【82番札所根香寺】自然とお遍路さんの融合が美しい境内と牛鬼の伝説

山中奥深く美しい緑に囲まれた82番札所根香寺と絵画の世界のような一幕。突然現れた牛鬼の像とその物語。

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季節でさまざまな空気感が期待できる根香寺の自然美

根来寺境内

自然との融合が美しい境内

81番札所白峯寺から82番札所根香寺に向かう道中では下り坂が続き、体力的にも負担が少なく到着することができる。

根香寺は五色台の山上にあるお寺。本堂まで辿り着く動線では、山奥にひっそりとある雰囲気がただよい、松と紅葉の並びがより一層自然景観の美しさを引き立てるとても素敵なお寺。紅葉に囲まれているその自然環境から、秋の紅葉がいかに美しく色付くものか想像力がかきたてられる。山奥らしくとても静かな環境で聞こえてくる鳥の鳴き声や、木の葉が揺れる風の音の重なり。それらが会話しているような雰囲気すら感じさせられる。

根香寺を参拝した後、タイミング的にちょうど団体のツアーグループとすれ違うことがあった。その時すれ違った白装束の人達と木々の緑。それらが融合した風景美がなんとも言えない世界観を作り出していたのが印象的だった。そしてそのような瞬間にも神秘的な何かを感じさせてくれる根香寺の魅力に引き込まれていった。

根来寺の緑

参拝者を包むような自然の緑

 

突然現れた"牛鬼の像"

根来寺の牛鬼

今にも飛びかかって来そうな牛鬼の像

参拝を終えて自転車で出発する前にスナックを食べてエネルギー補給をしていた時、駐車場の奥の方で写真を撮る男性の姿が目に入る。「何を見ているのかな?」と思い、近づいて行くと山奥に大きな妖怪のような像を見つけた。それは"牛鬼の像"。その昔、お寺周辺の村に牛鬼が現れ、村人と家畜を食べ荒らしていて、村人は弓の名手である山田蔵人高清に退治するよう頼んだが、牛鬼はなかなか姿を見せず。根香寺本尊の千手観音でお祈りを重ねる。そうして21日目に姿を現した牛鬼と会うことができ、そして見事討ち取ったという物語。
見た目にも恐ろしい印象を与える牛鬼の像。これほどのインパクトがある像とその背景にある物語も四国遍路の一部なのかもしれない。独自の物語にふれることは言い換えると、独自の生活の環境や、住人の抱える悩みなどが描写されているとも捉えることができる。
お寺の駐車場周辺で睨みを利かせ、参拝者を待ち構えている牛鬼の像。誰にとっても、ここに来たからにはぜひ出会いたいインパクト十分な思い出となるだろう。

 

【82番札所】  青峰山 千手院 根香寺(あおみねさん せんじゅいん ねごろじ)
宗派: 天台宗
本尊: 千手観世音菩薩
真言: おん ばさら たらま きりく
開基: 弘法大師 智証大師
住所: 香川県高松市中山町1506
電話: 087-881-3329

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この記事を書いた人

兵庫県出身で、5歳の時に英国に移住し、2017年より京都を拠点に活動している。訪日外国人対象のツーリストガイド、大手インバウンド旅行会社の運営マネージャーなど、いろいろな観光サービスに従事し、すべての観光客が、本物の日本文化に触れ、特に美しい自然を体験してくれることを望む。