【25番札所津照寺】海の安全を守る「楫取地蔵」の通称「津寺(つでら)」

室戸市街の小高い丘の上に本堂のある25番札所津照寺は、昔から海の安全を守るお寺とされていました。御本尊の「地蔵菩薩」は、遭難した船の舵を取って室津に入港させたという伝説があり、「楫取地蔵」ともよばれています。

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 小高い山の上から「室津」を見守るお寺

室戸岬の24番札所最御崎寺を打ち終わり、高知南岸へと歩を進めていきますが、25番札所津照寺(しんしょうじ)へは約8kmの道のりで、室戸岬へは80kmほど札所がなかったので、納経を連続して行えることが新鮮に感じます。
そして、何より久しぶりの市街地である室戸市の中心「室津(むろつ)」に入り、お店や地域の人に会えることに妙な安心感を感じました。コンビニを見たのも久しぶりだと思って、写真を撮ったのですが、ローソンが新装開店準備中でした。

室戸市室津 ローソン開店準備中

「ローソン」の開店準備に「アート引越センター」がくるんだと、ちょっと不思議に思いました。色はマッチしちゃってます。

あとから知ったのですが、ここのコンビニは元は地元大手スーパー「サニーマート」が運営する「スリーエフ」だったそうですが、サニーマートがローソンとフランチャイズ契約したため、2015年に入ってから全店舗をローソンに衣替え中とのこと。
ということで、私が歩いていた期間は、開店準備中のローソンをやたらたくさん見ました。
開店準備中ということは営業していないということで、地域によっては食料・飲料の調達に支障をきたすところもありました。
先達さんに聞くところによると、スリーエフは歩き遍路さんにお接待をしてくれるお店もあったようで、私はコンビニのお接待を経験できなかったのは少し残念でした。

話が脱線してしまいましたが、ここ室津は昔から高知と京阪神を結ぶ海路の要衝である港町で、同時に太平洋の波風が強い難所でもあり、室津港は避難港としての役割も果たしていたそうです。

また、捕鯨やマグロ遠洋漁業の基地でもあり、今ではまちにさびれた雰囲気を感じましたが、にぎわっていたころの名残は残っているように思います。

私は津照寺門前の「太田旅館」に宿泊し、まちの散策もしました。津照寺からすぐの船溜まりは、昔の港町の面影がうかがえるオススメスポットです。

室戸市 室津港

このあたりは岩場で、この港を開くために、かなりの苦労があったようです。

この室津港を小高い丘の上から見守るのが津照寺で、地元の人からは「津寺(つでら)」の通称で親しまれています。
大漁と海洋交通安全のお寺として信仰されています。

津照寺 境内

本堂は階段を上がり、竜宮城の門のごとき鐘楼門兼仁王門をくぐり、更に上がった、写真右上にちらっと屋根が見えているところです。

 

遭難した船の舵をとった「楫取地蔵」の伝説

津照寺が海を守るお寺として信仰されている理由のひとつに「楫取地蔵(かじとりじぞう)」の伝説があります。
江戸幕府が開かれる直前の慶長7年秋の頃、山内家初代一豊公が室戸の沖で暴風雨で遭難した際に、どこからともなく大僧が現れ、船の舵を取って船を室津に無事入港させたそうです。入港後、その大僧の姿が見えず、津寺へ参詣してみると御本尊「地蔵菩薩」が濡れており、大僧の正体が地蔵菩薩だったという伝説から、楫取地蔵と呼ばれるようになったとのこと。
また、津寺の本堂が火難に遭った時、地蔵菩薩が僧に身を変えて村人に知らせ、火難を逃れたという伝説もあり、「火事(かじ)とり地蔵」という意味もあるようです。
地域を守り、地域に愛されてきた歴史を感じることのできるエピソードです。

津照寺 本堂

「楫取地蔵」さまがいらっしゃる本堂は、サッシでしっかり守られていました。

 

高知の遍路道は海とのお付き合いがとても長いので、楫取地蔵さまに海での安全を祈願して、土佐の國「修行の道場」をどんどん進んでいきます。

 

【25番札所】  宝珠山 真言院 津照寺(ほうしゅざん しんごんいん しんしょうじ)
宗派: 真言宗豊山派
本尊: 地蔵菩薩
真言: おん かかかび さんまえい そわか
開基: 弘法大師
住所: 高知県室戸市室津2652-イ
電話: 0887-23-0025

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この記事を書いた人

お遍路さん初心者です。  2015年1月20日(火)に1番札所を出発し、2015年3月1日(日)に41日間で88番札所で通し歩き結願を果たすことができました。 2015年4月12・13日の2日間で、開創1200年で盛り上がる高野山にお礼参りにも行ってきました。 自身の通し歩き遍路体験を元にお役立ち情報を発信しています。