66番札所雲辺寺の登りが急坂なら、もちろん下りも急坂でしたが、よく整備がされた安全な遍路道でした。未舗装坂道を下り終えたあとには、目から鱗の「おへんろさんの伝言板」を発見しました。
朝もやの「雲辺寺」から下り遍路道スタート
讃岐國最初の札所であり、四国霊場最高峰の標高911m地点にある66番札所雲辺寺の参拝を終え、この日はお寺の「通夜堂」で宿泊させていただき、早朝より山下りを開始することにしました。
※雲辺寺の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【66番札所雲辺寺への遍路ころがし】四国霊場最高峰の標高911mへの急坂を登る
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【66番札所雲辺寺・通夜堂】山の上の大広間「通夜堂」で一夜を明かす際にはロープウェイ乗り場を要チェック
早朝の雲辺寺境内は、朝もやがかかっていて、早朝でしか出会うことができないある意味幻想的な雰囲気がただよっていましたが、見様によっては天候不順で、山下りをするには悪コンディションだったかもしれません。
距離約4kmの長い下り坂遍路道
未舗装遍路道に入って少し進むと、このあたりが雲辺寺山の尾根で、ここが正真正銘の県境になり、香川県にいるのだか徳島県にいるのだかわからなかった状況から、ようやく香川県讃岐國の観音寺市大野原町に入ります。
ここで遍路道の分岐点があり、一方はロープウェイの山麓駅方向に下り、別格16番札所萩原寺経由のルートになりますが、私は次の67番札所大興寺方面への最短距離ルートを進みました。
雲辺寺からの下り坂遍路道は、登りの「遍路ころがし」に比べると傾斜がゆるやかで、整備も行き届いていて、とても歩きやすい印象でした。
ただし、傾斜がゆるやかだということは、坂道の距離も長いということで、未舗装路が約4km続きます。
ここで豆知識ですが、香川県にはため池が約14,000箇所もあるそうで、これは全国の都道府県中第3位の数の多さだそうです。
そして、香川県は全国の都道府県で面積がもっとも小さい県なので、ため池密度でいうと断トツの1位とのこと。
ここから先の讃岐國の遍路道中では、たくさんのため池をながめながら歩んでいくことになります。
目から鱗の「おへんろさんの伝言板」
未舗装遍路道を気持ちよく下り終えると、山あいの田園地域に出て、生活道路をゆるやかにさらに下ります。
生活道路を少し進んだところで、珍しいものを発見しました。
遍路道中で「伝言板」を見つけたのはここが初めてで、ありそうでなかった目から鱗のツールだと思いました。
今はお遍路さん同士で連絡を取る必要があれば携帯電話を使うのだと思いますが、同じ道を通ってくる歩き遍路にとって、このような伝言板は昔は重宝したのではないかと想像します。
現代で、連絡手段として伝言板が役に立つかどうかは別として、道すがら知り合ったお遍路さん同士が伝言板で応援しあったりしていると素敵だなと思います。
私は、残念ながら後続でたどり着きそうなお遍路さんの知り合いが思い浮かばなかったので、なにも書き込みはしませんでしたが、あとから思えば、特定の人宛でなくても何か書いておけばよかったと後悔しました。
この伝言板を設置してくださっているのが、写真に看板も写っている「民宿 青空屋」さんです。比較的新しい民宿のようで、施設がとてもきれいで、地元の食材を使った料理自慢の評判の良い宿のようです。
雲辺寺の山下りを終えてすぐのロケーションもばっちりですね。
雲辺寺の下り未舗装遍路道を無事歩き終えれば、「遍路ころがし」を制覇して「関所寺」を通過し、讃岐國「涅槃の道場」がやっと迎えてくれた気分になることができます。
下り道は歩きやすい道のりではありますが、油断することなく、歩ききった先の「おへんろさんの伝言板」に、後続の歩き遍路さんへの応援メッセージなど書いてみてはいかがでしょうか。