足摺岬にある38番札所金剛福寺は、境内が12万平米もある大道場で、四国霊場屈指の石庭が広がっています。そして、はるか南方にあるとされる観音浄土「補陀落」に渡海する入口でもあったのです。
「金剛福寺」の寺名の由来は五鈷杵
37番札所岩本寺から足摺岬へ約80kmの札所間最長距離を歩ききり、38番札所「金剛福寺」にようやく到着です。
ジョン万次郎広場で開催中だった「足摺椿まつり」に偶然遭遇し、しばらく足摺岬観光を楽しんでから、お寺に参拝しました。
※足摺岬観光の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【足摺岬】四国最南端の断崖絶壁に立つ白亜の灯台のふもとで年1回の足摺椿まつりに遭遇
金剛福寺の寺名の「金剛」は空海が唐での修行から帰国する際に日本に投げた「五鈷杵(ごこしょ)」(※密教法具「金剛杵(こんごうしょ)」の一種で、柄に5本の刃がついている)が足摺岬にたどり着いたことから、「福」は「観音経」の「福聚海無量」に由来しているそうです。
空海が唐から投げた金剛杵の伝説は、他のお寺にも残っており、刃が1本の「独鈷杵(とっこしょ)」は36番札所「青龍寺」に、刃が3本の「三鈷杵(さんこしょ)」は高野山の壇上伽藍に、それぞれたどり着いたとされています。
お大師さまは唐からたくさんの金剛杵をお投げになったのですね。
※37番札所青龍寺と高野山「壇上伽藍」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【36番札所青龍寺】元横綱「朝青龍」も登って鍛えた石段が壁の如くそびえる、空海独鈷杵有縁のお寺
【高野山壇上伽藍】開創1200年記念で「中門再建完了」と「御本尊御開帳」は見逃せない
12万平米の境内に広がる見事な石庭
金剛福寺の境内は、12万平米の広大なもので、四国霊場の中でも屈指の広さを誇ります。
そこには多くのお堂や塔、本堂裏には多数の観音像もありますが、私がすばらしいと思ったのはなんといっても奇石の数々です。
境内中央の池を中心に、様々な表情を見せる石が配置されています。
観音浄土「補陀落」に渡海する入口
空海が金剛福寺を開創する際、足摺岬の太平洋の大海原にはるか南方にあるとされる観音浄土「補陀落(ふだらく)」の世界を感じ、ときの嵯峨天皇に奏上、勅願により伽藍を建立したそうです。
昔は、この補陀落に往生するために足摺岬から小舟で海に出る捨身の修行「補陀落渡海(ふだらくとかい)」が行われていたようです。この修行の出発地点としては、和歌山県那智勝浦の「補陀落山寺(ふだらくさんじ)」が有名です。
※参考に「補陀落山寺(ふだらくさんじ)」に関する情報のリンクをはっておきます。
補陀落山寺(和歌山県那智勝浦町観光協会HP): http://www.nachikan.jp/kumano/fudarakusanji/
足摺岬の断崖絶壁から大海原をながめていると、吸い込まれるような気分になりましたが、昔の方々にとっては、極楽浄土を想像しながら厳しい修行をする聖地だったのだと思います。
そのようなことが関連してか、この地には「足摺岬の七不思議」という伝説が残されており、修行僧にとって重要な地であったことを想像させます。
※「足摺岬の七不思議」に関しては、冒頭にもご紹介した以下記事にも情報があります。
【足摺岬】四国最南端の断崖絶壁に立つ白亜の灯台のふもとで年1回の足摺椿まつりに遭遇
金剛福寺の参拝は、札所間最長距離を歩ききった達成感を胸に見事な石庭に圧倒され、足摺岬の聖地としての空気を感じる特別なものとなりました。
【38番札所】 | 蹉跎山 補陀洛院 金剛福寺(さださん ふだらくいん こんごうふくじ) |
宗派: | 真言宗豊山派 |
本尊: | 三面千手観世音菩薩 |
真言: | おん ばざらたらま きりく |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 高知県土佐清水市足摺岬214-1 |
電話: | 0880-88-0038 |