弘法大師空海が高野山を開創した当時からの表参道「町石道」の歩行をいよいよスタートします。高野山名産の「柿」の畑の中の急坂を登り、待っていたのはゴルフ場?という前半の道のりをご紹介します。
鎌倉時代に造られた石造の「町石」は現役バリバリ
高野山への表参道「町石道(ちょういしみち)」の歩行をいよいよスタートします。
この道は、弘法大師空海が高野山を開創した当時に表参道として使われていた歴史ある信仰の道です。
歩き遍路を結願してお礼参りに高野山に歩いて登る際も、この道を使う人が多いです。
町石道と呼ばれているのは、1町(約109メートル)ごとに道標として高さ約3メートル強の五輪卒塔婆形の石柱が建てられていることからきています。
弘法大師が開創した当時は木製の卒塔婆だったそうですが、老朽化したため、鎌倉時代に石造の町石が造られ、現在も建立当時のものが8割以上残っているそうです。
町石道の入口は、弘法大師が創建した女人高野と呼ばれる「慈尊院(じぞんいん)」と、「丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)」がありますので、道中の安全を祈願して進みたいものです。
※「慈尊院」に関しては以下紹介記事もぜひご覧ください。
【高野山慈尊院】町石道の入口は「女人高野」と呼ばれる名刹で弥勒菩薩御開帳中
さっそくの急坂は九度山町名産「柿」の畑
スタート直後はしばらく舗装された歩きやすい道を進みますが、いきなりの急坂が続きますので、焦らず意識的にゆっくり歩きます。
スタートから距離にして2km弱で標高400m程度まで登ることになるので、いかに坂がきついかという区間です。
その分、山から高野口方面の街並みを見下ろす景色を楽しめます。
この急坂周辺は、九度山町名産の「柿」の畑になっています。
柿そのものはもちろん、柿の葉を使った「柿の葉ずし」も名物で、熊野灘で獲れる鯖を使った押し寿司を柿の葉で包んで香りをうつして風味を豊かにしているとのこと。
九度山にある道の駅の名前も「道の駅 柿の郷くどやま」となっているほど柿をアピールしていますね。
未舗装路は水はけが悪いので要注意
ここから先は未舗装の登り道に入っていきます。
世界遺産に登録されているだけあって、整備がよくされていて基本的には歩きやすい道なのですが、ところどころ水はけの悪いところがあり、私が登った日は晴天だったのですが、前の数日で降った雨の影響で、道が川のようになっているところがありました。
しかも、泥質の土のところもあり、靴が泥の中に入ってしまい、アッパー部分から靴内に泥水が浸水する事態にもなりました。
雨の日はもちろん、歩行当日が雨でなかったとしても、雨装備を検討した方がよいかもしれません。
137町石付近の「六本杉」が第1チェックポイントで、ここまで登ってくれば急坂登りは一段落。しばらくなだらかな道になります。
そのあと120町石付近に第2チェックポイントの「二ッ鳥居」があり、眺望を楽しめる休憩所もあります。
「町石道」でまさかのゴルフ場内通過
町石道前半のわたし的なメインイベントは、まさかのゴルフ場内通過でした。
116町石付近で右手にいきなりゴルフ場が見えます。
これは見ものだと木の間から何枚も写真を撮ったのですが、少し進むとさらに驚きの光景が。
ゴルフのカート道と町石道が合流していて、ティーグラウンドに誘導されてしまいます。
この「紀伊高原ゴルフクラブ」のある地域は「神田(こうだ)」というのどかな集落で、そこに地蔵堂とトイレがあり、休憩所になっています。
ちなみに、スタートしてから約8kmのここまでトイレがなく、町石道全体でもこことこの先の「矢立(やたて)」の2カ所だけなので、それを前提にうまく休憩をとっていく必要があります。
ここまでで全体の半分弱まで進んできたことになり、一息ついてから、後半戦のスタートです。
町石道後半の様子は、以下の記事を引き続きご覧ください。
【高野山町石道・後編】奇石の数々にお大師さま伝説を学び…最後の登り坂でラストスパート