【66番札所雲辺寺への遍路道】雲辺寺ロープウェイから見ることができる景色

四国八十八ヶ所霊場最高所、標高911mに位置する66番札所雲辺寺。その標高からかつては四国遍路有数の難所として知られていましたが、現在はロープウェイが開通しており、それに乗車して見ることができる景色をご紹介します。

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雲辺寺

讃岐始まりの札所であり、四国各國における関所寺の一つ

 

雲辺寺ロープウェイ山麓駅

雲辺寺ロープウェイ山麓駅

お遍路さんと登山客、冬にはスキーヤーも利用するロープウェイ

現在、66番札所雲辺寺へのメインルートとなっている「雲辺寺ロープウェイ」
山上の寺院近くに駐車場がありますが、そこまでのアクセスが狭路かつ厳冬期には積雪がある場所。通年訪れることができるかといえば、そうではありませんでした。

ロープウェイは昭和62年(1987)3月28日に開通。
四季を通じてお遍路さんが安全に訪れることができるようになっただけではなく、冬季にはロープウェイと同じ会社が経営する山上の「スノーパーク雲辺寺」にて、ウインタースポーツが楽しめる場所になりました。冬にはお遍路さんとスキーヤーがロープウェイに同乗する、一風変わった光景を見ることができるのも、この場所ならではです。

 

北側の景色

雲辺寺ロープウェイ 北側

三観(三豊・観音寺)エリア

山麓駅260mに対して山頂駅が917m。高低差657mを7分という短時間で結ぶ雲辺寺ロープウェイ。見所は言うまでも無く「ロープウェイから見下ろす景色」です。
東北西の三方向に視界が広がります。

こちらは北側。三観エリア(さんかんえりあ、三豊市・観音寺市)と呼ばれる、今香川県で最も話題のエリア。

左(西)から瀬戸内海に浮かぶ島は、いりこ漁と瀬戸内国際芸術祭の会場の一つでもある「伊吹島(いぶきじま)」

中央(北)海のそばにある平たい二つの山がある場所が「琴弾八幡宮(ことひきはちまんぐう)」
すぐそばには寛永通宝の巨大な砂絵を見ることができる「象ヶ鼻岩展望台(ぞうがはないわてんぼうだい)」、麓には「68番札所神恵院(じんねいん)」「69番札所観音寺(かんのんじ)」があります。なお寺名は「かんのんじ」ですが、市名は「かんおんじし」と読みが異なります。

その右(東)にあるやや大きな山塊は稲積山(いなづみやま、404m)。その山上にある「高屋神社(たかやじんじゃ)」は天空の鳥居。その北側(見えていない)にある「父母ヶ浜(ちちぶがはま)」は日本のウユニ塩湖。
その先の細長く海へ向かって延びる半島は、浦島伝説が残る「荘内半島(しょうないはんとう)」。先端近くにある「紫雲出山(しうでやま)」は香川県随一の桜の名所。海に浮かぶ桜としてニューヨークタイムズに取り上げられました。
いずれも若者が大勢訪れる絶景スポットとして、今最も話題のエリアです。

 

東側の景色

雲辺寺ロープウェイ 東側

西讃エリア

右(南)の雲辺寺山の続きに鉄塔が立っていますが、この地点から番外霊場・萩原寺(はぎわらじ、別格16番札所)67番札所大興寺(だいこうじ)への歩き遍路道が分岐します。

中央(東)にある台形の形をした山は「象頭山(ぞうずさん)」
♪こんぴらふねふね…♪と唄われる「讃岐のこんぴらさん」があるお山。金刀比羅宮(ことひらぐう)は山の南端東側(右の表)にあるので、この位置は山の裏側。ロープウェイから神社本体を見ることはできません。

中央やや左(北東)にある尖ったり丸かったのお山が続く場所は「五岳山(ごがくさん)」
75番札所善通寺から続く「香色山(こうしきざん、こうじきざん)・筆ノ山(ふでのやま、ひつざん)・我拝師山(がはいしさん、がはいしざん)・ 中山(なかやま、ちゅうざん)・火上山(ひあげやま、かじょうざん)」。五岳山は「屏風浦五岳山誕生院善通寺(びょうぶがうらごがくざんたんじょういんぜんつうじ)」として。我拝師山は72番札所曼荼羅寺(まんだらじ)73番札所出釈迦寺(しゅっしゃかじ)の背後に聳える大師ゆかりの霊山。これらの山々は登山道が整備されていて、五岳山を続けて縦走する登山を楽しむことができます。

この時はやや曇っていてあまり見えていませんが、奥左(北)の島々を眺めているとそれら伝いに大きな橋脚を見ることができますが、本州と四国を結ぶ本四連絡橋「瀬戸大橋」です。

 

西側の景色

雲辺寺ロープウェイ 西側

四国山地の主峰・石鎚山(1,982m)

こちらもやや雲がかかっていますが、それよりも上。高い場所にあるお山が顔を出しています。

山上が平たい台形に見えるお山は愛媛県にある「石鎚山(いしづちさん)」
標高1,982mは近畿以西では最高所。60番札所横峰寺(よこみねじ)の奥の院でもあり、今なお巡礼登山が息づいている信仰のお山として知られる霊山です。

この時は見えていませんが西側のふもとに目をやると、愛媛県四国中央市の製紙工場群に始まり、新居浜市、西条市と瀬戸内海沿岸に工場が立ち並ぶ風景を見ることができます。
当エリアは四国八十八ヶ所の遍路道中では、64番札所前神寺(まえがみじ)から65番札所三角寺(さんかくじ)に向かう道。四国で最も大規模な工場地帯であることから大型車両等の交通量が多く、市街地化されているため古道・遍路道に乏しく、間に札所がないため距離が長い(約50km)。歩き遍路にとってなかなか忍耐が必要な区間です。

 

雲辺寺ロープウェイ山頂駅

雲辺寺ロープウェイ 山頂駅

下界より10度近く下がる

山頂駅の標高は917m。一般的に気温は200mで1度下がるといわれているので、この時は下界では心地良い気温が雲辺寺山上では肌寒い気温。北風が吹くと体感温度は更に冷たく感じられます。

夏は下界が酷暑でも涼しい気温の世界になりますが、冬の山上は基本的に氷点下。雪が積もることがよくありますし、参道の水たまりが結氷していることがあるので、参拝時の足元に注意が必要です。
※雲辺寺ロープウェイ山頂駅に到着してからの見どころに関して、以下リンクの記事に続きます。

【66番札所雲辺寺周辺】お遍路さんに登山、スキーヤーに県境マニア。幅広い人たちを受け入れる札所

 

【「雲辺寺ロープウェイ山麓駅」 地図】

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。