【別格10番札所西山興隆寺への参道】「もみじの寺」の山々に溶け込んだ美しい景色の参道

別格10番札所西山興隆寺は、西山の中腹に位置し、登り坂の長い参道を有しています。紅葉の名所としても知られるお寺の美しい参道を楽しみながら参拝したいものです。

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六角堂から始まる長い参道

別格10番札所西山興隆寺(にしやまこうりゅうじ)は、高縄山系の西山の東ふもとに位置し、標高約100~300mに広大な寺域を有しています。
お寺へは長い登り坂の参道を進むことになりますが、この起点となるのが、西条市の文化財にも指定されている「六角堂」です。

西山興隆寺 参道

寺名の石碑と六角堂、墓地がある山の中腹から長い参道がスタートします。

西山興隆寺 六角堂

明和3年(1767年)に建造されたされる六角堂。堂内御本尊は六地蔵です。

西山興隆寺 石碑からの眺め

石碑からふもとを眺めると西条市丹原地域が一望できます。この地点ではまだ標高100m程度ですが、眺望は抜群です。

ここからはしばらく舗装路登り坂を進んでいきますが、木々が生い茂る山深くに入っている参道は雰囲気が一変します。

車遍路さんもしばらく行った先の駐車場に駐車し、歩きで参道を進みます。

 

無明から光明へのかけはし「御由流宜橋」を渡る

山深くの境内に入ってくると、まずは通過儀礼のごとく、橋を渡ります。

西山興隆寺 御由流宜橋

お迎え童子がお迎えしてくれる赤い橋を渡ります。

この橋は「御由流宜橋(みゆるぎばし)」と名付けられており、橋の裏側に光明真言が書かれている無明から光明のかけはしとされ、お大師さまがこの橋のたもとで「み仏の法のみ山の法の水 流れも清く みゆるぎの橋」と詠んだとも伝えられるお寺入口の重要な橋なのです。

西山興隆寺 三丁石

「みゆるぎ橋」の石碑の横に「三丁石」があります。本堂までまだ3丁=約330mあることからも広大な寺域を想像できます。

西山興隆寺 仁王門

御由流宜橋を渡った先に仁王門がありますが、僕が訪れた際は大改修中でした。

 

もみじの参道には伝説の史跡「牛石」「お楠狸」

仁王門をくぐると、西山興隆寺が「もみじの寺」とも呼ばれている由来の参道が始まります。

西山興隆寺 楓の参道

楓の木が生い茂る参道はひんやりとした静謐な空気につつまれていました。

この参道の楓が11~12月には真っ赤に色づき、もみじ狩りの名所としても知られていて、この時期は多くの観光客も訪れるお寺です。
苔むした石段参道は、紅葉の時期でなくてもお寺の歴史や聖域の空気を感じるのに十分な特別なものでした。

この参道には伝説の史跡がありますので、それも楽しみながらゆっくり歩んでいってください。

西山興隆寺 牛石

まずは巨石「牛石」です。そういわれてみれば大きな牛が座った姿のようにもみえます。

この「牛石」は、鎌倉時代に源頼朝が本堂の再建をした際に材料を運搬していた牛が倒れてしまい、この牛を弔うためにまつったものであると伝えられています。
参拝者は牛の口部分に草をはさんで、牛の労をねぎらうのが習慣になっているとのこと。

西山興隆寺 牛石の草

角度を変えて顔の口部分にはたしかに草がはさまれていました。

さらに石段参道を進んでいると、目を引く大きな楠の古木があります。

西山興隆寺 楠の巨木

苔がはえた古木に寺の歴史を感じます。

この楠には夫婦の狸が住んでいて、寺男に化けてでて、信仰心の深い参拝者には腰に手を添えて押し上げ、参道を進むのを助けていたという伝説があるそうです。
昔からこの参道を登っていくのに苦労していたことを物語る伝説です。

しばらく石段を上がっていくと立派な石垣が見えてきます。

西山興隆寺 石垣

この石垣の上が庫裏(納経所)になっていて、本堂までもう一息です。

ここから先のお寺の様子は、以下リンクの記事でご紹介していますので、ぜひ続きをご覧ください。

【別格10番札所西山興隆寺】伊予國の有力者の尊崇を得てきた千手千眼観世音菩薩の古刹

 

別格10番札所西山興隆寺の長い参道は、もみじの名所としても知られています。
登り坂は少々苦労はしますが、静謐な空気やお寺の歴史・伝説を体感しながらゆっくりと歩まれてください。

 

【「西山興隆寺 参道入口 六角堂」 地図】

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この記事を書いた人

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。