57番札所栄福寺を出発してすぐの大きなため池「犬塚池」は、札所間の案内をしていた犬の供養池でもあるそうです。作礼山頂上の58番札所仙遊寺への急坂登山は難所ですが、しまなみ海道一望の見事な眺望を楽しむことができました。
栄福寺からすぐの「犬塚池」は遍路案内犬の供養池
57番札所栄福寺を出発して、58番札所仙遊寺がある作礼山(されいざん)方向に進んでいくとすぐに大きなため池が見えてきます。
この池は文化4年(1807年)に完成した歴史ある池なのですが、名前を「犬塚池」といい、その昔、栄福寺と仙遊寺の札所間の案内をする犬がいたそうで、この犬を供養する意味で名付けられたとのことです。
遍路道中で、池のほとりを歩く道は、わたし的にはとても印象に残っています。
木と水が共存する景色や空気が爽やかで、肌に合うというか、落ち着くというか、苦しい遍路歩きの中で、一時の癒しになっていたような気がします。
ここまでの道中では、愛媛県宇和島市三間町の「中山池」もとてもよい雰囲気でした。
※「中山池」の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【42番札所仏木寺】お大師さまが牛の背に乗って進んだ先には唐から投げた宝珠
標高280mの「作礼山」への急坂登山途中の絶景
犬塚池のほとりを歩いていくと、池に流れ込む小川があり、このあたりから少しずつ登り坂の気配を感じるようになります。
次の58番札所仙遊寺は標高280mの作礼山の頂上にあり、約1kmの距離で標高差200m以上を一気に登る急坂登山の難所なのです。
しばらく進むと、仙遊寺に登っていく舗装路に出て本格的な登り坂スタートですが、これがなかなかの傾斜角度で、足が前に出てくれません。
先ほど栄福寺で遭遇した車遍路さん数組が、既に仙遊寺の参拝を終え、車で下りてくるのとすれ違うのは、精神的にもこたえました。
ただし、仙遊寺への登り坂はつらいだけではありません。
坂の途中で後ろを振り返ると、今治市街と瀬戸内海の絶景が広がっています。
四国愛媛県今治市と本州広島県尾道市を結ぶ橋「しまなみ海道」は、瀬戸内海に浮かぶ島々を橋桁にして、11本の橋をつくってつないでいて、自動車専用道路だけではなく自転車歩行者専用道路も設置されていることが特徴です。
1999年に全線開通し、瀬戸内海の美しい景色を眺めることができる観光地にもなっており、近年ではサイクリングロードとして国際的な認知も高まっています。
しまなみ海道(橋)を眺めるという意味では、ここ作礼山は有数のビューポイントなのではないでしょうか。
また、上の写真の右側の方に今治市街に建つ一際高い建物があります。
これは「今治国際ホテル」で、高さ101.7m(地上23階)で愛媛県で1番高い建造物(四国では第4位)で、今治市のランドマークにもなっています。
今治市街滞在時も、街のどこからも目立っていました。
山登りをしているので当たり前なのですが、高い建物を上から見下ろすのは壮観です。
そして、進まない足に鞭打って舗装路を登り続けると、以下写真の山門(仁王門)にたどり着きます。
車遍路さんは、山門前の舗装路をそのまま通り過ぎて、仙遊寺境内すぐの駐車場まで上がっていくと思いますので、山門からの参道を通るのは歩き遍路の特権です。
ここから、境内までにもお楽しみが待っていますので、車遍路さんと同じく舗装路を進むことなきよう、山門をくぐってお寺を目指してください。
ここからの道のりの様子は、以下リンクの「仙遊寺」の記事に続きますので、ぜひごちらもあわせてご覧ください。
【58番札所仙遊寺】仙人が忽然と姿を消した伝説のお寺にはお大師さまの「御加持水」と天然温泉付き宿坊あり
57番札所栄福寺から58番仙遊寺への遍路道は、距離は3kmほどで短いのですが、たくさんの見どころ・イベントがある道のりです。
急坂登山は苦しいですが、楽しみながら歩いていきたいものです。