79番札所天皇寺から本来の札所順とは違って81番札所白峯寺に向かうルートがあります。その道は「西行法師」ゆかりの遍路道で、途中には香川県内最大級の幻の瀑布「稚児ヶ滝」に目を奪われます。
79番札所天皇寺から81番札所白峯寺へ
79番札所天皇寺から80番札所国分寺へは県道33号から国道11号に沿うように東方向に進んでいきますが、本来の札所順とは違って、79番から81番札所白峯寺に向かって、79→81→82→80と打つルートもあります。
80番から81番への遍路道は、「遍路ころがし」と呼ばれる急坂を登るルートで、今回ご紹介するルートを通れば、この急坂登山を避けることができます。
※80番から81番への「遍路ころがし」の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【81番札所白峯寺への遍路ころがし】最後の「遍路ころがし」はあっという間で景色を楽しむ余裕あり
79番札所から北方向に進み、雲井橋で綾川を渡って、79番札所から4.5kmほど進んだところに、番外霊場の「松浦寺」があります。
このお寺は、お大師様が42歳の厄年に、大きな岩の上で厄除祈願の秘法を修められた場所といわれており、現在も「求聞持石」と呼ばれる岩が残されています。
※松浦寺に関しては、以下リンクの記事で紹介されていますので、ぜひこちらもご覧ください。
松浦寺から県道161号(さぬき浜街道)に抜けて、「青海神社」を目指してください。
【「松浦寺」 地図】
崇徳天皇を弔った「西行法師」ゆかりの道
81番札所白峯寺は、平安時代に讃岐國に配流になり非業の死をとげた「崇徳(すとく)天皇」と関係が深いお寺で、この地には崇徳天皇陵があります。
※崇徳天皇に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【81番札所白峯寺】「崇徳上皇」慰霊のための「勅額」と「石造十三重塔」は重要文化財
松浦寺からたどり着いた「青海(おうみ)神社」は、崇徳天皇が荼毘にふされた際に出た煙が山のふもとの1ヶ所にとどまったといわれる場所に建っており、別名「煙の宮」ともいわれています。
崇徳天皇は強い怨念をかかえて死をとげたといわれており、様々な怪奇現象の伝説が残っています。
青海神社から山上の崇徳天皇陵(81番札所白峯寺)に向かう道が「西行法師の道」として、整備されています。
西行法師は平安時代に活躍した歌人で、崇徳天皇が都にいるときから親交が深かった人物です。
崇徳天皇がこの地で非業の死をとげた後、讃岐國を訪れその霊をなぐさめたといわれていて、現在の西行法師の道にはたくさんの歌碑と灯籠が奉納されています。
香川県最大級の幻の瀑布「稚児ヶ滝」
「西行法師の道」をしばらく登った先で、この道の最大のみどころの大きな滝が視界に飛び込んできます。
「稚児ヶ滝(ちごがたき)」と名付けられたこの滝は、水の落差が100メートルほどあり、高い山がなく滝自体が少ない香川県では最大級のもので、普段は水がほとんど流れていないのですが、雨が降ったあとだけものすごい勢いで水が流れ落ちることから「幻の瀑布」ともいわれることもあるそうです。
僕が訪れた日は、ちょうど前日に雨が降ったあとだったので、激しい水しぶきを見ることができてラッキーでした。
稚児ヶ滝の名前の由来は、神話の時代までさかのぼり、以下のような伝説が残っているそうです。
このあたりの海に悪魚が現れ、船や人を飲み込むので人々が困り果てていたところ、時の景行天皇が日本武尊を八十八人の兵士とともに退治に向かわせた。
魚はやっつけたが兵士は毒気に当たり、気を失ってしまった。
その時白峰山の方から雲に乗って瓶を持った神童が現れ、瓶の水を兵士たちに与えるとよみがえったそうで、その神童が飛び帰っていった山を「稚児ヶ嶽(ちごがだけ)」といい、そこから稚児ヶ滝と名付けたそうな。
※稚児ヶ滝に関して、以下リンクの記事でも詳しく紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。
【稚児ヶ滝】2024年は出現の機会が多い雨上がり限定のまぼろしの滝
79番札所天皇寺から81番札所白峯寺へ向かうルートは、崇徳天皇ゆかりの史跡をたどる道であり、白峯寺の歴史も知るきっかけにもなります。
遍路道中では意外と出会うことが少ない滝をながめることができ、景色も楽しめますので、ぜひこちらのルートも一度は試してみてください。
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ツアーの様子を撮影した以下動画をぜひご覧ください。
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