土佐の國最後の39番札所延光寺は、赤亀さんが竜宮城から梵鐘を背負って帰ってきた伝説が残るお寺です。お寺にたくさんいる亀さんをしっかり拝んで、「修行の道場」を締めくくります。
西海岸ルートから延光寺へは宿毛市街から打ち戻りあり
足摺岬から西海岸を進む「月山神社・大月海岸ルート」を選択した私は、宿泊していた「ホテルベルリーフ大月」を出発し、「道の駅 ふれあいパーク大月」「道の駅 すくも」で休憩をとりながら国道321号をひたすら歩き、お昼すぎに宿毛市街に入ってきました。
足摺岬からここまでの道のりは約65kmで、39番札所「延光寺」までは宿毛市街から5km以上あるので、札所間距離が実は室戸岬への果てしない歩行並に長いのです。
私の感覚的にはそこまで長くは感じなかったので、土佐の國「修行の道場」を足の痛みに耐え歩いてきて、少しは鍛えられてきたかなとも思いました。
他ルートに比べて距離は長いですが、足摺の海岸線の「竜串・見残し」や、エキサイティングな旧道「大月へんろみち」など、とても印象に残るスポットがたくさんあったので、歩き遍路さんにはぜひ通ってみて欲しいルートです。
ということで宿毛市街では「ホテルベルリーフ大月」と同系列で早々に宿泊予約を入れていた「ホテルアバン宿毛」に立ち寄って荷物を預け、39番札所延光寺を目指します。
※「ホテルアバン宿毛」は手軽に利用できるビジネスホテルでした。詳細情報は以下からご確認ください。
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「月山神社・大月海岸ルート」で少し嫌だったのが、宿毛市街からあまり変化のない国道56号を次の愛媛県方面から遠ざかる方向に5kmほど歩き、まったく同じ道を帰ってこなければいけないところです。
足摺岬から打ち戻りを避けるのもひとつの理由で西海岸ルートを選んだのに、最後の最後でただの国道を5kmも打ち戻りは、精神的に厳しく、延光寺参拝後にバスに乗ろうかとも思ったのですが、以下写真の時刻表のように、私が歩いた昼間の時間帯は便がありません。
ということで、宿毛市街から延光寺の往復2時間、たっぷり歩きました。
ちなみに、延光寺すぐ手前には、田んぼの中や竹林を抜ける風情のある1kmほどの旧遍路道がありますので、少しでも変化をつけるためにそちらを歩いてみてください。
※国道56号からは道標がなく、わかりずらいので、地図を注視しながら進むことをおすすめします。
赤亀さんが竜宮城から梵鐘を背負ってきた伝説
前置きが長くなりましたが、この記事の本題は土佐の國最後の39番札所延光寺です。
このお寺で注目すべきは、なんといっても山号(赤亀山)にもなっている赤亀さんの伝説です。
このお寺は、奈良時代に聖武天皇の勅願で行基菩薩が安産・厄除け祈願の薬師如来を彫像して「亀鶴山施薬院宝光寺」として開創したのが起源ですが、平安時代の延喜11年(911年)に境内にいた赤い亀がいなくなり、しばらくして竜宮城から梵鐘を背負って帰ってきたことから、山号寺名を「赤亀山延光寺」と改めたそうです。
ということで、赤亀さんの伝説が事実かどうかはわかりませんが、ご利益がありそうな亀さんが境内にはたくさんいらっしゃったので、見逃すことなく拝んでいきたいものです。
お大師さま縁起の霊水「宝医水」の「眼洗い井戸」
延光寺にはお大師さま縁起の伝説も残っており、空海がお寺を訪れた際に錫杖で地面を撞いて霊水が湧き出たとされています。「宝医水」と名付けられたその水は特に眼病に効くといわれ、それが現在も「眼洗いの井戸」として残っています。
空海の水にまつわる伝説は四国遍路をしていると、いろいろなところで出くわしますが、昔の水の貴重さ、そして空海が治水知識・技術を持ち合わせ、多くの地域を救ってきたことをうかがわせます。
果てしなく長い距離を歩いた高知県「修行の道場」も、ここ延光寺で、美しい境内と赤亀さんに見守られて打ち納めとなりました。
ここまで進んでこられたことに大いに感謝し、翌日は愛媛県を目指して進んでいきます。
どんな「菩提の道場」が待っていることやら。
【39番札所】 | 赤亀山 寺山院 延光寺(しゃっきざん じさんいん えんこうじ) |
宗派: | 真言宗智山派 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 高知県宿毛市平田町中山390 |
電話: | 0880-66-0225 |