松山市南部の杖の淵公園(48番札所西林寺奥の院)で栽培されている「ていれぎ」 と、当地松山出身の文学者「正岡子規」の関わりについて示すものが、48番札所西林寺の山門前にあります。
正岡子規が詠んだ句が刻まれた石碑
西林寺奥の院・杖の淵から歩いてすぐのところに48番札所西林寺があります。
こちらの句碑が立っているのは山門の前。
歩き遍路で来ると道順左手。
自家用車で来られても駐車場直ぐ横にあるので、見つけるのが難しいものではありません。
高井と三津は地名。
前者は48番札所西林寺がある辺り、ていれぎの産地。
後者は札所で言えば52番札所太山寺の近く、港町。
三津で上がる新鮮な魚に、清らかな水で育つていれぎを添えて。
この地における刺身を味わう黄金律。
秋風とは中国の故事にちなむもので、涼しい風が吹くようになると 様々な食べ物が旬を迎え、故郷の味覚が恋しくなる。
子規の望郷の念がこの俳句に込められています。
句が詠まれた明治28年(1895年)は日清戦争が終わった年。
子規は従軍記者として大陸に渡ったが、その2日後に終戦。
ほどなく帰国することになるが、帰路の船中で喀血(かっけつ)した。
結核を患いこの時から7年後、 35歳の若さでこの世を去ることになる子規の病魔との戦いの始まりである。
それゆえ郷土の味覚がより一層恋しく思えた時期であったことが想像される。
伊予は多くの文学者を輩出したことで知られているが、子規に兄事した高浜虚子(たかはまきょし)も、高井のていれぎについて 句を読んでいる。
ていれぎや 高井の里の 秋の水
松山市民にとって「ていれぎ」が昔から親しまれてきた存在であることがわかります。
札所にはこのような地域の歴史や文化を知ることができるスポットがたくさんあります。
参拝の際にはお寺内のいろいろなものに目を向けてみると、お遍路がより一層思い出深いものになることでしょう。
※「ていれぎ」が栽培されている48番西林寺奥の院「杖の淵」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
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