遍路旅でいくつも乗り越えてきた「遍路ころがし」も、81番札所白峯寺への登山道でいよいよ最後です。これまでの遍路道での経験が活きたのか、あっという間に山を登りきり、景色を楽しむ余裕もありました。
「国分寺」から「五色台」への登山開始
80番札所国分寺を出発し、北方向に進んでいきますが、そこは行く手を阻むように台形に山が連なっています。
ここは「五色台(ごしきだい)」と呼ばれる連峰で、この連峰の上に81番札所白峯寺と82番札所根香寺があるのです。
ちなみに「五色台」という名前は、この連峰に「青峰」「紅峰」「黄峰」「白峰」「黒峰」の5色の名がついた山が含まれていることからそう呼ばれるようになったそうです。
ということで、山の上にお寺があるということは当然登山開始なのですが、この登山道がこの遍路旅でいくつも乗り越えてきた難所登山道「遍路ころがし」の最後のルートということで、気合を入れなおして山道に向かいます。
※他所の「遍路ころがし」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
急坂途中の東屋から景色を楽しむ
国分寺から「五色台」方向に住宅街の舗装路を約2km進んでいくと、未舗装登山道の入口に到着です。
ここまででもゆるやかに登ってきて、標高100mぐらいまできています。
無心にしばらく進んでいると、下界の景色がきれいに見えるビューポイントがいくつかあります。
他所の「遍路ころがし」では、木立の中を歩くルートが多く、景色が見えないことの方が普通だったので、気分よく登山を続けることができます。
あっという間の「遍路ころがし」制覇で今までの遍路道を振り返る
景色を楽しんだ東屋休憩所からさらにどれだけの困難が待ち構えているのかと登っていくと、ほどなくして舗装林道に出ます。
ここが「一本松」地点で、実はここが「遍路ころがし」の終点で、最後の「遍路ころがし」を制覇してしまったのです。
登山道距離約1.5km、標高差約250mで、それほどしんどい思いもせず、景色を楽しむ気持ちの余裕もあり、あっという間に到着してしまいました。
これも、ここまでの遍路旅でいくつもの難所を越えてきたからこそのご褒美だと思います。
「遍路ころがし」を振り返ってみると、やはり一番厳しかったのは最初の12番札所焼山寺への登山道でした。
単純に登山道距離が約13kmでとても長いことと、2つの山を越えるため、途中で急な下り道がいくつかあることが、きついと感じた理由だと私は分析しています。
遍路ころがしに限らず、いくつもの山道・峠道を経験して、危険で辛いのは登り道よりも下り道であることがよくわかりました。
ここ白峯寺への遍路ころがしのように、傾斜はきつくても登り続けるだけであればなんとかなります。
最後の遍路ころがし制覇は少々拍子抜けでしたが、今までの遍路道を振り返った思い出深い場所になりました。
白峯寺の手前には珍しい「摩尼輪塔」
舗装林道をしばらく歩いてから、再度未舗装路に入ります。
未舗装路を進んでいくと、案内看板が立っている大きな石碑がありました。
屋根で守られた石碑の中央の円板部分は、苦しい仏道修行の最終の位「摩尼輪(まにりん)」を表していることから、この石碑は「摩尼輪塔(まにりんとう)」と呼ばれているそうで、白峯寺手前に残っているこの「摩尼輪塔」は鎌倉末期の1312年に建立されたたいへん珍しいものとのこと。
この塔の円板下と、隣の石碑に書かれている「下乗(げじょう)」という文字は、馬や乗り物から降りる指示で、聖地に足を踏み入れる際にはここまで乗り物でたどり着いた高貴な人も、ここからは自らの足で歩んでいかなければいけないことを意味しているそうです。
私はもちろん歩いてせっせとここまでたどり着いたので、下乗する必要はないのです。
ということで、この石碑が目印となり、ここから先は白峯寺の聖地に入っていくことになります。
遍路道中で最後の遍路ころがしである81番札所白峯寺への登山道は、油断しているとあっという間に登りきってしまうので、景色も楽しみながら、今までの登山の苦労を振り返りながら歩んでいくのがオススメです。
四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路では、喝破道場と共同で、五色台周辺の札所・遍路道・遍路文化を体験を通してご紹介するツアープランをご提供しています。
ツアーの様子を撮影した以下動画をぜひご覧ください。
ツアーの参加希望・お問い合わせは株式会社四国遍路にご連絡ください。
TEL: 087-899-6737
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