82番札所根香寺から別格19番札所香西寺方面に五色台を下る四国のみち。麓の集落にはこの地特産のみかん畑が広がっています。里を進む道中、分岐に気をつけなければいけないところが複数箇所ありますのでご案内します。
五色台は香川県の有数のみかんの産地
82番札所根香寺から別格19番札所香西寺方面に五色台を歩いて下るルートの前半部分は、四国のみちにも指定されている自然道の良道です。
※前半部分の様子は以下リンクの記事をご参照ください。
【82番札所根香寺→別格19番札所香西寺】五色台から高松市街地方面に下る歴史ある四国のみち
82番札所根香寺から山道を約1.3km下ってくると、麓の集落にたどり着きます。この集落ですぐに目につく特徴的な景観があります。

集落の分岐点には四国のみち道標がありますが、着目すべきは道標のまわりの木。

集落の道沿いにはみかんの木がたくさん並んでいます。
80番札所国分寺、81番札所白峯寺、82番札所根香寺がある香川県高松市と坂出市にまたがる五色台(ごしきだい)は、台形をした峰が連なる独立した山塊で、山の斜面や麓は四方から日当たりが良く、瀬戸内海が近く瀬戸内式の温暖で乾燥した気候であるため、柑橘類の栽培に適していて、香川県内でも有数のみかんの産地になっています。
この道を歩いたのが2月だったので、ちょうどみかんの収穫の最盛期で、たくさんのみかんが木に実っていて、農家さんが収穫作業をしていらっしゃいました。
冬から春にかけては、集落やお寺で無人販売所がたくさん開設されているので、お遍路さんも遍路道中に購入されることも多いのではないでしょうか。
みかん畑ののどかな風景を眺めながら、四国のみちの道標に従って、歩みを進めていきます。

四国のみちに従って進んでいけば迷うところはありませんが、舗装工事中の道は通ってもよいのか迷いました。

木に隠れてしまいそうな道標もあったので、周囲をよく確認しながら進んでください。
第一注意ポイント「一ノ瀬集会場」交差点
みかん畑密集地を抜けていくと、住宅街に入っていきます。このあたりまで進んでくると、生活道がかなり入り組んでくるので、進む方向を間違わないようにしないと、あらぬ方角に進んでしまったり、大きく遠回りになってしまいます。
まず初めに訪れる迷いやすいポイントが、以下地図に示す「一ノ瀬集会場」がある交差点です。
道を進んできて、住吉川にかかる橋を渡ったところが以下写真のような交差点になっていて、道標もみえないので、どちらに進むのか迷いました。

十字路になっていますが、道標は見当たりません。正面左の建物が一ノ瀬集会場です。
メインの道路は写真の左右方向(南北方向)で、山を下るのは左方向(北方向)なので、そちらに進みかけたのですが、何か不安になって、交差点周辺をよくよく探索してみたところ、まさかのものを発見しました。

先程の写真のカーブミラーの裏側、茂みに隠れて四国のみちの道標がありました。道標の「白峯道香西口」と示された、進行方向からみると直進方向に進みます。

上の写真の奥の方の緑のフェンスの向こうに見える石柱は、遍路道を示す標石でした。
この道標と標石を見逃して、北方向に山を下って行ったら、本来の道からは大きく外れ、遠回りになるところでした。四国のみちの道標は、おそらく建てた当初は交差点でちゃんと見えていたのだと思いますが、周辺の木が成長したことで隠れてしまったのだと思います。
このルートはお遍路さんや四国のみちを歩くハイカーの人数はけっして多くはないのだと思いますが、道標の状態が今のままだと役に立っていないので、何かしら対策をしたいところです。
運よく道標を発見して、道をそれることを回避できたので、道標の方向に坂をくだっていくと、昔ながらの切通しの道で、距離的にも最短ルートを進むことができました。

切通し道の登り口には、丁石らしきお地蔵さんと、四国のみち道標もありました。

昔の雰囲気を残す切通し道は、最短距離で小さな峠をこえられます。

通ってきた切通し道を、池の土手から振り返って撮影。写真では小さくてわかりづらいですが、写真中央の木の陰にも道標があって、進行方向からは木に隠れて見えませんでした。
最短距離かつ住宅開発が進んだエリアで昔の風情を遺す切通しの道ですが、道標を探しながら慎重に進まないと違う道に行ってしまいそうな要注意ポイントです。
第二注意ポイント「四国のみち」か「最短遍路道」か
切通し道を通過してからは、しばらく住宅街の生活道を進んで行きます。いくつか分岐点がありますが、少々わかりづらくはありますが、遍路道のシールを頼りに歩みを進めます。

カーブミラーのポールに遍路道を示すシールを貼ってくださっています。

82番札所根香寺を出発してから初めてみつけた自動販売機。このルートは飲料補給をできる店・自動販売機やトイレはほとんど見当たらないので、根香寺出発前にしっかり準備をしてからスタートしてください。
しばらくは生活道を進んでいったところで、その後に進む方向を決定づける分岐点があります。その場所は以下の地図の交差点です。
五色台方面から進んできて、この交差点を見た様子は以下の写真です。

道なりに進むと直進になりこちらが四国のみちですが、右折の選択肢があります。

上の写真の右折方向のガードレールに消えかかっているへんろみちシールがあります。
ガードレールに消えかかったへんろみちシールがあって、まずこれを見つけるのが困難ですが、もし見つけたとしても、示している方向が直進なのか右折なのか微妙なところです。
直進方向が四国のみちに指定されている道で、ここから300mほど進んで行くと、四国のみちの区間終点である白峯道香西口にたどり着き、そこからは県道16号線を別格20番札所香西寺方面に進むことになります。

先程の交差点からしばらく進んだ先に四国のみちの道標があり、最後の分岐を農道風の道に入ります。

鳥居が目印の四国のみち終点の白峯道香西口に到着です。
この道は、今回のように五色台から下ってくるというよりは、麓から山上の根香寺や白峯寺に参拝に向かうための登り口としての意味あいが強かったのでしょう。
このルートでももちろん別格19番札所香西寺にたどり着くのですが、遍路地図「四国遍路ひとり歩き同行二人」には、先ほどの分岐点を右折方向が遍路道として推奨されています。
前出の地図をご覧いただいても、別格19番札所香西寺に向かう方角としては、右折した方が最短距離を進めそうにみえます。
右折してしばらくは広めの舗装路を進んでいきますが、かなり登り傾斜なので、ここまで山を下ってきて再度登るというのは不安になってきます。ただし、ここは小さな峠のような地形になっていて、峠の頂点を過ぎればあとは下るだけなので、しばらくの辛抱です。
次の分岐点は以下地図の交差点です。

複雑な形をした四差路を進んできた方向からみて左斜め前方に進みます。

よくみると、ここのガードレールにも消えかかった遍路道を示すシールが貼られていました。
この四差路を間違えずに曲がりさえすれば、あとは別格19番札所香西寺に向かって、最短距離を下っていくことができます。

分岐したあとの下り道からは、ミカン畑、ため池、高松市街地、屋島などこの地域特有の風景がみえます。

先程の写真でみえたため池は奥の堂池で、香西寺の前身である行基が創建した勝賀寺があった場所と伝わり、勝賀山の北麓に位置していて、勝賀山を背負うような位置関係です。
奥の堂池をぬければ、住宅街に入っていきますが、ここでも分岐があります。遍路地図では以下写真の交差点を直進を推奨されていて、たしかにこちらの方が多少距離は短いですが、僕のおすすめは右折からすぐに左折して、ため池の土手を通るルートです。

ガードレールには直進方向を示すシールが貼られていますが、僕のおすすめは右方向です。

ため池の土手道は高台になっていて気持ち良いです。目の前に見える小高い丘の向こう側が別格19番札所香西寺です。

土手道の左下に見える道が遍路地図推奨ルートで、ため池をこえたところで合流します。

香西寺の裏の丘にはミニ八十八ヶ所があり、平賀神社を過ぎれば、香西寺境内です。
ここまで、82番札所根香寺から別格19番札所香西寺への道のりをご紹介してきました。前半の山下りの自然道を通り抜けたあとの後半は、ミカン畑や住宅街の五色台麓集落を進みます。
いくつか注意すべき分岐点があるので、道の様子をよく確認しながら、香川らしい風景も楽しみながら歩まれてください。