讃岐國最初の66番札所雲辺寺は、四国霊場最高峰にして関所寺でもあります。雲辺寺山の山頂には、「五百羅漢」「おたのみなす」「大師乳銀杏」、隣接する「スノーパーク」といろいろな見どころがありました。
四国霊場最高峰の標高911mへの「遍路ころがし」
讃岐國最初の66番札所雲辺寺は、四国霊場最高峰の標高911mの雲辺寺山の頂上にあり、お寺への登山道は歩き遍路を苦しめる「遍路ころがし」のひとつになっています。
複数の登山ルートがある中から、私は「佐野道」を選択し、急坂を90分ほどで登りきりました。
※雲辺寺への遍路ころがしの様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【66番札所雲辺寺への遍路ころがし】四国霊場最高峰の標高911mへの急坂を登る
※他地域の「遍路ころがし」に関しては、以下タグリンクの記事もぜひご覧ください。
讃岐國最初にして最大の難所の「関所寺」
雲辺寺は、各県に一カ所ずつある「お大師さまの審判を受け、邪悪なものは先に進めない」とされる「関所寺」でもあります。
讃岐國に入るためにお大師さまの審判を受けなければいけないとはシビアではありますが、考え方を変えると、雲辺寺さえ無事通過できれば、あとの讃岐路は平穏に歩ききることができるともとることができます。
讃岐國は「涅槃の道場」と呼ばれており、その名のごとく心安らかに歩んでいきたいものです。
※他地域の「関所寺」に関しては、以下タグリンクの記事もぜひご覧ください。
ところで、この記事ではこれまでに「讃岐國」と何回もお伝えしましたが、雲辺寺の住所は「徳島県三好市池田町白地ノロウチ763-2」なのは皆さんご存知でしょうか?
当然のごとく「徳島県阿波國じゃ~ん」とツッコミを入れてしまいますが、愛媛県から境目峠で一度徳島県に入り、雲辺寺までの「遍路ころがし」は徳島県の遍路道で、実は雲辺寺山の山頂に徳島県と香川県の県境があるのです。
お寺自体が県境になっているとは、まさしく「関所寺」という言葉がぴったりです。
※お寺の住所は徳島県ですが、遍路道のルート設定の関係で便宜上讃岐の札所とされています。
空海が「善通寺」建立のための建材を求めて出会った霊所
雲辺寺の縁起によると、延暦8年(789年)にさかのぼり、16歳の佐伯真魚(のちの空海・弘法大師)が「善通寺」(現在の75番札所。空海生誕の地)を建立するための建材を求めて山に登り、この地を訪れ、深遠な霊山に心うたれて堂宇を建立したのが起源とされています。
その後も、大同2年(807年)、空海が34歳のときに唐から請来した宝物で秘密灌頂の修法をされ、さらに弘仁9年(818年)、空海45歳のときには、嵯峨天皇の勅願で本尊を彫造して、仏舎利と毘廬遮那法印(仏法石)を山中に納めて七仏供養をし、霊場と定められたそうです。
表情が豊かすぎる「五百羅漢」
雲辺寺の見どころとしてオススメなのはなんといっても「五百羅漢(ごひゃくらかん)」です。
五百羅漢とは、釈迦入滅後の第1回の経典結集、および第4回結集のときに集まったという500人の聖者のことで、雲辺寺では五百羅漢の像が無数に立ち並んでいるのです。
「おたのみなす」「大師乳銀杏」「スノーパーク」と見どころ満載
雲辺寺は他にも見どころ満載で、写真でご紹介していきます。
まずは、本堂横にある「おたのみなす」です。
なすの花はひとつも無駄なく実になることと、「成す」との語呂合わせで、努力が報われ願いがかなう縁起物の野菜なのだそうです。
つぎに「大師乳銀杏(だいしちちいちょう)」と呼ばれている古木です。
お大師さまが、母乳が出なくて困っていた女性のために銀杏の苗を植え、母乳が出るように祈り、その女性が木の幹を削って煎じて飲むと母乳が出たという伝説が残っています。
そして、お寺とは直接関係ないのですが、雲辺寺山の山頂には「スノーパーク雲辺寺」があり、12月~3月はゲレンデとして営業しています。
夏はゲレンデが「ユリ園」になっているらしく、そちらの方が興味をひかれました。
ということで、見どころ満載の雲辺寺ですが、私はこの日お寺の「通夜堂」に泊めていただいたので、滞在時間が12時間ほどあり、お寺を満喫することができましたが、短時間滞在で次の札所を目指すと、見きれないほどの大きいお寺です。
「通夜堂」宿泊の様子は、以下リンクの記事で、他の見どころもあわせてご紹介していますので、ぜひご覧ください。
【66番札所雲辺寺・通夜堂】山の上の大広間「通夜堂」で一夜を明かす際にはロープウェイ乗り場を要チェック
四国霊場最高峰の66番札所「雲辺寺」への「遍路ころがし」を制覇し、無事に関所寺を通過できれば、讃岐國「涅槃の道場」の始まりです。
【66番札所】 | 巨鼇山 千手院 雲辺寺(きょごうざん せんじゅいん うんぺんじ) |
宗派: | 真言宗御室派 |
本尊: | 千手観世音菩薩 |
真言: | おん ばざらたらま きりく |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 徳島県三好市池田町白地ノロウチ763-2 |
電話: | 0883-74-0066 |