10番札所切幡寺は、切幡山中腹の標高155mに一気に登る坂道と333段の石階段が有名です。本堂・大師堂にたどりつくだけでもくたびれますが、追加の111段を登って「大塔」を拝み、山からの景色をぜひ堪能していただきたいです。
急坂と333段の石階段の序盤の難所
10番札所切幡寺の印象といえば、まずは「急坂と333段の石階段」です。
1番札所霊山寺から歩き始めて、序盤はアップダウンがほとんどないのですが、切幡寺で初めての難所を経験します。
標高155mと聞くと、そんなに高い印象はないかもしれません。
私も登る前はそれほど意識をしていなかったのですが、短い距離で急勾配を登りますので、標高で感じるよりも厳しい登坂です。
歩き遍路さんは大きなザックを背負っている場合が多いですが、登り口参道の「須見光栄堂」さんで荷物を預かっていただけますので、ぜひ身軽にして足への負担を減らして進んでください。
追加111段で国指定重要文化財の「大塔」と山からの景色を堪能
333段の石段を登り終えると、やっとのことで本堂と大師堂にたどり着きます。
そして、ここで参拝して納経してやれやれとならずに、もう111段がんばってみてほしいのです。
本堂左奥方向に、さらに上に登る階段があり、そこを登ると、圧巻の「大塔」に出会えます。
豊臣秀頼が秀吉の菩提を弔うため大阪に建立したものを、明治6年に移築したものだそうで、初重と二重の間が方形で、日本唯一の構造様式とのこと。
そして、更に見逃してはならないのが、大塔を見上げていた目線を後ろに移すと、山の上からの絶景を拝むことができるのです。
写真ではわかりづらいですが、少し先にはこれから渡ることになる大きな「吉野川」を臨むことができ、山・川・街をすっぽりおさめたような景色は見ものです。
これからの旅路で、山や丘の上のお寺は多いのですが、高台から開けた景色を楽しめるお寺は意外と少ないので、切幡寺でぜひ景色を堪能してください。ちなみに切幡寺でも、本堂のある境内までしか登らなかった場合は、このような景色を楽しむことはできません。
私が訪れた際に巡拝者は何人かいたのですが、大塔まで登ったのは私だけで、皆さんもったいないなと思いました。
車遍路さんは333段もパスして、境内近くまで車で来られてしまうので、わざわざ111段登ろうとは思わないかもしれませんね。
おまけの自動給水式手水舎その2
8番札所「熊谷寺」で龍の口から自動で水の出る手水舎を発見してから、手水舎の造りが気になりだしてしまいました。
切幡寺の手水舎も自動給水式。こちらは竹筒で、近づくと複数の穴から上品に少しずつ水が流れてきます。
どうでもいいことのようですが、札所で自分なりの発見をすることも遍路の楽しみだと思います。というのはあくまでもおまけで、切幡寺の「大塔からの景色」をお見逃しのないよう。
【10番札所】 | 得度山 灌頂院 切幡寺(とくどざん かんじょういん きりはたじ) |
宗派: | 高野山真言宗 |
本尊: | 千手観世音菩薩 |
真言: | おん ばざらたらま きりく |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 徳島県阿波市市場町切幡字観音129 |
電話: | 0883-36-3010 |