久万高原町のお店や観光拠点が立ち並ぶ中心街から、少し歩くと突如杉木立の荘厳な空間が現れます。そこが44番札所大寶寺で、古墳時代を起源とする古刹にふさわしい雰囲気を感じることができました。
久万町商店街では「くままちひなまつり」の準備真っ最中
43番札所明石寺を出発してから約70kmの距離を道中2泊を挟んで3日目にようやく44番札所「大寶寺」がある久万高原町に入ってきました。
この道中では、大洲市、内子町と昔の建造物や観光スポットが多いエリアを歩いてきますし、途中には別格8番札所十夜ヶ橋(とよがはし)があったり、雪の残る「鴇田(ひわた)峠」を越えてきたりと、変化に富んだ遍路道だったので、私は長距離を歩いてきた感覚が薄かったのですが、実は札所間距離が足摺岬と室戸岬に次いで3番目に長い距離なのです。
鴇田峠を越えて、下ってきた先には、久万高原町の中心街が広がり、お店が並ぶ「久万町商店街」で珍しい光景に出くわしたので、写真でご紹介します。
街がこんな状態になっているのは「くままちひなまつり」というイベントが2015年2月22日~4月26日まで開かれることになっており、2015年が初めての第1回とのことで、私が訪れたときは準備の真っ最中だったのです。
このイベントが開催されるきっかけになったのが、同じ四国の徳島県勝浦郡勝浦町で恒例となっている、約3万体のひな人形が飾られる「ビッグひなまつり」を久万高原の町長が見学したことだそうで、展示する「ひな人形」は町内各家にしまわれてものや、町外から寄贈されたものを集めたそうで、町長の「鶴の一声」的な動きでこれほどのものができてしまうのかと、驚きました。
ちなみに、歩き遍路さんへのマメ情報として、久万高原町は観光に力を入れており、街中には清潔で立派な公衆トイレが複数ありますので、ありがたく利用させてもらうとよいと思います。
突如現れる杉木立の荘厳な空間
このような華やかな久万高原町の中心街から1kmもないぐらいの距離を歩いていくと、突如杉木立が現れ、今まで歩いてきた街とは雰囲気も空気も一変します。
ここまで歩いてくるだけでも、お寺の荘厳な雰囲気を感じ、少し恐ろしく感じるほどでもありました。
そして、山門をくぐり境内に入ってすぐ、遍路中の札所で唯一の出来事がありました。
古墳時代創建とされる古刹
これだけの荘厳な雰囲気をかもしだすお寺なので、歴史を相当なもので、創建は古墳時代までさかのぼるといわれていて、百済から来朝した聖僧が、携えてきた十一面観音像を山中に安置し、大宝元年(701年)に安芸(広島)からきた明神右京、隼人という兄弟の狩人が、菅草のなかにあった十一面観音像を見つけ、草庵を結んでこの尊像を祀り、ときの文武天皇(在位697〜707年)はこの奏上を聞き、さっそく勅命を出して寺院を建立、元号にちなんで「大寶寺」と号したそうです。
44番札所大寶寺は、久万高原町の中心街とお寺まわりの雰囲気のギャップを存分に味わい、老木に囲まれた荘厳な境内で心静かにお参りされてみてください。
【44番札所】 | 菅生山 大覚院 大寶寺(すごうざん だいかくいん だいほうじ) |
宗派: | 真言宗豊山派 |
本尊: | 十一面観世音菩薩 |
真言: | おん まか きゃろにきゃ そわか |
開基: | 明神右京・隼人 |
住所: | 愛媛県上浮穴郡久万高原町菅生1173 |
電話: | 0892-21-0044 |