置されているとても美しい「奥の院」です。お寺から近いので、ぜひお立ち寄りを。

 

48番札所西林寺は、庭園美の境内に静謐な空気が流れていますので、心穏やかに参拝され、これまた美しい「奥の院」にもぜひお立ち寄りください。

 

【48番札所】  清滝山 安養院 西林寺(せいりゅうざん あんよういん さいりんじ)
宗派: 真言宗豊山派
本尊: 十一面観世音菩薩
真言: おん まか きゃろにきゃ そわか
開基: 行基菩薩
住所: 愛媛県松山市高井町1007
電話: 089-975-0319

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この記事を書いた人

お遍路さん初心者です。  2015年1月20日(火)に1番札所を出発し、2015年3月1日(日)に41日間で88番札所で通し歩き結願を果たすことができました。 2015年4月12・13日の2日間で、開創1200年で盛り上がる高野山にお礼参りにも行ってきました。 自身の通し歩き遍路体験を元にお役立ち情報を発信しています。