【稚児ヶ滝】2024年は出現の機会が多い雨上がり限定のまぼろしの滝

香川県中央部の五色台の北側に香川県最大の滝「稚児ヶ滝」がありますが、出現機会が少ないため「まぼろしの滝」という異名がつけられています。規模もさることながら、この滝には当地における伝説が秘められています。

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稚児ヶ滝_空撮

まとまった雨のあとに出現する稚児ヶ滝は、2024年の夏は雨が多く出現率が高くなっています。

 

まぼろしの滝「稚児ヶ滝」がある場所

稚児ヶ滝_アクセス

自家用車でアクセスするのであれば五色台スカイラインのヘアピンカーブのところが最寄りで、カーブの先から神社の参道が伸びていますので、徒歩であればふもとにある青海神社から登って来ることが可能です。

香川県最大の滝である「稚児ヶ滝(ちごがたき)」があるのは、香川県中央部の山塊・五色台(ごしきだい)の北側です。81番札所白峯寺を目指して五色台スカイライン方面からアクセスすると、ヘアピンカーブ付近で岩から水が流れ落ちる滝を確認することができます。

ただしそれが可能なのは、まとまった雨が降った直後に限られるというのが稚児ヶ滝の特徴。普段は水量が少ないため、雨が少ない年は確認できたとしてもちょろちょろ流れる水で岩が濡れているのがわかる程度です。香川県最大の落差でありながら、常時その流れを見ることができないため「まぼろしの滝」の異名があります。

なお、滝が出現していれば五色台スカイラインを上がって来なくても、ふもとの県道161号(さぬき浜街道、旧高松坂出有料道路)から見上げると滝を確認することができます。
※山の麓の青海神社から続く道に関して、以下リンクの記事で紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

【79番札所天皇寺→81番札所白峯寺】「西行法師の道」の幻の瀑布「稚児ヶ滝」

 

稚児ヶ滝と神童伝説

稚児ヶ滝_空撮近景

「稚児ヶ滝」の名の由来はこの地に現れた神童伝説に由来します。

その昔、この辺りの海に悪魚が現れ人々を困らせるので、時の第12代景行天皇は子の日本武尊(やまとたけるのみこと)に命じて88人の兵士と共に悪魚退治に向かわせました。任務通りに魚を退治することはできたものの兵士らは毒に当たり気を失ってしまいました。その時こちらの滝がある白峰山の方向から瓶を持った神童が雲に乗って現れ、その瓶の水を兵士たちに与えたところ蘇生することができました。
神童は礼も受け取らず飛び去っていきますが、その帰っていった山が「稚児ヶ嶽(ちごがだけ)」と呼ばれるようになり、そこから流れ出す滝は「稚児ヶ滝」と呼ばれるようになったそうです。

神童が蘇生に用いた瓶に入っていた霊水は近くの泉で汲んだものと伝えられ、このエピソードからその泉は「弥蘇場(やそば)」と呼ばれるようになり、やがて「八十場(やそば)」に転じたようです。その泉とは79番札所天皇寺の手前にあり、ところてんが名物として知られている所です。

後年、保元の乱(1156年)に敗れ配流になった第75代崇徳天皇が当地で崩御した際、白峯山で荼毘に付すための勅許を得る間の約20日間、八十場の霊泉に漬けて保存したといわれます。それは神童の霊水の言い伝えが作用したことが想像できます。
※八十場の霊泉に関して、以下リンクの記事で紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

【79番札所天皇寺近く】崇徳上皇伝説の「八十場の霊泉」のほとりに立つ中務茂兵衛標石

【清水屋】八十場の霊泉の隣でお遍路さんを癒し続ける老舗茶屋の名物ところてん

【81番札所白峯寺と79番札所天皇寺】2寺を結ぶ崇徳上皇の御霊鎮魂のレイライン[ゆかりの地とレイライン編]

 

崇徳天皇が祀られる白峯山

稚児ヶ滝_81番札所白峯寺_白峯御陵

谷間に流れ落ちる稚児ヶ滝の左側岩盤上にある建造物が81番札所白峯寺で、木々に覆われ見えていませんが、寺院に隣接して崇徳天皇を祀った白峯御陵があります。

 

滝の近くには四国八十八ヶ所霊場81番札所白峯寺があります。五色台上にふたつある札所のひとつですが、寺院に隣接して崇徳天皇の御霊を祀った白峯御陵があります。

稚児ヶ滝_真上

81番札所白峯寺へ入山する際に山門前で橋を渡りますが、その下を流れている川がこちらの滝になって流れ落ちています。

崇徳天皇は都を追われやってきた讃岐の地で亡くなったと伝わりますが、稀に出現する稚児ヶ滝の流れは、故郷に戻ることができず失意の念を抱きながら当地で亡くなった崇徳天皇の涙があふれた出した時とも例えられます。

それでいくと2024年の夏は稚児ヶ滝の出現が多く、それは全国各地で頻発する豪雨災害に天皇が心を痛めておられるのでしょうか。昨今の気象状況ならではですが、香川県最大かつ滅多にその姿を見せないまぼろしの滝を見るのであれば、2024年はチャンスといえます。

当記事には滝と霊水が登場しますが、滝の水が霊水ではなくそれぞれ別の場所のものなので、簡単に整理しておきます。

日本武尊の悪魚退治…伝4世紀頃
神童が現れ去っていた山…稚児ヶ嶽 ※81番札所白峯寺近く
神童が持った水…八十場の霊水 ※79番札所天皇寺近く
雨が降った後に姿を現すまぼろしの滝…稚児ヶ滝 ※81番札所白峯寺近く

崇徳天皇の讃岐國配流…1156年
崇徳天皇の亡骸が仮安置された場所…八十場の霊水 ※79番札所天皇寺近く
崇徳天皇御陵…81番札所白峯寺隣接

名物のところてん…八十場の泉 ※79番札所天皇寺近く

 

雨上がりにだけ現れるまぼろしの滝「稚児ヶ滝」

2024年6月に出現した稚児ヶ滝の様子を空撮動画で取り上げていますので、こちらもぜひご覧ください。

 

【「稚児ヶ滝」 地図】

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。