【別格13番札所仙龍寺】山奥深く清滝をいだく仙人の住処は奥の院にふさわしいたたずまい

別格13番札所仙龍寺は山深くにたたずみ、境内に清滝をいだく、荘厳な雰囲気の山岳霊場です。65番札所三角寺の奥の院、また四国八十八ヶ所総奥之院とも称されるお大師さまとの由縁も深いお寺です。

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四国の中心部の山奥深くにたたずむ「仙龍寺」

別格13番札所仙龍寺(せんりゅうじ)は、四国4県の交通の要所である愛媛県四国中央市の山奥深くに位置しています。
かつては65番札所三角寺と一体でその大師堂でしたが、現在は独立分離し、65番札所奥の院でもあります。

三角寺から仙龍寺に向かう歩き遍路道は、三角寺境内から山の中に入り、一山越える4kmほど道のりで、昔の遍路道標も残る風情のある道のりですが、ワイルドな道でもあるので、歩行には注意が必要です。
※三角寺から仙龍寺への歩き遍路道の様子は以下リンクの記事もぜひご覧ください。

【別格13番札所仙龍寺への遍路道】奥の院と呼ばれる古刹へ

車遍路さんは、三角寺南側の山を迂回して、銅山川沿いの車道を進みますが、車のすれ違いが困難な場所がある道幅が狭いクネクネ道を通ることになりますので、車であってもお寺にたどり着くのには困難を伴います。

たどり着くのが困難な山奥深くにあるからこそ、訪れるお遍路さんは荘厳な雰囲気の中でこの地にたどり着いた達成感を持ちながらお参りをされるのだと思います。

仙龍寺 駐車場 山並

お寺門前の駐車場からは山並の美しい景色が広がっています。

仙龍寺 入口

車道からお寺方面に進む入口でも深い緑に抱かれお寺の全容は見えません。

 

清滝と川と一体となった境内

仙龍寺の縁起によると、法道仙人がこの地に山々の神をおまつりされ居を構えていたところ、平安時代初期の弘仁6年(815年)、空海が42歳の時にこの地を訪れ、金剛窟にこもり厄除と虫除五穀豊穣の護摩修行を行い、「お山に棲む龍の神様」と信仰されていた瀧沢大権現ほか、開運不動尊、自らの御姿を彫刻され御本尊としてまつったのが起源だとされており、仙龍寺の寺名の由来にもなっています。

その龍の神様との由縁が深いのが境内を流れる清滝と川の存在です。

仙龍寺 境内 川

お寺入口からは水量豊富な川に沿って参道があります。

仙龍寺 杉古木 舞台づくり本堂

杉の巨木の横の土台部分の上に本堂があるのですが、たいへん珍しい舞台づくりの本堂になっています。

仙龍寺 本堂 遠観

本堂を遠くから見るとこのような造りになっています。本堂前の広場の下に空洞があります。

仙龍寺 本堂下 川

空洞部分に近づくとこんな感じ。写真では暗くてわからないですが、空洞内には急傾斜の川に滝のように水が流れています。

この川はさらに山を登っていったところにある清滝から流れてきているもので、滝から急傾斜の川と一体化するようにお寺が建造されています。
異様な雰囲気すら感じるこのような造りのお寺はたいへん珍しく、龍神と滝・川・水の関係や山岳霊場の雰囲気を現代にもそのまま残す貴重な文化財でもあると思います。

 

100人規模の宿坊でもあった本堂を有する四国八十八ヶ所総奥之院

本堂は昔は100人規模の参拝者の宿坊としての機能も果たしていたとのことで(現在では宿泊者は受け付けていない)、山深くの滝と川の水にいだかれる参拝は特別なものであったと想像できます。

仙龍寺 本堂

木造でお堂というより古い旅館をイメージさせるような本堂。

仙龍寺 本堂 入口

本堂に入ると、まさしく立派な旅館の玄関口のような造りです。

また、仙龍寺は四国八十八ヶ所総奥之院と称されることもあり、四国を巡ってきたお遍路さんが締めくくりとしてお大師さまがいらっしゃるこの地を訪れるという習慣もあったようです。
それだけ空海と由縁が深く、山岳修行の霊地として崇められてきた歴史も感じることができます。
※四国八十八ヶ所総奥之院と称されるお寺は他にもあります。以下リンクの記事もぜひご覧ください。

【別格20番札所大瀧寺】別格霊場最高峰の山岳信仰の聖地は四国八十八ヶ所総奥之院

【與田寺】厄除けで有名な東讃きっての大寺院はもうひとつの四国八十八ヶ所総奥之院

 

別格13番札所仙龍寺のその雰囲気は他の霊場では感じられない唯一無二のものです。
山奥深くの立地、清滝や川と一体化した境内、旅館のようなたたずまいの本堂から、空海山岳修行の霊験を体感してください。
※仙龍寺に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

【別格13番札所仙龍寺】奥の院と呼ばれる古刹へ

 

【別格13番札所】  金光山 遍照院 仙龍寺(きんこうざん へんじょういん せんりゅうじ)
宗派: 真言宗大覚寺派
本尊: 弘法大師
真言: 南無大師遍照金剛
開基: 法道仙人
住所: 愛媛県四国中央市新宮町馬立1200
電話: 0896-72-2033

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この記事を書いた人

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。