西予市から大洲市へは「鳥坂峠」を越えますが、旧遍路道の峠道を選択せずに通った「鳥坂トンネル」は、私が遍路道中でもっとも危険だと思ったトンネルでした。遠回りにはなりますが、峠道旧遍路道を進むことをおすすめします。
西予市から大洲市へは「鳥坂峠」越え
この日は、宿泊していた宇和島市街を出発して、朝一番で41番札所龍光寺を参拝し、42番札所仏木寺、43番札所明石寺を経て、「宇和町卯之町」の古い街並みを散策し、国道56号に所々合流しながら旧宇和街道を進んできました。
明石寺から約10kmほど進むと、登り坂が始まり、南予では恒例となった峠越えがスタートします。
この峠は、西予市旧宇和町と大洲市の境の標高470mの「鳥坂峠(とさかとうげ)」で、昔から中予から南予に向かうための街道の交通の要所、かつ峠越えの難所であった場所です。
なかなかたいへんな峠だという前情報はあったので、峠道に入る前にひと休みということで、ベストな位置に設置してくださっている「遍路小屋ひじ川源流の里」に立ち寄りました。
峠越えの前には糖分補給も必須ということで、高知県大月町で購入してた携帯食「晩柑羊羹」を食べて準備万端です。
※大月町の「羊羹」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【道の駅ふれあいパーク大月】大月特産の「柿」と高知・南予ならではの「ひがしやま」の羊羹
【「遍路小屋 ひじ川源流の里」 地図】
この遍路小屋のすぐ先が、国道56号と旧遍路道である峠道との分岐点なのですが、そこに衝撃的な看板が設置されていました。
この日は、ここまでたどり着くのに、「歯長峠」越えを含めた約25kmの歩行と、3札所の参拝をしていたので、この時点で15時を過ぎており、ここから峠道で山に入っていくと日没の不安もあり、私は国道56号のトンネルルートを選択しました。
ちなみに、翌日進んだ先でお会いした歩き遍路さんが峠道を通られたとのことでお話をうかがったのですが、道標がわかりづらいところがあって迷い、しかも足元も悪いところがある難所で、峠を越えて国道56号に戻ってくるのに2時間近くかかったとおっしゃっていました。
これを考えると、私の選択は正しかったように思いますが、この先の「鳥坂トンネル」が、これはこれで難所だったのです。
遍路道でもっとも危険を感じたトンネル
国道56号をそのまま進み、鳥坂トンネルにたどり着きましたが、思わず入口で立ち止まってしまいました。
この鳥坂トンネルは国道56号の一部ですので常に車の交通量が多く、さらに峠を貫く長距離トンネルということで前後に信号や分岐がないため、かなりスピードを出した車が往来しています。
そのトンネルに独立した歩道がなく、側溝の上を歩いていかなければならず、全長1117mで20分ほど歩き続けるので、歩行者の横を走り抜ける車の台数は数えきれないほどで、全遍路道のトンネルの中で、もっとも危険を感じたのがここ鳥坂トンネルでした。
この日通ってきた歯長峠の「通行止め峠道」の迂回路として通った歯長トンネルが、ここまでの遍路道でもっとも危険を感じたはずが、まったく比ではなく、同日すぐに鳥坂トンネルに最危険トンネル記録が更新されました。
※歯長峠の歯長トンネルの様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【42番札所仏木寺→43番札所明石寺】通行止めの「歯長峠」を迂回して「道の駅どんぶり館」でひと休み
峠道旧遍路道は遠回りになる難所ではありますが、鳥坂トンネルの危険度と、旧遍路道を楽しんで歩くということを考慮すると、私は峠道旧遍路道を選択する方がよいと思います。
ただし、峠越えに必要な時間を十分に確保できるように、余裕のあるスケジュールを立てておく必要があります。
鳥坂峠を越えれば、そこは「伊予の小京都」とよばれる「大洲」の街並みが待ってくれています。
※「大洲」の街並みに関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【愛媛県大洲市】肱川(ひじかわ)の流域の盆地に広がる「伊予の小京都」を歩く