【40番札所観自在寺】災難を逃れた本尊・脇侍に熱烈な信者多数の四国霊場裏関所

伊予の國最初の40番札所観自在寺は、お大師さま彫像の本尊・脇侍が大きな災難を乗り越え、全国に熱烈な信者が多数いるお寺です。かつて天皇も行幸した由緒正しきお寺には、立派な建造物がたくさんありました。

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伊予の國最初の札所は四国霊場の裏関所

土佐の國最後の39番札所延光寺がある宿毛市から、松尾峠を越えて愛媛県に入り、最強休憩所「上大道お遍路休憩所」のある旧街道を進み、御荘(みしょう)地域の中心街にある伊予の國最初の40番札所「観自在寺」に到着です。

このお寺は1番札所霊山寺からもっとも遠いところにあることから「四国霊場の裏関所」とよばれていて、ここを通過できれば四国遍路後半戦に突入です。
私の感覚では、足摺岬の38番札所金剛福寺までたどり着いたときに、かなりの達成感とこれから先の道のりを歩ききる自信がわいたので、裏関所ということは意識しませんでした。
39番札所延光寺を打ち終えた時点で、土佐の國「修行の道場」を完歩し、伊予の國「菩提の道場」はおだやかな道になってくれるものと、ほっとした気分になっていました。

ちなみに、四国八十八ヶ所霊場には、各県に一カ所ずつ「関所寺」とされている札所があり、「お大師さまの審判を受け、邪悪なものは先に進めない」とされていて、難所のお寺が設定されています。
徳島県阿波國は19番札所「立江寺」、高知県土佐國は27番札所「神峯寺」、愛媛県伊予國は60番札所「横峰寺」、香川県讃岐國は66番札所「雲辺寺」がそれにあたります。

ということで、落ち着いた気持ちで訪れた観自在寺では、歴史を感じる山門が出迎えてくださいました。

観自在寺 山門

約200年前に建立された総欅造の山門にかかる山号の額は高野山401世座主直筆とのことです。

 

天皇行幸の由緒正しきお寺

観自在寺は、平安時代初期の大同2年(807年)にときの平城(へいぜい)天皇の勅願により、空海がこの地を訪れ、1本の霊木から本尊の薬師如来と脇侍の阿弥陀如来・十一面観音菩薩の三尊像を彫造し、開創したといわれています。
平城天皇と次の嵯峨天皇が行幸もされた由緒正しきお寺です。
このことが関連して、このあたりの地名は「御荘(みしょう)」「平城(ひらじょう)」と名付けられ、街は「観自在寺」の門前町として発展していきます。

観自在寺 参道

昔の参道の名残がしっかり残っています。商店街から参道に入る角には石造りの古い建物もあり、歴史を感じます。

以来隆盛を誇りますが、大きな火災でお堂を焼失し、危機にみまわれますが、奇跡的に本尊・脇侍は被害から逃れ、熱烈な信者による支援により現在に至るとのことです。
支援の大きさがわかる立派な建造物がたくさんありましたので、写真でご紹介します。

観自在寺 本堂

昭和34年の火災で焼失後、昭和39年に空海創建時の姿に再建された入母屋造の堂々たる本堂です。

観自在寺 大師堂

平成5年改築のフレッシュさを感じる大師堂です。寺名にもなっている観自在菩薩があたたかく見守ってくれています。

観自在寺 十二支守八体仏

参道には十二支守りの八体仏が並び、お水をかけて心願成就祈願を行います。

 

由緒正しき歴史と立派な建造物の数々は、伊予の國最初の札所としてふさわしい佇まいでした。
「修行の道場」の苦労から解放され、「菩提の道場」では楽しいことが待ってくれているはずと期待に胸を膨らませながら、愛媛県の旅をスタートしました。

 

【40番札所】  平城山 薬師院 観自在寺(へいじょうざん やくしいん かんじざいじ)
宗派: 真言宗大覚寺派
本尊: 薬師如来
真言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
開基: 弘法大師
住所: 愛媛県南宇和郡愛南町御荘平城2253-1
電話: 0895-72-0416

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この記事を書いた人

お遍路さん初心者です。  2015年1月20日(火)に1番札所を出発し、2015年3月1日(日)に41日間で88番札所で通し歩き結願を果たすことができました。 2015年4月12・13日の2日間で、開創1200年で盛り上がる高野山にお礼参りにも行ってきました。 自身の通し歩き遍路体験を元にお役立ち情報を発信しています。