高野山への表参道「町石道」の入口は女人高野と呼ばれる名刹「慈尊院」です。
高野山開創1200年記念期間は御本尊「弥勒菩薩」が御開帳で、町石道歩行の安全を祈願しました。
「女人高野」の由来
「高野口駅」に降り立ち40分ほど歩くと、高野山への表参道「町石道」の入口には「女人高野(にょにんこうや)」と呼ばれる名刹「慈尊院(じそんいん)」があります。
このお寺が「女人高野」と呼ばれているのは弘法大師の母「玉依御前(たまよりごぜん)」が深く関係しています。
空海が高野山を開いた当時、現在の慈尊院のある地に高野山一山の庶務を司る政所(寺務所)を置き、高野山への宿所ならびに冬期避寒修行の場としていました。
空海の母「玉依御前」が息子が開いた高野山を一目見たいとこの地を訪れた際、高野山内は女人禁制だったためにこの政所に滞在し、空海が高野山から町石道を通って頻繁に母の元を訪ねていたといいます。
この地の地名が「九度山」になったのは、ひと月に九度を数えるほど頻繁に空海が通っていたとされることが由来といわれています。
玉依御前は弥勒菩薩を篤く信仰しており、亡くなった際に空海が弥勒菩薩の霊夢を見たことにより、御本尊として弥勒菩薩像を自作し、母の霊を祀ったとされ、このことがのちに玉依御前が御本尊に化身したとの信仰にもつながり、女人はこの慈尊院で高野参りをするようになったことが「女人高野」と呼ばれるきっかけだそうです。
開創1200年記念の御本尊特別御開帳
開創1200年で盛り上がりを見せている高野山ですが、ここ慈尊院でもそれに合わせて、御本尊「弥勒菩薩」の特別御開帳が行われています。
通常は21年に1度の御開帳とされていて、近年の御開帳は平成5年(1993年)10月30・31日の2日間の定期開帳と、平成17年(2005年3月3日~9日の7日間の高野山世界遺産登録記念開帳しかないという貴重な機会です。
今回は開創1200年記念で2015年4月2日~5月21日の50日間という長期間の御開帳になり、これもかなり特別なようです。
御開帳の御本尊ですが、この弥勒菩薩像は平安時代初期に造られた木製の坐像で光背と台座もそのまま残っており、国宝に指定されているたいへん貴重な秘仏です。
この御本尊を目にする機会ということで、否が応でも期待が高まるのですが、要注意なのが、御開帳時間が8時30分~16時30分までということです。
私は町石道を歩くために早朝にお寺に到着したため、これほど貴重な機会にも関わらず、拝観できずにスルーしてしまいました。
ちなみに御本尊拝観には拝観料500円も必要になります。
皆さまは時間をご確認の上、お見逃しのなきように。
町石道のガイド犬「ゴン」
慈尊院はそのほかにも「多宝塔」や「弘法大師堂(ゴマ堂)」など見どころがたくさんありますが、わたし的にはガイド犬「ゴン」の存在は外せませんでした。
1990年前後にこの近辺にいた野良犬だったゴンが慈尊院をねぐらとして、毎日町石道を歩く人のガイドをしていたとのことで、空海が高野山を開創した時代にも案内犬がいたという伝説が残ることから、このゴンが「案内犬の生まれ変わり」として親しまれていたそうです。
境内には、お大師さまの像と並んで「ゴンの碑」が建てられています。
歩き遍路中は犬には嫌われっぱなしだったような気がしますが、このような親切なお犬さまと一緒に歩きたかったもんだとしみじみ思ってしまいました。
見どころがたくさんある慈尊院で高野山の歴史を体感し、いよいよ町石道に入っていきます。
【寺名】 | 慈尊院(じそんいん) |
宗派: | 高野山真言宗 |
開基: | 弘法大師 |
本尊: | 弥勒菩薩 |
住所: | 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832 |
電話: | 0736-54-2214 |