地元の人には「小松尾さん」の愛称で親しまれる67番札所大興寺では、山門の巨大な金剛力士像と、お大師さまお手植えと伝えられる大カヤと大クスがお出迎えしてくれます。真言宗と天台宗の二宗兼学の歴史がある珍しいお寺です。
四国霊場最大級の「金剛力士像」
66番札所雲辺寺の山の中から下ってきて、のどかな田園住宅地帯の県道240号を進むこと約4km、観音寺市から三豊市に入ったところに67番札所大興寺はあります。
※雲辺寺からの下り遍路道の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【66番札所雲辺寺→67番札所大興寺】雲辺寺からの急坂下り道の先には「おへんろさんの伝言板」
お寺の裏側から、境内をまわりこむように進んでいくと、小さな石橋がある先に山門が見えます。
この山門に安置されている「金剛力士像」は、鎌倉時代にかの有名な仏師「運慶」によって彫られたものと伝えられており、像高314cmで、四国霊場中最大級ともいわれ、香川県有形文化財に指定されています。
お大師さまお手植えと伝えられる大カヤと大クス
境内に入って、木が茂る参道を進んだ先に石段が見えてきますが、その右側に一際目立つ古木があります。
カヤの木は、お大師さまが四国巡錫中にお手植えされたと伝えられ、樹齢約1200年、樹高20m、胸高幹周3.92mの古木で、香川県自然記念物に指定されています。
クスの木は、樹齢700年余、樹高25m、幹囲6.7mで、張り出した何本もの幹・枝がその大きさをさらに際立たせていて、香川県保存木に指定されている、これまた巨大な古木です。
本堂にたどり着く前に、巨大な金剛力士像と古木のお出迎えを受けて、圧倒されながら進む参道が大興寺の見どころです。
真言宗と天台宗の二宗兼学の歴史を持つ珍しいお寺
大興寺の縁起によると、天平14年(742年)ぶ熊野三所権現鎮護のために東大寺末寺として始まったと伝えられ、現在のお寺の場所よりも約1km北西に建立されたといわれています。
元のお寺所在地は、現在は「あみだ地」と呼ばれ、石碑が建立されて、三豊市指定史跡になっています。
その後、弘仁13年(822年)に空海が嵯峨天皇の勅願によって薬師如来を刻んで安置したのが開基とされています。
現在は真言宗の寺院ですが、昔は天台宗の僧坊もあり、二宗が兼学する珍しいお寺だったそうです。
その名残は現在も残っており、本堂右側に天台宗第三祖「智顗(ちぎ)」をまつる「天台大師堂」があります。
地元の人には、山号にちなんで「小松尾さん」の愛称で呼ばれていて、古くから地域に根付いているお寺です。
67番札所大興寺では、お寺入口の巨大な金剛力士像と古木をおがみ、真言宗と天台宗の二宗兼学の歴史に着目して参拝してみてください。
【67番札所】 | 小松尾山 不動光院 大興寺(こまつおざん ふどうこういん だいこうじ) |
宗派: | 真言宗善通寺派 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 香川県三豊市山本町辻4209 |
電話: | 0875-63-2341 |