別格5番札所「大善寺」は、須崎湾に突き出た岬にあった「波の二つ石」に由来するお寺です。
お大師さまが海難者を弔い交通安全を祈願したお寺で、遍路道中安全祈願をしていってください。

土佐の海上交通の要所「須崎市」

別格5番札所「大善寺(だいぜんじ)」がある高知県須崎市は、高知県中西部に位置し、太平洋に面していて海岸線が複雑に入り組んでいて、浦ノ内湾や須崎湾など複数の入江を有する特徴があります。

八十八ヶ所霊場参りにおいては、36番札所「青龍寺」から37番札所「岩本寺」に向かう距離約60kmの途中にあたります。
複雑な地形の浦ノ内湾をこえて、高原に位置する岩本寺に向かう遍路道は難所であり、特に交通事情がよくなかった昔は海上を舟で進むこともあり、海上交通の要所でもありました。
※昔の海上交通の名残を残す浦ノ内湾の巡航船の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。

浦ノ内湾の本当の遍路道は巡航船で海の上【36番札所「青龍寺」→須崎市街】

現在の大善寺がある場所は、昔は須崎湾に突き出た岬の先端にあたる場所だったそうで、その場所や地形がお寺創建と深く関わっています。

 

お大師さまが交通安全祈願をした「二つ石大師」

大善寺の縁起によると、お寺創建に関わる以下のエピソードが語り継がれています。
須崎湾の岬には「波の二つ石」と呼ばれる二つの巨石があり、通常は丘陵を越えて通行していましたが、干潮時は二つ石の端を通行する人も多かったそうです。
しかし、ここは「土佐の親不知」とも呼ばれる難所で突然の大波にさらわれる海難事故が絶えず、またこの岬は霊峰「石鎚山」の南端に当たるとされ、不浄の者がここを通ると怪異にあうと恐れられていたとのこと。
平安時代前期の弘仁6年(815年)空海が42歳の時、四国霊場開創のため巡錫中に須崎を訪れた際この話を聞き、空海はここで海難死亡者の菩提を弔い交通安全を祈願したことをきっかけに、のちにこの場所に大師堂が結ばれ、やがてこの大師堂は「二つ石大師」と呼ばれるようになりました。
この二つ石は、現在は長年の土砂の堆積や防波堤の設置で地中に埋まってしまって見えなくなってしまいました。

大師堂は丘陵のふもと、商店街に面して建てられています。大師堂の裏の丘陵上に鐘楼が見えますが、ここに本堂があります。

大師堂は丘陵のふもと、商店街に面して建てられています。大師堂の裏の丘陵上に鐘楼が見えますが、ここに本堂があります。

丘陵上の本堂へは、大師堂横の参道石段(併設の金刀比羅宮の鳥居をくぐります)をのぼっていきます。

丘陵上の本堂へは、大師堂横の参道石段(併設の金刀比羅宮の鳥居をくぐります)をのぼっていきます。

のぼった先ではお大師さま像がお迎えしてくださり、浦ノ内湾を今でも見守っていらっしゃいました。

のぼった先ではお大師さま像がお迎えしてくださり、須崎湾を今でも見守っていらっしゃいました。

丘陵の上にこじんまりとした境内があり本堂があります。弘法大師秘伝の祈祷をほどこした「吉祥塩」を授かれるお寺でもあります。

丘陵の上にこじんまりとした境内があり本堂があります。弘法大師秘伝の祈祷をほどこした「吉祥塩」を授かれるお寺でもあります。

丘陵上までは急な石段なので少々苦労しますが、数々のお寺の石段を乗り越えられているお遍路さんならまったく問題なくのぼることができます。
大師堂だけでなく、本堂にもお参りし、お大師さまと同じ視線から須崎湾をながめてみてください。
ただ、体の不自由な方や高齢の方のために簡易モノレールもあり、境内から少し離れた本坊から乗ることができます。

境内から見た簡易モノレール。かわいい形をしています。

境内から見た簡易モノレール。かわいい形をしています。

モノレールは大師堂から道をまわりこんだ先の本坊から乗ります。こちらで納経もしていただきます。

モノレールは大師堂から道をまわりこんだ先の本坊から乗ります。こちらで納経もしていただきます。

 

別格5番札所「大善寺」は、昔は交通困難な地域であり、お大師さまが交通安全を祈願された霊跡です。
丘陵上の本堂にもお参りして、須崎湾を眺めながら、かつてのお遍路さんの様子や二つ石を想像してみてください。

 

【別格5番札所】  高野山 大善寺(こうやさん だいぜんじ)
宗派: 高野山真言宗
本尊: 弘法大師
真言: なむ だいし へんじょう こんごう
開基: 弘法大師
住所: 高知県須崎市西町1-2-1
電話: 0889-42-0800

 

スポンサーリンク

 

pilgrim-shikoku-logo_set 四国遍路情報サイト「四国遍路」 TOPページに戻る


The following two tabs change content below.

佐藤 崇裕

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(http://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。