65番札所三角寺から古の遍路道を越えてたどり着いた奥の院「仙龍寺」は、四国別格二十霊場の13番札所でもあります。四国八十八ヶ所霊場の札所では見かけることのない幽玄なロケーションと、昔の旅館のようなお堂が特徴的です。
前回の記事で65番札所三角寺から奥の院「仙龍寺」への道のりをご紹介しました。
※「仙龍寺」への遍路道の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【別格13番札所仙龍寺への遍路道】「奥の院」と呼ばれる古刹に向かう遍路古道
そして、たどり着いた仙龍寺の本堂はこのような様子でした。
どこか古旅館のような佇まい。
険しい山越えを経て迎えるお堂は、感慨深いものがあります。
中に入らせてもらい、お参りさせてもらいます。
本堂は2F、レッドカーペットをたどっていった先。
真ん中を右に行ったところが納経所→本堂。
かつては毎夜「参籠(さんろう)」が行われていた場所。
最盛期には数百人が泊まる夜もあったという。
大勢で上げる読経は、さぞ迫力のあるものだったことでしょう。
お参りを終えて1Fへ下りてきました。
古い旅館の渡り廊下のような、昔昔の古い校舎のような。
トイレ自体は水洗ですが、手洗いは山の水が引かれていて それを柄杓で汲んで、持ち替えて反対の手を清める。
この水は上流で清滝として流れ落ちるもの。
立地上、宿泊できることが求められたため、建物が巨大化していった。
コンクリート土台の竣工は昭和9年、日本では満州国が建国された年。
世界が大きな戦争へ向かう中で、この山中で大きな工事が行われ、静かに信仰が守られてきました。
現在は基本的に宿泊を受けつけておらず、お寺の雰囲気を感じることができるのは日中だけです。
古いお寺よりもっと古い杉たちに見守られ、時を刻んできました。
今は静かなこの場所に来ると、ずっと居たくなるような落ち着きを得ることができて、かつての巡礼の文化や歴史を感じることができます。
仙龍寺に来るには自家用車で訪れるのが一般的。
徒歩の順路とは異なり、麓に車を停めて寺を見上げながら坂・階段を上がってきます。
徒歩で訪れる場合、同じく歩いて戻る場合は出発前から時間に余裕をもって出るようにしてください。
65番三角寺に車を停めて、片道徒歩・片道タクシーという方法もあります。
寺にタクシーが待機しているわけでなく、呼んでもすぐには来れないので、寺に近づいてある程度時間が読めたところで電話するのがコツです。
写真にあるバスについては、あまりお勧めできません。
コミュニティバスなので便が少ないのと、曜日によって運休があります。
インターネットでバスのダイヤを調べようにも、すんなり出てこない印象です。
このように、訪れるには不便な65番三角寺奥の院仙龍寺ではありますが、古の遍路道を通り、かつてのお遍路さんの巡礼文化を色濃く残す古刹であり、ぜひ訪れてみていただきたいお寺のひとつです。
【別格13番札所】 | 金光山 遍照院 仙龍寺(きんこうざん へんじょういん せんりゅうじ) |
宗派: | 真言宗大覚寺派 |
本尊: | 弘法大師 |
真言: | 南無大師遍照金剛 |
開基: | 法道仙人 |
住所: | 愛媛県四国中央市新宮町馬立1200 |
電話: | 0896-72-2033 |