【65番札所三角寺】果てしなく続く登り坂のあとに癒しの境内が待つ

65番札所三角寺へのどこまでも続く登り坂は、強いフラストレーションを感じたが、その先で得たものはそれを上回る幸せな気分だった。

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参拝まで終わらない登り坂

ミニベロ遍路 三角寺階段

65番札所三角寺の境内まで伸びる階段

65番札所三角寺は四国八十八ヶ所霊場の中で到着までの道のりが険しく、特に自転車で巡礼を行う人にとっては道中の勾配と長く続く登り坂に悩まされる難所のひとつに数えることができる。
とにかく、登り坂がとてもハードなのだ。まずは寺院がある山頂までの道のり、そこではなかなか先が見えない坂道を何度もギブアップしそうになる気持ちをおさえながら進まなければならないほどの坂道が続く。フラストレーションがたまり、泣きそうになりながら進んだ。
やっとの思いで到着し、駐車場へ自転車を停める。しかしまた、そこから境内までは急な階段を登ってやっと本当のゴールとなる。この日の前日は雨だったため、不均衡で滑りやすい階段をゆっくり登っていった。雨に濡れた石畳はとても美しく、心の余裕があったならば感動するようなビジュアルなのだが、この頃にはそんな気持ちのゆとりさえなくなってしまうほど体力を消耗してしまっていて、その登り坂につらい気持ちだけが先に立った。
だけれども、美しいお庭がある境内でじっくりとしばらくの休息をとると、辺りの静けさや森の香りで徐々に気持ちが落ち着いてきた。境内や本堂の細部をひとつひとつ見てまわっているうちに、不思議と思えるほどにこれまでの疲れがスッと引いていった。

 

立派な桜の木

ミニベロ遍路 三角寺の桜

境内の立派な桜の木

小さな境内に足を踏み入れ、はじめに目に飛び込んできたのが本堂手前の立派な桜の木。竹で支えられ横へと伸びる幹からは、お寺の愛情によってとても大切にされている樹木であることがうかがえる。満開の時期にいったいどれほどまでに綺麗になるのだろうと、しばし見いって春のこの境内を想像してみるとなんだかとても幸せな気分にさせてくれた。

 

色づき始めた樹々たち

ミニベロ遍路 三角寺大師堂

秋の訪れを知らせてくれた樹々

大師堂周辺の樹々が、色づき始めていた。気がつけば10月後半に差しかかり、高度の低い場所ではまだまだ実感がわかなかったがようやく秋が近づいてきたということを教えてくれた。過酷な坂道を登り、緑と自然に囲まれたお寺で秋到来の知らせを受け取り参拝を終えた。
気がつくと、到着した時よりもエネルギーがチャージされたかと思うほどに元気になっていた。なんだかとても幸せな気分になり次の行き先への走行へと気持ちが切りかわった。疲れとその先にある感動の繰り返し、道中で無数に繰り返される感情の起伏、これもまたお遍路の大きな魅力のひとつなのかもしれない。

 

【65番札所】   由霊山 慈尊院 三角寺(ゆれいざん じそんいん さんかくじ)
宗派: 高野山真言宗
本尊: 十一面観世音菩薩
真言: おん まか きゃろにきゃ そわか
開基: 行基菩薩
住所: 愛媛県四国中央市金田町三角寺甲75
電話: 0896-56-3065

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この記事を書いた人

兵庫県出身で、5歳の時に英国に移住し、2017年より京都を拠点に活動している。訪日外国人対象のツーリストガイド、大手インバウンド旅行会社の運営マネージャーなど、いろいろな観光サービスに従事し、すべての観光客が、本物の日本文化に触れ、特に美しい自然を体験してくれることを望む。