23番札所薬王寺を出発し、いよいよ室戸岬への長距離歩行をスタートしていきます。長い道のりの1泊目は、空海と行基の鯖伝説が残る四国別格二十霊場4番札所「鯖大師」の門前駐車場の東屋で野宿させていただきました。
室戸岬への長距離歩行のスタート
23番札所薬王寺で阿波の國を打ち終わり、次の室戸岬の24番札所最御崎寺までは約75kmの長距離歩行で、いよいよ土佐の國に入っていきます。
海岸線の国道55号をひたすら南下していきますが、この道のりの1泊目を過ごさせていただいたのが、JR鯖瀬駅近くの四国別格二十霊場の4番札所でもある「八坂寺(やさかでら) 通称:鯖大師本坊(さばだいしほんぼう)」です。
薬王寺から鯖大師までの国道55号には見どころスポットがいくつかありますので、それを紹介した以下記事もぜひご覧ください。
【23番札所薬王寺→別格4番鯖大師】お遍路さんにやさしい「グリーンライン」のある国道55号を進む
私は四国別格二十霊場は参拝していなかったのですが、88ヶ所霊場の遍路道沿いにある四国別格二十霊場はこの鯖大師が4番札所にして初めてになります。
鯖大師のある「鯖瀬」地域の昔の道は、海沿いの峠道で多くの坂が連なる難所だったそうです。
その坂を越えるごとにそれぞれ違った趣の浜の景気が見えたことから「八坂八浜」と呼ばれていたとのことで、このことから山号寺名は「八坂山八坂寺(やさかざんやさかじ)」となっているようです。
※別格4番札所鯖大師に関しては、以下リンクの記事でも詳しくご紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。
【別格4番札所鯖大師本坊】かつての難所「八坂八浜」にはお大師さまの鯖伝説が残る名刹あり
現在では国号55号が通り比較的歩きやすい道のりになっていますが、浜の景色に昔の難所をしのびながら歩きたいものです。
空海と行基の「鯖伝説」
八坂寺が鯖大師と呼ばれているのは、この地に伝わる空海の伝説が関係しているとのことで、その内容は以下のようなものです。
平安時代初期の弘仁年間(810年 - 823年)に空海が八坂八浜を訪れた際に、行基手植えの松の下で野宿し行基の夢を見た。そこを塩鯖を馬に背負わせた馬子が通りがかった。空海が塩鯖を所望したところ、馬子は口汚くののしり断った。坂にさしかかったところで馬が急に苦しみ動かなくなった。慌てた馬子は先ほどの僧は巡錫中の空海に違いないと思い、空海に鯖を差し出し馬を治して欲しいと懇願した。空海が加持水を馬に与えたところ、馬はたちまち元気になった。また、空海が法生島(ほけじま)で先ほどの塩鯖に加持祈祷を行い、海に放ったところ塩鯖は生き返り泳いで行った。
Wikipediaより
また、開基とされる行基菩薩の同じような伝説も残っており、行基が「大坂や八坂坂中鯖ひとつ行基にくれで馬の腹や(病)む」と歌を詠んだことで馬が苦しみだしたところ、困った馬子が行基に鯖を差し出し、今度は「大坂や八坂坂中鯖ひとつ行基にくれて馬の腹や(止)む」と、「くれで」を「くれて」と1文字変えて詠むだけで、馬の苦しみは治まったという伝説もあります。
このことから「鯖断ち祈願」なるものもあり、絵馬に願いごとを書いて奉納し、3年間鯖を口にしないことを誓い祈願すると成就するそうです。
3年間鯖を食べないのは、私にはけっこう厳しそうです。
鯖大師の駐車場東屋で野宿させていただく
この鯖大師で室戸岬への道のり1泊目の野宿をさせていただきました。
以下写真のように、駐車場の一角にコンクリート造りの東屋があり、そこにマット・寝袋で寝ました。
屋根もしっかりありますし、東屋の壁と、写真から見て奥の側面は岩で囲まれているので、風もある程度しのげるありがたい環境です。
駐車場がかなり広いので、テントを張ることも許可いただけるようです(2015年現在)。
翌朝には朝のお勤めを終えられたお寺の方に応援のお言葉もいただき、参拝客が来られる7時前には出発していきました。
このお寺には大人数収容可能な立派な宿坊もありますので、こちらに宿泊して、朝のお勤めや護摩祈願を体験されるのもよいと思います。
海岸の朝日に導かれながら、果てしない室戸路を進んでいきます。
【別格4番札所】 | 八坂山 八坂寺(やさかざん やさかじ) 通称:鯖大師本坊(さばだいしほんぼう) |
宗派: | 高野山真言宗 |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 徳島県海部郡海陽町浅川字中相15 |
電話: | 0884-73-0743 |