【別格1番札所大山寺】阿波國最初の仏法道場は武将の尊崇を集めた「力餅」が有名なお寺

別格1番札所大山寺は、その起源が6世紀前後の古墳時代だと伝わり、阿波国最初の仏法道場だともいわれる古刹です。各時代のいろいろな武将の尊崇を集め、巨大な鏡餅を運ぶ「力餅」の伝統が現代にも残されています。

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山門前の大杉とお迎え童子

別格1番札所大山寺(たいさんじ)は、徳島県板野郡上板町の標高691mの大山の中腹、標高450m地点に位置する山岳霊場です。
四国八十八ヶ所の5番札所地蔵寺の付近から西方向に進み、傾斜がきつく道幅が狭い舗装路をお寺に向かって登っていきます。

標高400m付近までくると周辺の視界がひらけて、大山寺の山門に到着です。
車遍路さんはこの山門を車でそのまま通り過ぎて、本堂近くまで車で行くこともできます。

大山寺 山門 矜迦羅童子

大山寺は、四国三十六不動尊霊場の1番札所でもあり、「矜迦羅童子(こんがらどうじ)」が山門前でお迎えしてくれます。

大山寺 石段参道

山門をくぐってからは、急傾斜の石段をさらに登る必要があります。

山門付近には、上板町天然記念物に指定されている大杉もあり、車で本堂近くまで行くことはできますが、ぜひ山門から参拝していただきたいです。

大山寺 大杉

度重なる山火事や台風の災害をまぬがれてきたと伝わる大杉。

大山寺 石段参道 鐘楼門

石段をがんばって登りきった先の立派な鐘楼門をくぐれば本堂に到着です。

 

阿波國最初の仏法道場

大山寺の縁起によると、古墳時代の西暦500年頃に「西範僧都(せいはんぞうず)」が開基した阿波國最初の仏法道場であると伝えられています。
その後、平安時代に空海が当寺を訪れ、伽藍を整備するとともに、唐の国で恵果和尚よりあずかった千手千眼観世音菩薩像をまつって御本尊とし、四国霊場開創の根拠地としたといわれています。

大山寺 本堂

千手千眼観世音菩薩がまつられている本堂は登録有形文化財で、堂前には巨木とともに堂々としたたたずまい。

日本への仏教伝来は早くとも宣化天皇3年(538年)とされており、大山寺の開基縁起は伝承の域を出ないという説もありますが、かなり古い時期からお寺が存在し、阿波國、また四国においての仏法道場の重要な役割を担ってきたものと思われる古刹で、お大師さまとも由縁が深いお寺です。

 

巨大な鏡餅を運ぶ「力餅」

大山寺は、いろいろな武将の尊崇を集めたお寺としても知られています。

戦国時代に蜂須賀氏が阿波國に入ると、御祈願所として庇護し多くのものを奉納したそうです。
同時期に近くの七條城主「七条出羽守兼仲(しちじょうでわのかみかねなか)」が大山寺に祈願し怪力を得たという伝説も残っています。
そのお礼として九重の石塔と鏡餅を当山に背負い上げたといわれ、この伝説にちなみ、江戸時代になると徳島藩主蜂須賀家は家臣に大鏡餅を担がせ力自慢を競わせたとのこと。
この行事が現代にも「力餅」いう名前で続いており、毎年1月第3日曜日に大鏡餅(86kg)を載せた三方(合計169kg)を抱えて歩く距離を競っています。

大山寺 力餅像

境内には「力餅」の様子を伝える像もありました。

大山寺 大師堂

大師堂も江戸時代に阿波藩主の命により再建されたものが現在も残されています。

 

源義経戦勝祈願と牛馬守護信仰

戦国時代からさかのぼり、平安時代後期には、平家を追って四国に入った源義経が、香川県の屋島の合戦に向かう途中に大山寺に立ち寄り戦勝祈願をしたと伝わっています。
その際に義経秘蔵の白毛の名馬「薄雪」を奉納したとされていて、薄雪没後は当寺で手厚く葬られ、境内には現在も銅馬像とお墓が安置されていて、牛馬を守護する信仰が続いています。

大山寺 薄雪銅像

江戸時代に奉納された銅馬像。

大山寺 五輪塔 九重の石塔

薄雪の墓石とされる五輪塔と、七条出羽守兼仲ゆかりの九重の石塔。

このように多くの武将に尊崇を集めた大山寺は、現代では開運祈願、縁結びのご利益があるお寺として親しまれています。

 

別格1番札所大山寺は、阿波國の仏教布教に大きな役割を果たし、お大師さまの四国霊場開創ともゆかりがある古刹です。
伝統行事「力餅」や境内に残されている史跡の数々からその歴史を感じてみてください。

 

【別格1番札所】  仏王山 玉林院 大山寺(ぶつおうざん ぎょくりんいん たいさんじ)
宗派: 真言宗醍醐派
本尊: 千手観世音菩薩
真言: おん ばざら たらま きりく
開基: 西範僧都
住所: 徳島県板野郡上板町神宅大山14
電話: 088-694-5525

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この記事を書いた人

四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路(https://shikokuhenro.co.jp/)の代表取締役。四国遍路の文化をより良い形で引き継いでいくために、四国遍路に新しい付加価値を生み出すべく日々奮闘中。