久万高原から46番札所浄瑠璃寺に向けては、伊予と土佐を結ぶ重要街道の三坂峠を下ります。峠を下った先では、お大師さまが運んだ巨石の伝説が残る「網掛石」を見学させていただきました。
「三坂峠」下り前は「レストパーク明神」でひと休み
45番札所岩屋寺を参拝し、久万高原から下りた松山市にある次の46番札所浄瑠璃寺を目指して、歩行開始です。
岩屋寺から久万高原町中心街に戻るルートは平穏無事なはずが、すったもんだありましたので、その様子は以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【45番札所岩屋寺→久万高原町中心街】古岩屋の甌穴内一木造り「不動明王」を拝んだあと「千本峠」で迷い道
久万高原町中心街から国道33号を北に4kmほど進むと、自動車専用バイパス「三坂道路」との分岐があります。
三坂道路は、国道33号が峠道で道幅が狭いところがあったり、急カーブが続く危険な道であることを解決するために、2012年3月に開通した新しい道路で、松山市内のアクセスが大幅に改善されたようです。
ちなみに車遍路さんは、峠道の国道33号を使う方が多いと思うのですが、国道といえども危険区間なので、気をつけて通行してください。
歩き遍路さんは、もちろん三坂道路には進まず、国道33号を歩きますが、三坂道路分岐点のすぐ先に「レストパーク明神」という休憩所があります。
車通行でも難所の峠道ですので、ドライバーの方が峠下りに入る前の休憩所ですが、東屋とトイレがある歩き遍路さんにもありがたい施設です。休憩はもちろん、野宿も可能にしてくださっているので、峠道に入るのに危険な時間帯にここまでたどり着いた場合は、無理せず翌日の峠道チャレンジにするとよいと思います。
【「レストパーク明神」 地図】
三坂峠を一気に下り松山市へ
「レストパーク明神」から国道33号を2kmほど進んだ「三坂峠バス停」手前に、未舗装峠道への入口分岐点があります。
ここが久万高原町と松山市の境「三坂峠(みさかとうげ)」で、昔から伊予と土佐を結ぶ「土佐街道」の要所として、多くの人が通行していた場所です。
三坂峠の頂上が久万高原の入口で、標高710mから約2kmの距離で峠下の標高290mまで一気に下っていきます。
急坂下りの未舗装路ですが、整備が行き届いていて歩きやすく、それほど危険はないと思います。
南予の遍路道は、これまでいくつもの峠を越えてきましたが、よく整備をしてくださっているところがほとんどで安全に自然道を歩くことができてきました。
さすが伊予の國「菩提の道場」です。
【「三坂峠」遍路道入口 地図】
お大師さまが運んだ巨石「網掛石」
三坂峠を下りきり、松山市久谷町(くたにまち)を遍路道標に従ってしばらく歩いていくと、道沿いにお堂と巨石が目に入ります。
この巨石にはお大師さまの伝説が残っています。
三坂峠の通行を妨げる2つの巨石に住民が困っていたところ、空海が通りがかり、これを取り除くために、カズラでつくった網を担いお棒にひっかけて運んだそうです。その際に、重さで網が石にくいこみ「網目」の模様がついたそうです。
運んでいる途中にあまりの重さに耐えられなかった担い棒が折れ、2つの巨石のうちひとつがこの地に落ちたそうで、「網掛石(あみかけいし)」とよばれ、お大師さまゆかりの石として地域の人の信仰を集めているとのこと。
【「網掛石」 地図】
下り一辺倒の新鮮な峠道で三坂峠を一気に下り、いよいよ愛媛県最大都市「松山市」に入りました。
さっそくお大師さま伝説「網掛石」に触れ、松山の遍路旅にわくわくしながら、すぐ目の前の46番札所「浄瑠璃寺」を目指します。