愛媛県松山市にある「道後温泉」は、日本最古の温泉の一つとされ、昔から四国を代表する観光地として知られています。道後温泉本館周辺を私が実際に散策して見つけたおすすめ立ち寄りスポットをまとめました。
「道後温泉」とは
愛媛県松山市にある「道後温泉(どうごおんせん)」は、日本最古の温泉の一つとされ、約3,000年の歴史があるといわれています。道後温泉本館を中心に、複数の公衆浴場や、温泉入浴が可能や旅館やホテル、周辺には商店街や観光名所があり、四国を代表する観光地として昔から知られています。
お遍路道中においては、51番札所石手寺がすぐ近くにあり、観光・食事・休憩で立ち寄ったり、旅館・ホテルに宿泊するお遍路さんもたくさんいます。
本記事では、道後温泉街を私が実際に散策して見つけたおすすめ立ち寄りスポットをご紹介していきます。
※道後温泉に関しては、以下リンクの記事で紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【道後温泉】立ち寄り入浴におすすめの公衆浴場3選「道後温泉本館」「椿の湯」「飛鳥乃湯泉」
【道後温泉本館】日本最古の温泉ともされる道後温泉のシンボルで立ち寄り入浴
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【道後温泉】日本三古湯のひとつ「道後温泉」の温泉街を丸型ポストとともに巡る

歴史を感じる近代和風建築の道後温泉本館が道後温泉の象徴になっています。
朝の腹ごしらえは「ユノマチベーカリー」
道後温泉本館からすぐ、南に約100m、徒歩約2分の場所にあるのが、地元の人が日常的に通っている人気のパン屋さん「ユノマチベーカリー」があります。
早朝の6:30から開店しているので、道後温泉周辺に宿泊して朝早くから街を散策する際の腹ごしらえにおすすめです。

私が訪問した際にもたくさんのお客さんがいて、人気ぶりがうかがえました。
ユノマチベーカリーの特徴は、なんといっても品数の多さです。
私は何回か訪問・購入したことがあり、これまでいろいろな種類のパンをいただき、特に生地がふんわり香ばしいところが気に入っています。

朝早くからたくさんの種類のパンが並んでいて、いつもどれにしようか悩んでいます。
店内でのイートインも可能で、飲み物は店内で販売している飲み物か持ち込みもOKにしてくださっています。
道後温泉周辺の観光周遊の休憩はもちろん、お遍路道中で小腹が空いたときの立ち寄りにもおすすめです。

イートインスペースではゆったりと過ごすことができます。
道後放生園の「足湯」でひと休み
ユノマチベーカリーからすぐの場所に、「道後放生園(どうごほうじょうえん)」という広場があります。
道後地域の鎮守「伊佐爾波神社(いさにわじんじゃ)」の境内の御手洗川の引水をたたえた聖浄の地「放生池」が元々あった場所が埋め立てられて造られた広場が道後放生園で、道後温泉本館で実際に使用されていた湯釜から出る「足湯」、道後温泉本館の振鷺閣(しんろかく)をモチーフにした「坊っちゃんカラクリ時計」が、道後温泉街の入口のシンボル的な存在になっています。

先を急ぐお遍路さんは、足湯につかるだけでも道後温泉気分を味わうことができると思います。

毎日8時から22時まで1時間ごとにカラクリ時計が動きだし、松山ゆかりの文豪・夏目漱石(なつめそうせき)の小説「坊ちゃん」の登場人物が現れます。
坊ちゃんカラクリ時計が動き出す時間が近くなると、道後放生園周辺にはカメラを構える観光客でたいへんにぎわうフォトスポットです。夜はライトアップされ、昼間とは違った景観を見ることができるので、道後温泉周辺に宿泊する人は夜の時間帯を狙ってぜひ訪れてみてください。
文豪の足跡と「俳句ポスト」
松山市は、夏目漱石や正岡子規(まさおかしき)など数多くの文豪が愛した街としても知られています。司馬遼太郎(しばりょうたろう)の小説「坂の上の雲」の主人公である秋山好古(あきやまよしふる)・秋山真之(あきやまさねゆき)兄弟の出身地でもあり、道後温泉周辺にも文豪たちの足跡が感じられるスポットが点在しています。

道後放生園には、俳人・歌人として活躍し、野球をこよなく愛した正岡子規の像があります。

道後放生園には、柳原極堂(やなぎはらきょくどう)の「春風やふね伊豫に寄りて道後の湯」という句碑もあります。
松山市は、たくさんの俳人を輩出した街でもあり、市民や観光客に俳句に親しんでもらおうと上の写真にも写っている「俳句ポスト」が街中に複数設置されていて、一般の人が詠んだ俳句を投稿できるようになっています。
お遍路道中に経験したこと・感じたことをここで一句、俳句に綴るなんてことも素敵ですね。
レトロな駅舎「道後温泉駅」
道後温泉には、明治時代に開設された路面電車が乗り入れていて、道後温泉の最寄り駅「道後温泉駅」は明治時代の駅舎が復元されています。

道後温泉駅舎の洋風建築の中では、スターバックスコーヒーが営業していて、他の店舗にはない明治時代を彷彿させるレトロな雰囲気が人気です。
上の写真にも写っているレトロなディーゼル機関車「坊っちゃん列車」が便数限定で運行していて、観光客にとても人気があります。

坊ちゃん列車の車掌さんは昔の制服姿で乗務していて、レトロ気分を盛り上げてくれます。
路面電車は、道後温泉の懐かしい雰囲気を現代に伝えるのに一役買っていると思います。
観光やお遍路の交通手段としても便利なのですが、路面電車が走る街に慣れていない人だと、交通ルールに戸惑うかもしれないので、くれぐれも安全に散策してください。

道後温泉駅の前には人力車もあって、車夫さんに案内してもらいながら周遊することもできます。
道後温泉駅の眺めをじっくり楽しむのであれば、駅のすぐ近くにある「道後白鷺珈琲」がおすすめです。レトロでモダンな雰囲気の店内には、壁画アートや道後温泉本館を増築したときの廃材をリメイクした家具があります。

道後白鷺珈琲は、道後温泉駅前広場に面したビルの2階にあります。

道後温泉駅のレトロな駅舎を眺めながら、ゆったりしたコーヒータイムを楽しむことができました。
道後温泉駅の広場に面して、行列ができていることが多い人気店「道後いなり ゆのや 道後本店」もあります。
いろいろな種類のいなり寿司を販売しているお店で、シンプルないなり寿司から、いくらサーモン・鰻・国産牛の時雨煮などの豪華具材や、宇和島鯛めし・愛媛県産しらすなど地域の食材を使ったものまで多種多様です。

道後温泉駅目の前の行列が目印の「道後いなり ゆのや 道後本店」です。

多種多様ないなり寿司は見た目も可愛くて写真映えします。
小腹が減った時につまむのにちょうどよいサイズなので、道後温泉周辺散策やお遍路道中の補給食にぴったりだと思います。
日本の歴史公園100選「道後公園」
道後温泉駅から2~3分ほど歩いたところには、四季折々の美しい自然を楽しむことができる「道後公園」があります。特に春の季節に咲き誇る桜が有名な公園で、日本の歴史公園100選にも選ばれています。

道後公園は緑豊かで、観光客が訪れることはもちろん、市民の憩いの場にもなっています。
道後公園は、かつては「湯築城(ゆづきじょう)」があった城郭跡でもあります。お城といっても、天守や石垣は元々無く、自然の地形を利用してつくられた平山城でした。
発掘調査が昭和63年(1988年)からスタートして、これまでに約20,000㎡について調査がすすめられてきました。道後公園内にある湯築城資料館では、出土物が展示されていたり、武士の生活について紹介されていますので、地域の歴史を学ぶこともできます。

道後公園は城郭跡でもあるので、歴史好きの人にもおすすめのスポットです。
飲食店・お土産物屋などが立ち並ぶ「道後ハイカラ通り」
道後温泉駅から道後温泉本館まで繋がっているのが、「道後ハイカラ通り」という商店街です。
全長250mに食事・スイーツ・ドリンクなどの飲食店、お土産屋さんなどが約60軒並んでいます。すべての区間に屋根がついているので、雨の日や日差しが強い日でも安心です。
日中は観光客で常ににぎわっていますが、早朝の人が少ない時間帯には地元の人がわんちゃんを連れて散歩している様子が見られるなど、のどかな地域の商店街という一面も垣間見ることができました。

湯上りの散策やお遍路道中の立ち寄り観光におすすめの「道後ハイカラ通り」です。
私はある都市伝説を確かめるために、商店街内の「愛媛の食卓1970」を訪れました。1970年代の愛媛の食卓を再現した、レトロな雰囲気のお店には、不思議なものが並んでいました。

愛媛の食卓1970の店内には23個もの蛇口が並んでいます。
愛媛県は柑橘類の名産地で、愛媛県の水道の蛇口からはみかんジュースが出てくるという都市伝説を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
愛媛の食卓1970は、この都市伝説を現実のものにした店舗で、店内の23個の蛇口からは様々な品種の柑橘類のジュースが出てくる仕掛けになっています。たくさん品種のジュースがあって、お値段も様々なので、飲み比べを楽しみながら、自分のお気に入りを見つけてみてください。

私は希少な品種「甘平(かんぺい)」のジュースを選び、1杯400円と贅沢をしてしまいましたが、甘みがすっきりしていてとても上品で大満足でした。
お土産店で私のおすすめは「伊織本店(いおりほんてん)」です。同じ愛媛県内の今治市は日本有数のタオルの生産地で、このお店はブランド化もされている「今治タオル」の専門店です。

様々なタオルが展示・販売されていて、見ているだけもワクワクするので、私は道後を訪れるたびにリピートしています。
お店でタオルを購入することはもちろん、約100種類のバスタオルを道後温泉めぐりに使用できる「貸タオル処」もあります。スタッフさんにうかがったところ「とても良いタオルですが、お値段が安いものではないので、道後の湯めぐりで貸しタオルで実際に使用してもらって、使い心地を体験してもらいたい!」とおっしゃっていました。
高品質なタオルを自分用に購入することはもちろん、愛媛土産としてや、大切な人へのプレゼントにも喜ばれるお店だと思います。

刺繍でワンポイント柄や名入れに対応してくれていて、手軽にオリジナルタオルを作ることができます。
愛媛県の地元グルメとして有名なのが「鯛めし」です。
鯛は愛媛県が面する瀬戸内海で昔からたくさん獲れ、今では養殖も盛んで、愛媛県が日本一の生産量を誇る魚です。
その鯛を使った郷土料理である鯛めしは2種類あり、調理方法・食べ方が異なります。
「松山鯛めし(中予地方)」は、鯛と米を昆布だしで炊き上げ、鯛の身をほぐしながら、ぐっと凝縮された旨味のご飯を混ぜていただきます。
「宇和島鯛めし(南予地方)」は、醤油ベースのだし汁の中に鯛の刺身、玉子、海藻を入れ混ぜあわせ、ご飯の上にかけていただきます。
道後ハイカラ通りの中には、鯛めしを提供している飲食店が複数ありますので、愛媛ならではの地域の味をぜひ試してみてください。
※愛媛県の鯛めしに関して、以下リンクの記事でも紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。
【日本料理若菜】松山市中心街で宇和島鯛めしを食べられる知る人ぞ知る名店

私が立ち寄った飲食店では宇和島鯛めしが提供されていました。
圓満寺(湯の大地蔵)の縁結びの「お結び玉」
道後温泉本館の東側の旅館・ホテルが並ぶエリアの奥まった一画に、SNSなどで最近話題になっている「圓満寺(えんまんじ)」があります。奈良時代初期の弘仁3年(812年)の建立とされる阿弥陀如来が本尊の長い歴史を持つ寺院です。

道後温泉本館から東へ徒歩約2分、細い路地裏を入った奥に「圓満寺」がひっそりたたずんでいます。
話題になっているのは、本堂の手前にある仏堂に祀られている一丈二尺(3.67m)の大きな白塗りの地蔵尊です。奈良時代の高名な僧・行基(ぎょうき)の作といわれていて、江戸時代の安政2年(1855年)に道後温泉の湯が止まったときに、この地蔵に祈願し再び湯が湧き出たことから「湯の大地蔵」と呼ばれています。

湯の大地蔵は、真っ白な肌に真っ赤な唇、鮮やかな緋色の法衣をまとったインパクトがある見た目で、右手には大きな錫杖、左手には玉を携えています。
湯の大地蔵は、長らく「火除け」のご利益がある仏様として信仰されていますが、最近は火除け=火消しと転じて、浮気封じ、夫婦円満、恋愛成就、縁結びといった、男女の関係にご利益がある仏様として人気を集めています。
湯の大地蔵への祈願アイテムとして人気なっているのが「お結び玉」です。温泉のしずくや温泉が湧き出る泡などを表した道後温泉のシンボルマーク「湯玉」をモチーフに、カラフルな布で作られた玉です。湯の大地蔵が左の手のひらに乗せている玉も湯玉であるといわれています。

「お結び玉」は、地元の人が一つひとつ手づくりしているそうです。
湯の大地蔵に倣って左の手のひらにお結び玉をもち一心に願いを込める、もしくは、お結び玉に願いを書き入れて、境内に結ぶか持ち帰るかして、お願い事をします。
カップルや若い女性に人気のスポットとして話題になっていますので、ぜひ立ち寄ってみてください。

たくさんのお結び玉が吊り下げられている様子がフォトジェニックだと話題になっています。
庭園散策や喫茶も可能な老舗旅館「ふなや」
道後温泉周辺には、たくさんの旅館やホテルがありますが、その中でも特に老舗として知られるのが「ふなや」です。昭和天皇をはじめとする皇族、名だたる文人も訪れた歴史があります。
宿泊だけではなく、喫茶や日帰り温泉での立ち寄り観光も可能なので訪問してみました。

「ふなや」は江戸時代初期の寛永4年(1627年)創業の老舗旅館で、館内には昭和天皇が宿泊された洋館を再現・移築した展示室もあります。
ふなやの敷地内にある「詠風庭(えいふうてい)」は、自然の川が流れる1,500坪の広大な自然庭園です。約200種類の植物が生育し、四季折々の姿を楽しむことができる名園には、正岡子規、夏目漱石などの文人も訪れたと伝わっています。

静かで落ち着いた雰囲気の詠風庭の散策を存分に楽しむことができました。
詠風庭を眺めながら喫茶ができる「ガーデンテラスこもれび」での贅沢な時間は、道後温泉周辺散策の印象的な思い出のひとつになりました。

名園を眺めながらいただく珈琲の味は格別でした。
日本最古の温泉の一つといわれる道後温泉の周辺には、旅館やホテルから、飲食店・お土産物屋などが立ち並ぶ商店街、レトロな雰囲気を味わうことができる路面電車、豊かな自然を感じることができる公園・庭園など、たくさんの見どころがあります。観光やお遍路道中で道後温泉に立ち寄った際には、温泉街をじっくり散策してみてください。