別格10番札所西山興隆寺は、西山の中腹に位置し、登り坂の長い参道を有しています。紅葉の名所としても知られるお寺の美しい参道を楽しみながら参拝したいものです。
六角堂から始まる長い参道
別格10番札所西山興隆寺(にしやまこうりゅうじ)は、高縄山系の西山の東ふもとに位置し、標高約100~300mに広大な寺域を有しています。
お寺へは長い登り坂の参道を進むことになりますが、この起点となるのが、西条市の文化財にも指定されている「六角堂」です。
ここからはしばらく舗装路登り坂を進んでいきますが、木々が生い茂る山深くに入っている参道は雰囲気が一変します。
車遍路さんもしばらく行った先の駐車場に駐車し、歩きで参道を進みます。
無明から光明へのかけはし「御由流宜橋」を渡る
山深くの境内に入ってくると、まずは通過儀礼のごとく、橋を渡ります。
この橋は「御由流宜橋(みゆるぎばし)」と名付けられており、橋の裏側に光明真言が書かれている無明から光明のかけはしとされ、お大師さまがこの橋のたもとで「み仏の法のみ山の法の水 流れも清く みゆるぎの橋」と詠んだとも伝えられるお寺入口の重要な橋なのです。
もみじの参道には伝説の史跡「牛石」「お楠狸」
仁王門をくぐると、西山興隆寺が「もみじの寺」とも呼ばれている由来の参道が始まります。
この参道の楓が11~12月には真っ赤に色づき、もみじ狩りの名所としても知られていて、この時期は多くの観光客も訪れるお寺です。
苔むした石段参道は、紅葉の時期でなくてもお寺の歴史や聖域の空気を感じるのに十分な特別なものでした。
この参道には伝説の史跡がありますので、それも楽しみながらゆっくり歩んでいってください。
この「牛石」は、鎌倉時代に源頼朝が本堂の再建をした際に材料を運搬していた牛が倒れてしまい、この牛を弔うためにまつったものであると伝えられています。
参拝者は牛の口部分に草をはさんで、牛の労をねぎらうのが習慣になっているとのこと。
さらに石段参道を進んでいると、目を引く大きな楠の古木があります。
この楠には夫婦の狸が住んでいて、寺男に化けてでて、信仰心の深い参拝者には腰に手を添えて押し上げ、参道を進むのを助けていたという伝説があるそうです。
昔からこの参道を登っていくのに苦労していたことを物語る伝説です。
しばらく石段を上がっていくと立派な石垣が見えてきます。
ここから先のお寺の様子は、以下リンクの記事でご紹介していますので、ぜひ続きをご覧ください。
【別格10番札所西山興隆寺】伊予國の有力者の尊崇を得てきた千手千眼観世音菩薩の古刹
別格10番札所西山興隆寺の長い参道は、もみじの名所としても知られています。
登り坂は少々苦労はしますが、静謐な空気やお寺の歴史・伝説を体感しながらゆっくりと歩まれてください。
【「西山興隆寺 参道入口 六角堂」 地図】