別格9番札所「文殊院」がある場所は、四国遍路の元祖といわれている「衛門三郎」の邸宅があったと伝わっています。
四国遍路の始まりの地ともいえるこのお寺で道中安全祈願をぜひ。

遍路と所縁の深い三坂峠のふもとまち

別格9番札所「文殊院」は、愛媛県松山市の南部「恵原町(えばらまち)」に位置しています。
このあたりの地域は、昔は松山市と高知県方面をつなぐ旧土佐街道が通っていて、平野部から急峻な三坂峠(みさかとうげ)を隔てて久万高原に至る交通の要衝でした。
遍路においても、44番札所「大寳寺」45番札所「岩屋寺」がある久万高原から、三坂峠を下り、46番札所「浄瑠璃寺」47番札所「八坂寺」から48番札所「西林寺」に至る道程にあたり、札所密集地域であるほか、「網掛石(あみかけいし)」などの遍路関連史跡も多いエリアです。
※「三坂峠」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

「三坂峠」を一気に下り、お大師さまが運んだ巨石「網掛石」を見学【久万高原町→松山市】

47番札所「八坂寺」を出発して約1km、それほど距離なくたどり着く八十八ヶ所参りの遍路道沿いに別格9番札所「文殊院」があります。

道幅狭めの県道194号沿いに文殊院の境内があります。

道幅狭めの県道194号沿いに文殊院の境内があります。

お大師さまの大きな後ろ姿が目印なのでお見逃しなくお立ち寄りを。

お大師さまの大きな後ろ姿が目印なのでお見逃しなくお立ち寄りを。

 

四国遍路の元祖「衛門三郎」の邸宅跡

文殊院の縁起によると、奈良時代以前の600年代に別格10番札所「西山興隆寺」も創建した空鉢上人が現在「八窪」がある山の中腹に「徳盛寺(とくじょうじ)」として開基し、平安時代初期の天長元年(824年)に空海が文殊菩薩に導かれてこの地に逗留し文殊院と改め、のちに現在の境内地に移されたといわれています。

文殊院境内には文殊菩薩に導かれる空海の石碑がありました。

文殊院境内には文殊菩薩に導かれる空海の石碑がありました。

現在の文殊院がある地域は、四国遍路の元祖といわれている「衛門三郎(えもんさぶろう)」の邸宅があった場所だと伝わっており、四国遍路の始まりの地ともいえる重要なエリアなのです。

衛門三郎は、この地域を拠点にしていた強欲な庄屋でした。
托鉢に現れた旅の僧を弘法大師とは知らず、追い返そうと、大師の手にした鉄鉢を竹箒で叩き落としたところ、鉄鉢は八つに割れ、翌日から八日の間に衛門三郎の八人の子どもが次々に亡くなってしまったそうです。
改心した衛門三郎は、四国遍路に旅立ち、21回目の巡拝で、死のまぎわに大師に出会うことができ罪を許され、大師が文殊院で因縁切の修法を行ったあと、伊予城主「河野氏」の嫡男として生まれ変わり善政を行ったという伝説があります。
※「衛門三郎」の伝説に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

「焼山寺」からの下りでは、四国遍路の元祖「衛門三郎」を偲ぶ【杖杉庵(じょうしんあん)】

四国遍路の元祖「衛門三郎」の「邸宅跡」と「納札発祥の地」【別格9番札所「文殊院」・「札始大師堂」】

四国遍路の元祖「衛門三郎」再来伝説のお寺はミシュラン1つ星の文化財の宝庫【51番札所「石手寺(いしてじ)」】

衛門三郎と妻の石像が境内に安置されています。

衛門三郎と妻の石像が境内に安置されています。

お寺から少し離れた境外地として、鉄鉢が割れた破片が飛んでいって八つの窪みをつくったといわれる「八窪」と、亡くなった八人の子どものお墓だと伝わる「八塚」も現代にも残っていて、以下記事で紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

お大師さまの鉄鉢の八つの欠片が飛んでいったと伝わる御加持水の遺跡【八窪(文殊院境外霊場)】

衛門三郎の8人の子どもの墓だと伝わる古墳群【八ツ塚群集古墳(文殊院境外霊場)】

 

別格9番札所「文殊院」は、四国遍路の起源にも関連する重要な霊跡です。
この地で四国遍路の歴史に思いをはせ、気持ちも新たに遍路旅を進まれてください。

 

【別格9番札所】  文殊院(もんじゅいん) [大法山 文殊院 徳盛寺(だいほうざん もんじゅいん とくじょうじ)]
宗派: 真言宗醍醐派
本尊: 文殊菩薩 地蔵菩薩
真言: おん あ ら は しゃ のう
おん かかかび さんまえい そわか
開基: 弘法大師
住所: 愛媛県松山市恵原町308
電話: 0899-63-1960

 

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佐藤 崇裕

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(http://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。