【66番札所雲辺寺周辺】お遍路さん・登山・県境マニアなど様々な人が訪れる雲辺寺山

歩き遍路ではなくロープウェイ利用で66番札所雲辺寺を訪れた時の見所。雲辺寺本堂・大師堂だけで終わってしまってはもったいない。天気が良い時にお山へ来ることができたら、寺院以外の場所も訪れてみましょう。

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雲辺寺ロープウェイ山頂駅 分岐

ロープウェイ山頂駅駅前の分岐点

 

参道沿いの五百羅漢

雲辺寺 五百羅漢

寺院への参道で五百羅漢がお出迎え&お見送り

雲辺寺ロープウェイ山頂駅を出て左へ行くと、66番札所雲辺寺の本堂・大師堂。行きは下り、帰りは上り。すなわち寺院はロープウェイ山上駅よりやや低い地点。雲辺寺ロープウェイ経由で香川県側から訪れた場合は、山の裏側に寺が位置していることになります。
※雲辺寺ロープウェイに関しては、以下リンクの記事で詳しくご紹介しています。

雲辺寺ロープウェイから見ることができる景色【66番札所「雲辺寺」への遍路道】

 

参道両脇にいる石仏は「五百羅漢(ごひゃくらかん)」
五百羅漢とは、お釈迦様の弟子で熱心に講義を聴き「アラハン」と呼ばれる聖者になった者たち。五百(500)という人数は、お釈迦様がご入滅されるた際に集まった人数といわれる。
その後インドから中国に伝わった際に「阿羅漢」と漢字となり、いつしか「阿」の字が取れ、日本に伝わった時には「羅漢」と呼ばれるようになっていました。

様々な表情を見せる羅漢さんたちですが、彼ら500人の弟子の存在が無ければお釈迦様の教えが早い時代に他国へ伝来することはなく、日本においては聖徳太子から奈良の大仏、平等院のような仏教文化が花開くことはなかったかもしれません。

 

今回は寺院へは向かいません。

 

四国全土を見渡すことができる展望台

雲辺寺 毘沙門天展望台

毘沙門天展望台へ

ロープウェイ山頂駅の道を上部(右)へ行くと少し坂になりますが、それを登った先に居るのが「毘沙門天(びしゃもんてん)」「勝負ごとにご利益あり」の仏様で、四国八十八ヶ所では63番札所吉祥寺(きっしょうじ、きちじょうじ)で唯一本尊となっている他、74番札所甲山寺(こうやまじ)大師堂横の洞窟に祀られています。

雲辺寺 毘沙門天展望台 本堂上

本堂の上に見える毘沙門天展望台

こちら雲辺寺では本堂の背後の丘の上に祀られていて、その場所から四国四県全てを見渡すことができる展望台になっています。

この地へは土佐の戦国大名「長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)」も訪れたとされています。
土佐一國を統一した元親は四国統一を目指す過程で雲辺寺に立ち寄り、四国全土を見渡すことができるこの場所で、時の住職「俊崇坊(しゅんそうぼう)」へ自身の天下統一の夢を語る。
住職は元親の持つ国力・器を鑑みて「茶釜の蓋で水桶の蓋はできない」と他国への侵攻を止めるよう言い諭したが、「自身は名工の鋳した蓋」と称して忠告を聞き入れず、阿波を皮切りに讃岐・伊予と侵攻。天正13年(1585)春に一時は四国を統一した。

しかしながら天下は長く続かず、四国統一ほどない頃から羽柴秀吉(豊臣秀吉)の軍勢が四国に上陸。力の差は圧倒的で、同年夏に元親は降伏。再び土佐一國の大名となり、住職・俊崇坊の予言は当たる形となった。その後の長宗我部家の運命は、33番札所雪蹊寺(せっけいじ)にある嫡男(ちゃくなん)・長宗我部信親(ちょうそかべのぶちか)の墓所に記されているように、没落の一途をたどっている。

 

県境マニアさんも注目の雲辺寺

雲辺寺 県境プレート

県境を示すプレートと県境線

「お遍路さんに登山者、スキーヤーが同乗するロープウェイ」
と前項で触れましたが、もう一種族、実数としてはごく僅かでしょうが、一部のマニアさんの聖地として雲辺寺は認知されています。

雲辺寺 県境プレート 徳島県側

寺院の所在地は徳島県

ロープウェイ山頂駅から出たところ。上下の分かれ道がありますが、そこが香川県/徳島県の県境になっています。

すなわち、

66番札所雲辺寺、毘沙門天展望台、五百羅漢など…徳島県
雲辺寺ロープウェイ山麓・山頂駅、スノーパーク雲辺寺…香川県

讃岐國一番札所に数えられる第66番雲辺寺ですが、寺院の住所は徳島県三好市池田町。
古くは「四国高野」と呼ばれるほど隆盛を誇った雲辺寺ですが、札所に番号を振る上で阿波國に含めてしまうと遍路道を最短でたどる上では大きな距離増になる。

10番札所切幡寺→<64km>→雲辺寺→<68km>→12番札所藤井寺
10番から雲辺寺へ行って12番へ戻るとすれば130km余りの距離増。そして一般的には好まれない同じ道の行き来。

その点、

第65番三角寺→<18km>→第66番雲辺寺→<7.6km>→第67番大興寺
愛媛→徳島→香川とはなりますが、順路は自然なものとなり札所間最短距離で進むことができます。

 

世の中には様々なマニアがいますが、県境マニアとすれば歩いて跨げる県境線があって、それが由緒正しき四国八十八ヶ所の寺院…
となれば個性的な県境として申し分無し。絶対数としては多くは無いものの、県境マニアさんが注目している場所なのは間違いありません。

 

なお、雲辺寺ロープウェイを利用する場合は、車両は一般的に国道11号か高松自動車道で愛媛→香川と県境を越えるので、ロープウェイ乗車を経て山頂境内で香川/徳島の行き来だけとなります。

 

【66番札所】  巨鼇山 千手院 雲辺寺(きょごうざん せんじゅいん うんぺんじ)
宗派: 真言宗御室派
本尊: 千手観世音菩薩
真言: おん ばざらたらま きりく
開基: 弘法大師
住所: 徳島県三好市池田町白地ノロウチ763-2
電話: 0883-74-0066

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この記事を書いた人

四国遍路案内人・先達。四国八十八ヶ所結願50回、うち歩き遍路15回。四国六番安楽寺出家得度。四国八十八ヶ所霊場会公認先達。 高松市一宮町で「だんらん旅人宿そらうみ(http://www.sanuki-soraumi.jp/)」を運営。