愛媛県松山市にある日本最古の温泉の一つとされる「道後温泉」には、立ち寄り入浴可能な公衆浴場が複数あります。お遍路さんの立ち寄りにもおすすめの「道後温泉本館」「椿の湯」「飛鳥乃湯泉」に私が実際に入浴した様子をご紹介します。
「道後温泉」とは
愛媛県松山市にある「道後温泉(どうごおんせん)」は、日本最古の温泉の一つとされ、約3,000年の歴史があるといわれています。道後温泉本館を中心に、複数の公衆浴場や、温泉入浴が可能や旅館やホテル、周辺には商店街や観光名所があり、四国を代表する観光地として昔から知られています。
お遍路道中においては、51番札所石手寺がすぐ近くにあり、観光・食事・休憩で立ち寄ったり、旅館・ホテルに宿泊するお遍路さんもたくさんいます。
本記事では、道後温泉で立ち寄り入浴が可能な公衆浴場3ヶ所を詳しくご紹介します。
※道後温泉周辺のおすすめ立ち寄りスポットに関して、以下リンクの記事でご紹介いていますので、こちらもぜひご覧ください。
【愛媛県松山市】「道後温泉」周辺のおすすめ立ち寄りスポットまとめ
各時代を代表する著名人も入浴した「道後温泉本館」
まずは、道後温泉の象徴である「道後温泉本館(どうごおんせんほんかん)」です。
道後温泉街に中心部にある共同浴場で、現在の建物は明治27年(1894年)に改築が完成した近代和風建築で、平成6年(1994年)に国の重要文化財に指定され、貴重な文化財としても保護されています。
平成31年(2019年)から耐震補強などの大規模改修が実施され、部分閉館での営業期間を経て、令和6年(2024年)7月に全館営業が再開されました。
道後温泉本館は、観光名所にもなっていて、建物前では写真撮影をする人でいつも賑わっています。
夏目漱石(なつめそうせき)の小説「坊っちゃん」にも登場し、夏目漱石も実際に道後温泉本館に何度も訪れていて名湯を絶賛しています。松山市出身の文学者・正岡子規(まさおかしき)や、初代総理大臣である伊藤博文(いとうひろぶみ)をはじめ、各時代を代表する多くの著名人が訪れていて、地域を代表する名所・名湯として愛され続けています。
道後温泉には白鷺が傷を癒したという伝説があることから白鷺がシンボルになっていて、道後温泉本館のいろいろな場所で白鷺にまつわるオブジェがありますので、探してみるのも楽しいです。

道後温泉本館の一番高い場所に白鷺がいますので、お見逃しのないように。
夜景が魅力的
私がはじめて道後温泉本館を訪れたときは夜で、あまりの美しさに心奪われたのをよく覚えています。

真っ赤なギヤマンがシンボルになっていて、毎日6時・正午・18時に太鼓が鳴ります。
上の写真を見て、どこかで見たような?と感じる人がいらっしゃるかもしれません。道後温泉本館は、ジブリ作品の「千と千尋の神隠し」で登場する温泉施設「油屋」のモデルになったという説もあります。タイムスリップしたかのような、まさにアニメ映画の雰囲気を彷彿とさせる外観です。
道後温泉本館の外観は、日中と夜で雰囲気が全く異なりますので、いろいろな時間帯に訪れて雰囲気を楽しむのがおすすめです。
様々な入浴プラン
外観を見るだけで、気持ちが高揚し、いよいよ浴場へ向かいます。
はじめての入浴したときは、歴史の重みを感じる雰囲気に敷居が高いイメージがあったのですが、スタッフさんが入浴プランや方法を親切に教えてくださって、安心して入浴を楽しむことができました。
道後温泉本館は、入浴予約はできないため入場した順番で案内されます。時間帯によっては、待ち時間があることもありますが、呼び出しシステムが整備されていて、再訪する時間がわかり便利です。新設された貸切室は予約が必要です。常に混み合っているので、公式HPなどで空き状況を確認された上で訪問されることをおすすめします。
シンプルに入浴だけを楽しむプラン、お茶・お菓子がつき大広間や個室で休憩もできるプランなど、複数の入浴プランがありますので、都合にあわせて選択してください。お遍路道中での立ち寄り入浴にもぴったりで、歴史ある道後温泉を気軽に体験できます。
これまでに幾度も増改築を繰り返した道後温泉本館の内部は、まるで迷路のようになっていますので、建築物探訪を楽しむこともできます。
※道後温泉本館に関しては、以下リンクの記事でも紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。
【道後温泉】日本三古湯のひとつ「道後温泉」の温泉街を丸型ポストとともに巡る
【道後温泉本館】日本最古の温泉ともされる道後温泉のシンボルで立ち寄り入浴
【道後温泉】公衆浴場としては日本で初めて国の重要文化財に指定された道後温泉本館
地元の人が日常使いしている「椿の湯」
道後温泉にある公衆浴場のうち、地元の人におすすめしてもらったのが「椿の湯(つばきのゆ)」です。
道後温泉本館の姉妹湯で、3つの公衆浴場のなかで一番コンパクトですが、源泉掛け流しで、短時間でも道後温泉の泉質を十分に堪能できます。
昭和28年(1953年)にオープンした椿の湯の名前は、かつて聖徳太子(しょうとくたいし)がこの地を訪れた際に、美しい椿の茂る景色を見て「まるで天寿国にいるようだ」と褒め称えたことが由来とされています。
地元の人の日常使いにも親しまれていて、朝から多くの人が訪れます。
浴室内は撮影できないので写真が載せられませんが、吹き抜けになった浴室は天井が高く開放的な空間です。浴槽中央にある湯釜は、道後温泉本館と同じ形で、正岡子規の俳句が刻まれているのが特徴です。

椿の湯も平成29年(2017年)にリニューアルされ、外観がとても美しく新しい建物です。
昔ながらの銭湯スタイルで良心的な入浴料
椿の湯はシンプルなつくりで、男性用と女性用の浴室がそれぞれ1つです。
大人450円の良心的な料金が魅力のひとつで、近隣に住んでいる人の中には毎日入浴に来る人もいるそうです。道後温泉の源泉かけ流しを毎日楽しめるなんて贅沢で羨ましい。
浴室内にはシャンプーやボディソープは備え付けられておらず、持ち込みするか、発券機で事前に購入する昔ながらの銭湯スタイルです。貸フェイスタオル100円、貸バスタオル300円、シャンプー50円、コンディショナー50円とこれまたお財布にやさしい価格です。
脱衣場には有料ロッカーがあり料金は10円です。10円玉が必要なのでご注意ください。

浴室入口には両替機があるので、ロッカーを使用する際の10円玉をご用意ください。
アメニティの中で愛媛県らしいなと感じたのが「みかん石けん」です。私はボディソープを持ち込みしていましたが、興味がわいて購入してしまいました。使い心地がとても良かったです。

みかん石鹸は、価格60円で、道後温泉のイラストが印字されたかわいいデザインなので、お土産にも喜ばれると思います。
脱衣場に入って驚いたのが「清潔感」で、とても綺麗に清掃されていて、気持ちのよい空間でした。入浴を終え、帰るころにはまた来ようと決めて、椿の湯をあとにしました。
和モダンの素敵な空間「飛鳥乃湯泉」
3つめの公衆浴場は、椿の湯に隣接している平成29年(2017年)に新規オープンした「飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」です。
椿の湯の入浴で大満足してしまったので、さらに入浴するか迷っていたのですが、椿の湯のスタッフさんに「せっかく来たならいろいろ楽しんで」と背中を押してもらい、飛鳥乃湯泉を訪れました。
飛鳥乃湯泉の特徴は、館内が飛鳥時代をイメージした和モダンで素敵な空間で、あちらこちらに愛媛県の伝統工芸の作品が展示されていることです。

飛鳥乃湯泉の外観は、道後温泉本館や椿の湯とはまた違ったモダンな雰囲気です。

建物の外に設置されていたベンチですら芸術的で素敵でした。

壁面には和釘の名工が湯玉を表現したアート作品が展示されていました。

日本三大絣のひとつ「伊予絣(いよかすり)」の風合いがやさしく美しいのれんをくぐったら、いよいよ入浴です。
贅沢な入浴プランと愛媛県ならではの入浴記念品
飛鳥乃湯泉には4つの入浴コースがあります。
入浴のみのシンプルコース、大広間で休憩できるコース、伝統工芸が楽しめる個室でゆったり過ごせるコース、貸切風呂を利用して浴室に併設されたお部屋で過ごせるコースです。
私は入浴のみのシンプルコースを選択し、1階にある大浴場と半野外になっている露天風呂に入浴しました。源泉掛け流しのなめらかな肌触りの温泉につかり、湯上がりは肌がつるつるになりました。
また、飛鳥乃湯泉のおもしろいポイントが浴室でプロジェクションマッピングが上映されることです。温泉につかりながら、砥部焼の陶板に様々な風景が映し出されます。運良く丁度上映される時間だったので、温泉と現代アートのコラボをゆったりと楽しむことができました。
飛鳥乃湯泉には、シャンプーとボディソープが備え付けられていました。
3つの公衆浴場のアメニティの備え付け状況はそれぞれ異なりますので、事前にチェックしてから訪問するとスムーズだと思います。
入浴後に、2階にのぼる階段前で気になる看板を見つけました。違うコースを選択すると、2階の特別な空間も体験できるので、また別の機会にリベンジしたいと思っています。

行ってはいけないと言われると余計に気になってしまったので、次回はチャレンジします。
飛鳥乃湯泉では、愛媛県の特産品である今治タオルのオリジナルデザインタオルや、湯玉がデザインされた竹製うちわなど入浴記念品が多数用意されていました。

おしゃれで機能も優れた竹製うちわが気に入って、色違いで購入してしまいました。
道後温泉の立ち寄り入浴可能な公衆浴場「道後温泉本館」「椿の湯」「飛鳥乃湯泉」をご紹介しました。どの施設もそれぞれの特徴や良さがあって素敵なので、誰とどのように訪問したいかや滞在時間、その日の気分などで選ぶとよいと思います。お遍路さんもふらっと入浴に立ち寄るだけでも十分に道後温泉を楽しめると思いますので、公衆浴場巡りにぜひチャレンジしてみてください。