高知県と愛媛県の県境は旧道距離約6km、標高300mの「松尾峠」を越えて、いよいよ伊予の國「菩提の道場」に突入です。峠の頂上の「松尾大師跡」は宿泊も可能なお堂が残っていますので、ぜひお立ち寄りを。
高知県と愛媛県の県境「松尾峠」
高知最後の39番札所延光寺に参拝し、この日は宿泊していた「ホテルアバン宿毛」を朝6時頃に出発しました。
1月下旬に遍路に出発し、この時期は朝7時でも日が昇らず真っ暗でしたが、高知を歩ききった2月中旬になってくると、朝6時台で明るくなってくるので、早めに出発する日が増えました。
宿毛中心市街地から2kmほど進むと、田園・住宅街を抜けた先に、高知県と愛媛県の県境「松尾峠」に向かう山道の入口にたどり着きます。
ここからの登り道がけっこうしんどかったのか写真がまったく残っていないのですが、よくいえば自然がよく残っている、悪くいえば整備がいきとどいていないそこそこの悪路です。山道全体4kmのうち最後の約1kmで標高300mまで一気に登るので、傾斜がきつく、想像以上に苦労します。
さすが土佐の國「修行の道場」で、最後の最後まで試練を課してくれます。
そして、登り切った峠の頂上には、県境を示す古い石柱があり、ようやく伊予の國までたどり着いたことを実感させてくれます。
松尾峠の「松尾大師跡」は宿泊も可能
松尾峠頂上には、昔の「松尾大師」のお堂が「松尾大師堂跡」として残されていて(現在の松尾大師は愛媛県側に峠を下った一本松地区に移設)、お堂の中で宿泊することもできます。
もし宿泊する際は、峠の頂上なので、水・食料の準備と、気候への対応は必須です(トイレはあります)。
そして、真っ暗の峠道のスリルを楽しめる方だけにしておくのがよいと思います。
峠の頂上を越えて、愛媛県側に入っていくと、高知県側の悪路が嘘のようによく整備された歩きやすい未舗装路を下ります。
「修行の道場」と「菩提の道場」の違いをい感じさせてくれる演出と思ってしまうほどでした。
行政区の違いで整備の方法や考え方が違うのか、どのような事情があるのかはわかりませんが、違いがわかりやすすぎる道のりでした。
果てしない長距離で足の痛みとも戦った土佐の國「修行の道場」を振り返り、なんとかここまでたどり着けたことに感謝するとともに、伊予の國「菩提の道場」は穏やかな気持ちで旅路を楽しめることを期待・祈願して、松尾峠を越えました。
【松尾峠(高知県愛媛県県境) 地図】