別格20番札所大瀧寺は、標高946mの「大滝山」の山上付近に位置し、別格霊場最高峰です。歩き遍路道は分岐点がわかりづらいので、道標に注意しながら進み、登山道を制覇してください。
夏子ダムから大滝山の中腹へ
別格20番札所大瀧寺(おおたきじ)は標高946mの「大滝山(おおたきさん)」の山上付近に位置し、別格霊場最高峰で、歩き遍路さんはハードな登山を制覇しないとたどり着くことができません。
※「大瀧寺」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【別格20番札所大瀧寺】別格霊場最高峰の山岳信仰の聖地は四国八十八ヶ所総奥之院
歩き遍路さんが結願の88番札所大窪寺から大瀧寺に向かう最短ルートは、「夏子(なつご)ダム」を経由するルートです。
僕は夏子ダムの駐車スペースまで車で移動し、ここから歩き遍路道での登山を試みました。
※夏子ダムと登山道中前半の様子は、以下リンクの記事ですので、まだご覧いただいていない場合は、こちらを先にご覧ください。
【88番札所大窪寺→別格20番札所大瀧寺・前半】夏子ダムからのショートカット遍路道は通行不可
舗装迂回路を大幅にショートカットできる歩き専用未舗装路が通行止め状態だったので、やむなく舗装路を進み、夏子ダムから距離にして約4km、標高約450mのところまで進んでくると、山深くに入ってきた実感がわく景色に出会いました。
現在はここを進む歩き遍路さんの数は少ないと思われますが、かなり以前に設置されたであろう道標シールがいくつか残っていますので、それを確認しながらしばらく舗装路を歩いていきました。
農道・林道への分岐を見逃すなかれ
舗装路を進んでいると、山側に農道への分岐路があり、はじめはあまり気にせず素通りしようとしたのですが、何やらあやしさを感じて農道側を見てみると、遍路道標を発見しました。
この分岐点はあやうく見逃すところでした。
そのままメインの舗装路を進んでも(車遍路さんはこちらの道を進みます)、大瀧寺にはたどり着けるのですが、かなり遠回りになるのと、ひたすら舗装車道なので、歩いた気分はだいぶ違うのではないかと思います。
ということで、運よく遍路道標に導かれて、農道に入っていくと、貴重な史跡を発見です。
大瀧寺への遍路道で丁石を見つけたのはここだけだったのですが、昔は多くの丁石がお遍路さんを導いていたのだと思います。
農道を500mほど進んでいくと、今度は未舗装林道に突入します。
しばらく進んでいくと、71番札所弥谷寺から別格18番札所海岸寺にぬける遍路道でも設置されていた草刈道具を発見しました。
遍路地図「四国遍路ひとり歩き同行二人」によると、このあたりの道は6~10月は草木繁茂で通行不能と注記書きがあります。
僕が歩いたのは5月でしたので、まだ草は伸びはじめといったところでしたが、たしかに夏時期は草木をかきわけながら進まなければならない状況も考えられます。
夏子ダムからの前半道中の通行止め遍路道や、分岐がわかりづらいところ、草木の茂り具合など、事前の準備や情報収集をしておかないと安全に歩くことが難しい遍路道ですので、ぜひ本サイトの記事も参考にしていただき、細心の注意をはらって歩いていただきたい遍路道です。
ちなみに、登山後に大瀧寺のお寺の方と話をした際には、この遍路道区間には多くの私有地(私道)が含まれ、その意味でもお遍路さんが歩くことをあまり勧めていないとのことでした。
このような遍路道をどのようにとらえ、今後どのように扱っていくのかは、課題だと感じました。
ということで、林道を抜けて、大瀧寺隣接の「西照神社(にしてるじんじゃ)」の裏参道までたどり着けば、大滝山の山頂付近に到着で、別格霊場最高峰への登山が無事終了です。
※大瀧寺とも由縁が深い西照神社に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
神話時代からの伝説が残る霊峰にたたずむ航海の神【西照神社[別格20番「大瀧寺」隣接]】
ちなみに、西照神社裏参道入口地点から、山の尾根の川県と徳島県の県境を北上できる登山道があり、遍路道の札もかかっていました。
結願の88番札所大窪寺から「夏子ダム」を経由して、別格20番札所大瀧寺に向かう歩き遍路道は、現在はあまりお遍路さんが通らない分、事前の情報収集や安全な歩行に注意する必要があります。
ただし、別格霊場最高峰まで歩いて登れば、すばらしい景色や達成感を味わうこともできると思いますので、このような遍路道の情報発信や今後の使い方に関しても考えていきたいと感じた遍路道取材でした。
【「大瀧寺への遍路道 農道・林道への分岐点」 地図】