8カ所の札所がある愛媛県最大都市「松山市」の打ち始めのお寺が46番札所浄瑠璃寺です。境内には数々の奇石があり、それぞれに触れてご利益を祈願し、仏さまを身近に感じることができるお寺です。
三坂峠を下り「松山市」打ち始めのお寺
44番札所大寳寺と45番札所岩屋寺がある久万高原から「三坂峠」を一気に下って、愛媛県最大の都市「松山市」に入り、お大師さまが運んだといわれる「網掛石」を拝み、久谷町(くたにまち)の田園地帯を3kmほど進むと、8カ所の札所がある松山市打ち始めの46番札所浄瑠璃寺に到着します。
※「三坂峠」と「網掛石」の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
「三坂峠」を一気に下り、お大師さまが運んだ巨石「網掛石」を見学【久万高原町→松山市】
浄瑠璃寺がある地域は、四国遍路の元祖といわれる「衛門三郎」の出身地とのことで、松山市出身の偉人「正岡子規」が詠んだ「永き日や衛門三郎浄るり寺」の句碑が、境内入口でお出迎えしてくれます。
※「衛門三郎」に関しては、徳島県の12番札所焼山寺近くの衛門三郎終焉の地「杖杉庵」の以下リンクの記事もぜひご覧ください。
「焼山寺」からの下りでは、四国遍路の元祖「衛門三郎」を偲ぶ【杖杉庵(じょうしんあん)】
「瑠璃光浄土」と樹齢1000年を越えるイブキビャクシン
浄瑠璃寺の起源は奈良時代以前にさかのぼり、和銅元年(807年)に行基菩薩が布教のためにこの地を訪れ、仏法を修行する適地として、白檀の木で薬師如来像を彫って本尊とし、脇侍に日光・月光菩薩、また十二神将を彫造して安置し、開創されたそうです。
薬師如来がおられる「瑠璃光浄土」から寺名を「浄瑠璃寺」、薬師如来の別名「医王如来」から山号を「医王山」をされたとのこと。
境内に入ると、参道に沿って古木が立ち並び、年季の入った幹に常緑樹の鮮やな緑色が迎えてくれます。
古木の中でも、イブキビャクシンの大木は樹齢1000年を超えるともいわれており、松山市の天然記念物にも指定されています。
奇石の数々に触れご利益祈願
浄瑠璃寺の見どころは境内の数々の奇石で、それらに触れることにより、いろいろなご利益祈願ができます。
浄瑠璃寺手前にお大師さまが運んだといわれる「網掛石」がありましたが、ふたつあった石のうちひとつは浄瑠璃寺にありました。
そして、お釈迦さまが説法・修行されたインドの「霊鷲山」の石が埋め込まれている「説法石」もありました。
そして、ぜひともご利益祈願していきたいのが「仏手石」と「仏足石」です。
それほど大きくなくコンパクトな境内に、奇石がたくさんあり、それらに見て触れてご利益祈願ができる「体感型」ともいえるお寺で、とても身近な印象を受けました。
写真でご紹介した以外にも、仏の指紋をなぞることで文筆達成・心身堅固を祈る「仏手華判」、人間に降りかかる九つの不慮の災難(死)を遠ざけるための加持を施した巨石「九横封じの石」、音楽・智恵・美貌・財宝・福徳に霊験があり、ひとつだけ願いをかなえてくれると伝えられる「一願弁天」など、たくさんの祈願所があることから「御利益のよろず屋」ともよばれているそうです。
南予のたくさんの峠を越えて松山市に入り、浄瑠璃寺でたくさんのご利益祈願をして、しばらくは市内歩行の平穏無事が続くことを期待しながら、すぐ近くの47番札所八坂寺に歩を進めます。
【46番札所】 | 医王山 養珠院 浄瑠璃寺(いおうざん ようじゅいん じょうるりじ) |
宗派: | 真言宗豊山派 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 愛媛県松山市浄瑠璃町282 |
電話: | 089-963-0279 |