【四万十市→土佐清水市】四国遍路の父「真念」ゆかりの「真念庵」と「ドライブイン水車」は足摺岬への中継基地

四万十市から土佐清水市に入ると巨大な道標遍路石があり、ここは四国遍路の父「真念」ゆかりの「真念庵」のある分岐点です。現代の真念庵とも呼べる「ドライブイン水車」を中継基地として足摺岬を目指します。

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高知県にも「大文字の送り火」

この日はゴルフ場遍路宿「土佐ユートピアカントリークラブ」を出発し、入野松原から四万十川を四万十大橋で渡りました。
四万十川沿いをしばらく歩いていると、右手の山に木が刈り取られた一角があり、巨大な「大」の字が浮かび上がっています。

高知 間崎 大文字の送り火

写真はズームアップして撮りましたが、遍路道沿いの遠目からもはっきりと「大」の字が見えます。

山に「大」の字といえば、京都の大文字山の「大文字の送り火」が有名で、それを思い出して調べてみると、ここ高知県の間崎(まさき)地域にも昔から「大文字の送り火」の文化があるのだそうで、毎年旧暦の7月16日(現在の8月下旬頃)にたいまつで「大」の字のたき火を行うとのことです。
起源は、約500年前の室町時代に応仁の乱を逃れて京都から土佐中村に下った一條教房の息子の房家が、教房と祖父兼良の精霊を慰めるために、京都を懐かしんで始めたと伝えらているそうで、歴史の古さでいえば、京都よりも高知の方が先に始まったのではないかという説もあるらしいです。
このような地域の伝統にもいきなり触れられるのが四国遍路道の奥深さです。

 

四国遍路の父「真念」ゆかりの「真念庵」

間崎から国道321号を約4kmほど進み、全長1600mと長い新伊豆田トンネルを抜けると、四万十市から土佐清水市に突入です。
さらにしばらく進むと、道標らしき大きな石があり、地元の方らしきおじさま達がいらっしゃったので、お話することになり、ここが足摺岬方面と、38番札所金剛福寺を打ち戻ってきて宿毛方面に向かう分岐点で、四国遍路の父「真念(しんねん)」ゆかりの地とのことでした。

真念庵 道標遍路石

「真念」のことや古い道標遍路石のことなど、地元の方の歴史解説をしっかり聞かせていただきました。

四国遍路を歩いている方は真念のことはご存知の方が多いと思いますが、基礎知識を少しだけ。
真念は江戸時代前期の土佐出身大坂在住の僧侶で、大坂から四国に渡り巡礼を繰り返し、「四國邊路道指南(しこくへんろみちしるべ)」や「四國偏礼功徳記(しこくへんろくどくき)」など初の庶民向け遍路ガイドブックともいえる書物を刊行し、道標や遍路宿の建立も進め、現代に続く1番から88番までの札所巡礼番号を定めたともいわれています。
遍路の文化価値の向上や大衆化に大きな功績を残したことから「四国遍路の父」「四国中興の祖」などとよばれています。

ここ土佐清水市市野瀬には、真念が建立したとされる遍路宿が番外霊場「真念庵」として今も残っていて、昔は善根宿として、また打ち戻るときの荷物置き場として使われていたそうです。
私が地元の方に話を聞いた道標石から旧道山道を700mほど宿毛方面に進んだところにあるので、私は打ち戻りの際にゆっくり見学と思っていたのですが、諸事情あって足摺岬から打ち戻らず西海岸の大月ルートを選択したので、実は真念庵は訪問せずになってしまいました。
こんなこともあるので、ここまでたどり着いた段階で、少し道をそれることになっても先に真念庵を訪れておくことがオススメします。
私が遍路再訪の際には絶対立ち寄ろうと思っているスポットのひとつです。

 

「ドライブイン水車」は現代の真念庵ともいえる足摺岬への中継基地

道標石から大きな看板が見えている、少し足摺岬方面に進んだところに、遍路休憩所として有名な「ドライブイン水車」があります。

食事や自動販売機での飲料調達はもちろんのこと、立派な公衆トイレとその横に野宿も可能な休憩スペースがあります。

ドライブイン水車 遍路小屋 トイレ

三方が壁で囲まれていて、長いベンチがあり、トイレ・水も完備の環境抜群の野宿スポットです。

金剛福寺から打ち戻ってくる歩き野宿遍路さんは、行き帰り2泊利用することも多いという有名スポットで、昔の遍路さんが真念庵を善根宿として利用していたがごとくの「現代の真念庵」ともいえるありがたい場所で、足摺岬への中継基地になっています。

ドライブイン水車 東屋

トイレ前スペースのほかにも、足を伸ばして休憩できる東屋があり、この区間でよく出会っていた先達さん達も休憩されていました。

 

店名:  ドライブイン水車
営業時間: 8:00~17:00
定休日: 月・火曜日
住所: 高知県土佐清水市下ノ加江1080-3
電話: 0880-84-1211

 

足摺岬の38番札所金剛福寺はまだまだ先ですが、昔の遍路さんも苦労をしていたこと、そして真念さんのように遍路を助けてくれる人々の存在も脈々と受け継がれていることを強く意識しながら、あしずり遍路道をかみしめて進んでいきます。

四国遍路巡礼に
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この記事を書いた人

お遍路さん初心者です。  2015年1月20日(火)に1番札所を出発し、2015年3月1日(日)に41日間で88番札所で通し歩き結願を果たすことができました。 2015年4月12・13日の2日間で、開創1200年で盛り上がる高野山にお礼参りにも行ってきました。 自身の通し歩き遍路体験を元にお役立ち情報を発信しています。