別格3番札所慈眼寺には、お大師さまが悪龍を封じ込めたと伝わる鍾乳洞があります。とても狭い穴を通り抜ける「穴禅定」は困難な修行ですが、様々なご利益をいただけると崇信者が多いです。
標高550mの山登りの途中に見どころあり
別格3番札所慈眼寺(じげんじ)は、標高550mに位置する山岳霊場です。
お寺向かう登山道は傾斜が厳しく苦労しますが、道中には慈眼寺・お大師さまゆかりの名瀑「灌頂ヶ滝」や、アドベンチャー感覚を楽しめる自然豊かな歩き遍路道など見どころが多いです。
※灌頂ヶ滝、慈眼寺への歩き遍路道に関しては以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【別格3番札所慈眼寺への遍路道】お大師さま滝行の「灌頂ヶ滝」は「不動の御来迎」で知られる名瀑
【別格3番札所慈眼寺への遍路道】岩をくぐり川を渡る起伏に富んだ遍路道にはありがたい休憩所あり
山登りを終えてたどり着いた境内でお出迎えしてくれるのは大師堂と護摩堂です。
先にお参りすべき本堂が見当たりませんが、ここからが慈眼寺の厳しさの本番です。
標高100mほどをさらに登る本堂
大師堂に向かって左側に進んでいくと、観音様の石門の手前に目を疑う看板があります。
本堂と大師堂の距離が500mあり、歩いて20分かかるというのは、四国霊場では最長距離ではないでしょうか。
しかもこの道のりは平坦ではありません。
お寺に着いてようやく登山終了と油断したらえらい目にあいます。
ただし、本堂までの道のりは谷合の景色も見渡しながら、岩山を登っていく厳粛な空気も流れていて、お参りする気持ちも高まっていく素晴らしい参道です。
お大師さまが悪龍を封じ込めた鍾乳洞の「穴禅定」修行
本堂の横には大きな岩山がそびえていて、そこには鍾乳洞があります。
この鍾乳洞は慈眼寺の縁起によると、延暦年間(782~805年)桓武天皇の時代、空海が19才のときに衆生の生活苦・病苦などの苦厄を除くためにこの地を訪れた際、霊気漂う不思議な鍾乳洞を発見し、邪気祓いのために洞窟の入口で護摩祈祷の修行をしたところ、結願も近いある日、洞窟内に巣くっていた悪い龍が忽然と現れ、猛然と襲いかかったそうです。
空海は慌てずひるまず秘密真言を唱えうち、その法力をもって悪龍を洞窟の奥に封じ込め、21日間の加持をして、さらに霊木に一刀三礼して十一面観世音菩薩を刻み、霊験あらたかな行場としてその秘法を末代の修行者のために残されたとのこと。
その修行の名残が現代にも残されていて「穴禅定」といわれています。
先達に導かれて、ろうそくの明かりだけで鍾乳洞の中の狭い穴を通り抜ける修行で、距離は100mほどと短いながら、その狭さゆえに先達の導き通りに体を動かさないと通ることができず、2時間ほどの時間を要するという厳しい修行です。
体が大きい人は通り抜けられないですし、閉所恐怖症の人も結願困難であることから、誰もが経験できる修行ではありません。
僕は試しの支柱にはチャレンジしてみましたが、つっかえながらギリギリ通過できるぐらいだったので、恐ろしくて本番の穴禅定はチャレンジできていません。
いつかは経験してみたいと思っています。
困難な修行だからこそ結願できればご利益も大きく、
●無病息災で長患いをしない
●金運、開運が成就
●狭いところを通り抜けるので、入試、安産、交通安全の成就
のご利益があるそうで、穴禅定の崇信者も多いとのことです。
別格3番札所慈眼寺は、お大師さまゆかりの修験道場で、鍾乳洞を通り抜ける「穴禅定」は現代にも残る修行です。長い登山道や岩山に抱かれる本堂など厳粛な空気を感じられる山岳霊場を体感してみてください。
【別格3番札所】 | 月頂山 宝珠院 慈眼寺(げっちょうざん ほうじゅいん じげんじ) |
宗派: | 高野山真言宗 |
本尊: | 十一面観世音菩薩 |
真言: | おんまか きゃろにきゃ そわか |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 徳島県勝浦郡上勝町正木灌頂瀧18 |
電話: | 0885-45-0044 |