別格15番札所箸蔵寺は標高633mの箸蔵山の山頂付近にある山岳霊場です。現在はロープウェイを利用して参拝する人が多いですが、当然のことながら登山参道があり、この長い参道は一度経験する価値ありです。
箸蔵山中腹に見える山門らしき建物と参道
別格15番札所箸蔵寺(はしくらじ)は標高633mの箸蔵山の山頂付近にある山岳霊場です。
※箸蔵寺に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【別格15番札所箸蔵寺】神仏習合の影響を色濃く残す金毘羅大権現のこんぴら奥の院
現在は箸蔵山ロープウェイが整備されており、多くの参拝者がこれを利用しており、山頂付近のお寺の境内までふもとから約4分であっという間に運んでくれます。
※箸蔵山ロープウェイに関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
ただし、このロープウェイが開通したのは平成11年(1999年)で、それ以前は当然のことながら歩いて登るお遍路さんも多かったはずです。
ロープウェイで登っている途中の山の中腹付近に山門らしき建物があります。
その付近には大きな鳥居も見え、参道らしき道もありました。
とても気になったので、ロープウェイで山頂の境内まで上がったあと、この山門らしき建物まで歩いて下って、状況を確認しにいくことにしました。
国の有形文化財の「高灯籠」「仁王門」
山上のお寺境内から無数の階段や広い参道を下ること約15分、ロープウェイから見えた建造物がある山の中腹までたどり着きました。
この建造物は巨大な仁王門で、二階建て形式になっている二重門で高さがあり、上層にある棟札から明治13年(1880年)築と確認されていて、郷土史によると明治41年(1908年)以前に高知県から移築されたものだという記録もあるそうです。
この仁王門がある門前でもうひとつ見逃ししてはいけないのが「高灯籠」です。
この高灯籠は明治17年(1884年)に建造されたものだそうで、当時この地域の主要産業であった刻みたばこ業者などがふもとの吉野川を船運で進む際の灯台の役割を果たしていたとのことで、水上安全の神をまつり信仰されていたお寺の歴史ともあいまって、当時の産業や信仰の歴史を振り返る上で貴重な建造物であり、これも国の登録有形文化財です。
仁王門の前には、明治から昭和初期に詩人、童謡・民謡作詞家として活躍した野口雨情の歌碑がありますが、注目していただきたいのはそのかたわらにある丁石です。
一丁=約110mですので、ここから本堂まで約1,300mということになり、しかも山登りの傾斜があり、これだけでもここから始まる厳しい参道行脚が想像できると思います。
ということで、仁王門をくぐって山上の本堂を目指します。
神仏習合の歴史を色濃く残す鳥居参道
仁王門をくぐると、緑豊かな幅が広い立派な参道を進みますが、その先に見えてくるのは大きな鳥居です。
お寺の参道でなぜ鳥居と思われるかもしれませんが、箸蔵寺はかつての神仏習合の歴史を現在も色濃く残しているお寺で、その歴史を知ると納得がいきます。
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神仏習合の影響を色濃く残す金毘羅大権現のこんぴら奥の院【別格15番札所「箸蔵寺(はしくらじ)」】
しばらく坂道参道を登っていくと、赤い鞘橋で川を渡ったところから、今度は先の見えない石段参道のスタートです。
この長い石段ですが、ここからさらに本堂まではかなりの段数の石段があり、すべて合わせると600段ほどになるそう。
箸蔵寺と所縁が深く「こんぴらさん」と呼ばれ有名な観光地でもある香川県琴平町の「金刀比羅宮(ことひらぐう)」も長い石段参道が名物で、それに匹敵するほどの長さです。
箸蔵寺へは現在はロープウェイを使って登る人がほとんどだと思いますが、貴重な文化財である「仁王門」「高灯籠」を見て、長い参道を歩いてみると、お寺の雰囲気や歴史をより楽しめると思います。
少々苦労する道のりではありますが、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。
【「箸蔵寺 仁王門・高灯籠」 地図】