47番札所八坂寺では、極楽と地獄の様子が描かれた絵を見ながら閻魔の裁きを受ける「閻魔堂」と、1年に1回火渡り修行が行われる「いやさか不動尊」に、仏道の厳しさを感じました。
恵心僧都源信作の御本尊「阿弥陀如来坐像」
46番札所浄瑠璃寺でたくさんの奇石にご利益祈願をして1kmほど歩を進めると、47番札所八坂寺に到着します。
43番札所明石寺から44番札所大寳寺までの長距離歩行や、45番札所岩屋寺への「八丁坂」越え、そして46番札所「浄瑠璃寺」への「三坂峠」下りと、直近は札所間で苦労することが多かったので、これだけ近距離での連続参拝はある意味で新鮮でした。
八坂寺の縁起は飛鳥時代にさかのぼり、修験道の開祖「役行者小角(えんのぎょうじゃおずぬ)」が開基と伝えられており、文武天皇(在位697〜707年)の勅願により伊予の国司「越智玉興」が堂塔を建立、このとき8ヶ所の坂道を切り開いて山の中腹に(現在の境内はほぼ平地ですが)創建したことから寺名とし、また、ますます栄えるという意味の「いやさか(八坂)」にも由来しているとのことです。
現在の御本尊「阿弥陀如来坐像」は、浄土教の論理的な基礎を築いた「恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)」が鎌倉後期に彫像したといわれる像高84cm、重さ18kgの寄木造の像で、愛媛県指定有形文化財にも指定され、全国の信者から信奉されています。
御開帳は50年に1度という秘仏ですが、平成26年4月29日~5月6日に四国遍路開創1200年を記念して特別御開帳されたそうです。
極楽と地獄を様子を見て、閻魔の裁きを受ける「閻魔堂」
八坂寺の見どころは、本堂と大師堂の間にある「閻魔堂」で見ることができる「極楽の途」と「地獄の途」の絵図です。
「極楽」には美しい浄土が、「地獄」には餓鬼道、畜生道、修羅道などが描かれていており、極楽と地獄の対照的な様子を眺めながらお堂のまわりを歩くことで、自分が閻魔様の裁きを受けているような気分になります。
写真を撮り忘れたのですが、お寺入口の屋根付き橋のようになった単層小型の珍しい山門の天井には「極楽」の絵が描かれており、色彩鮮やか天井画に極楽にいけるように祈願するとよいと思います。
1年に1回「火渡り修行」が行われる「いやさか不動尊」
八坂寺の歴史をたどると、紀州から熊野権現の分霊や十二社権現を奉祀して修験道の根本道場として隆盛を極めた時期があり、多くの僧が厳しい修行をしていたようです。
その伝統を受け継ぐ象徴が「いやさか不動尊」で、駐車場の一角にまつられています。
平成17年からは「いやさか不動尊」に見守られる形で、炎の中に仏を招き、皆の願い事を叶えてくれるという「柴燈護摩(さいとうごま)火渡り修行」が復興され、昔の修験道が受け継がれています。
ちなみに「いやさか不動尊」がまつられている駐車場の一角には、ありがたい「通夜堂」を設置してくださっていて、お寺に申し出て宿泊することも可能です。
47番札所八坂寺では、「閻魔堂」や「いやさか不動尊」に、脈々と受け継がれる厳しい修験道の雰囲気を感じることができました。
ただし、46番札所浄瑠璃寺から始まった松山市街歩行は修行ではなく、比較的に楽に進むことができることを祈りました。
【47番札所】 | 熊野山 妙見院 八坂寺(くまのざん みょうけんいん やさかじ) |
宗派: | 真言宗醍醐派 |
本尊: | 阿弥陀如来 |
真言: | おん あみりた ていせい からうん |
開基: | 役行者小角 |
住所: | 愛媛県松山市浄瑠璃町八坂773 |
電話: | 089-963-0271 |