81番札所白峯寺は、讃岐に配流になった「崇徳上皇」の陵墓が築かれた地にあるお寺です。上皇の慰霊のためのものが多く残っており、「勅額」と「石造十三重塔」は国の重要文化財に指定されています。
最後の「遍路ころがし」を登った先では珍しい山門がお出迎え
80番札所国分寺を出発したあとには、遍路道中で最後の「遍路ころがし」である急坂を登り、五色台山中の遍路道をしばらく歩くと、81番札所白峯寺に到着です。
※白峯寺への遍路ころがしの様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【81番札所白峯寺への遍路ころがし】最後の「遍路ころがし」はあっという間で景色を楽しむ余裕あり
白峯寺では珍しい形の山門がお出迎えしてくれます。
![白峯寺 山門](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01303-1024x683.jpg)
高麗形式の門の左右に2棟の塀を連ねた珍しい堀重門です。境内には巨大な杉の木が何本もそびえているのが見えます。
山門をくぐって正面にあるお堂が「護摩堂」で、納経所になっているのと、「本堂」「大師堂」が急な石段をのぼった先なので、そこまでたどりつけない人がお参りできるように大師像がまつられています。
![白峯寺 護摩堂](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01305-1024x683.jpg)
歩き遍路さんは問題なく「本堂」「大師堂」までのぼれますのでご安心を。
「弘法大師」「智証大師」創建のお寺と「崇徳上皇」
白峯寺の縁起によると、弘仁6年(815年)に空海がこの地を訪れ、白峯山の山頂に如意宝珠を埋め井戸を掘り、衆生済度を祈願に堂宇を建立し、その後貞観2年(860年)に円珍(智証大師)が白峯大権現の神託を受けて千手観世音菩薩を霊木に刻み安置したのが起源といわれています。
![白峯寺 本堂](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01318-1024x683.jpg)
急な石段をのぼった先に御本尊「千手観世音菩薩」をまつる「本堂」があります。江戸時代以前の慶長4年 (1599年) 再建の歴史あるお堂。
白峯寺の歴史の中で必ず知っておかなければいけないのが「崇徳上皇」の存在です。
79番札所天皇寺の記事でもご紹介しましたが、崇徳上皇は平安時代末期に都で皇位継承問題に端を発した内乱「保元の乱」が起こり、それに敗れ流罪になり送られたのが讃岐國で、天皇・上皇が配流になるのはたいへん珍しく、皇位を剥奪され、都に戻ることも許されずに、ほどなくして非業の死を遂げることになります。
現在の白峯寺がある場所には崇徳上皇の陵墓が造られまつられていますので、お寺参拝の際にはぜひ陵墓にもお参りをしてください。
ちなみに四国内で天皇家のお墓があるのはここ1カ所で、とても珍しく、天皇家で都以外で亡くなることがそれだけ稀なことであることがわかる史跡でもあります。
![白峯寺 境内 崇徳天皇陵墓への道](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01327-1024x683.jpg)
境内の護摩堂から左に進んだ先にわかれ道があり、それを左に進むと…
![白峯寺 崇徳天皇陵墓への道 杉神木](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01325-1024x683.jpg)
巨大な杉が並ぶ道があり、ここを100mほど進むと…
![崇徳天皇白峯陵](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01323-1024x683.jpg)
「崇徳上皇」の陵墓があります。
崇徳上皇怨霊伝説と慰霊の史跡
崇徳上皇の死後、都の天皇家では災いが相次いだことから、崇徳上皇が怨霊となって祟っているのではないかという噂が広がり、死地である讃岐國でも慰霊のための取り組みがなされ、陵墓の近くには「頓証寺(とんしょうじ)」が建立され、供養を行ったそうです。
![頓証寺 勅額門](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01306-1024x683.jpg)
現在の白峯寺境内の本堂にのぼる石段前に「頓証寺」があります。
のちの応永21年(1414年)には、後小松天皇が崇徳上皇の成仏を願い自筆の額(勅額)を頓証寺に奉納したり、江戸時代の延宝8年(1680年)には、高松藩主の松平頼重・頼常公が大願主となり「頓証寺殿」「勅額門」の再建を行うなど、長く供養が続けられてる歴史があります。
![頓証寺 勅額門 勅額](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01307-1024x683.jpg)
現在の「勅額門」にある勅額はレプリカだそうですが、後小松天皇自筆の勅額が残っており、国の重要文化財に指定されています。
また、鎌倉時代には源頼朝が崇徳上皇供養のために石塔を建立しており、これも現在まで残っており、国の重要文化財に指定されています。
歩き遍路だと通らない道沿いにありますので、少しまわり道をしてぜひ立ち寄ってみてください。
![白峯寺 門前駐車場 トイレ 石造十三重塔への道](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01300-1024x683.jpg)
山門前の駐車場のトイレがある方向の道を100mほど進むと…
![白峯寺 石造十三重塔](https://pilgrim-shikoku.net/cms/wp-content/uploads/2015/10/DSC01299-e1445903372872.jpg)
「石造十三重塔」が2塔あります。材質と工法が各々異なっており、鎌倉中期と後期の別の時期に建てられたようです。
81番札所白峯寺参拝の際には、崇徳上皇の歴史に触れることは外せません。
「頓証寺」「崇徳天皇陵墓」「石造十三重塔」にはぜひ立ち寄ってみてください。
四国遍路情報サイト「四国遍路」を運営する株式会社四国遍路では、喝破道場と共同で、五色台周辺の札所・遍路道・遍路文化を体験を通してご紹介するツアープランをご提供しています。
ツアーの様子を撮影した以下動画をぜひご覧ください。
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【81番札所】 | 綾松山 洞林院 白峯寺(りょうしょうざん どうりんいん しろみねじ) |
宗派: | 真言宗御室派 |
本尊: | 千手観世音菩薩 |
真言: | おん ばさら たらま きりく |
開基: | 弘法大師 智証大師 |
住所: | 香川県坂出市青海町2635 |
電話: | 0877-47-0305 |