83番札所一宮寺から御坊川沿いを進むルートの途中に、2013年11月に運営を開始した遍路休憩所・善根宿があります。空き家を改築した施設ではありがたいお接待が用意されており、運営者さんのあたたかい心遣いを感じます。
高度経済成長期の歴史を感じる「御坊川」
83番札所一宮寺を出発し、私は北上ルートを選択し、しばらく歩いた先で讃岐の文化のひとつともいえる「朝うどん」を「中西うどん」でいただきました。
※中西うどんの様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【中西うどん】「てぼ」「蛇口」セルフの王道かけうどんの朝食を
中西うどんから遍路道を北上していくと、小さな橋があり、ここで「御坊川(ごぼがわ)」に合流します。
この御坊川ですが、江戸時代に堤防が築かれ周辺に田畑が開かれたところから開発が始まり、昭和初期には上流の豊富な伏流水を活用して流域にたくさんの製紙工場が建てられ、高度経済成長期に工場がさらに増えたほか住宅地としても開発されたことで、汚染が一気に進み問題になっていたそうです。
現在は常に流れる水量が少なく、きれいな川とはいえない状態ではありますが、市街地を流れる川沿いを進む遍路道としては、他の地域では見かけなかった景色を楽しむことができました。
マンションの裏側に遍路休憩所・善根宿
前出の「かみまち中央橋」を渡って、右折し、川の北側を進んだすぐ先に、とても目立つ看板を発見しました。
マンションを通り過ぎた先に石柱道標とさらに目立つ看板があり、これに導かれてマンションの裏側に行きました。
そして出会ったのが、下の写真の建物です。
この休憩所は、この建物の隣にお住まいのお遍路経験者でもあるご夫婦が、空き家を改造して2013年11月に運営を開始されたそうで、宿泊も可能な「善根宿」としても利用させていただけます。
お遍路さん(特に歩き遍路さん)にとって、このような休憩所や善根宿、お接待は遍路旅を続ける大きなサポートになりますし、思い出深い特別な体験にもなりますが、近年では一部のマナーが悪いお遍路さんのトラブルや運営維持・継続を担う人手が足りない、経済的に難しいなど様々な理由で休憩所・善根宿が閉鎖されることも増えていると耳にします。
そのような中で、新しく開設してくださったこのような施設をマナーよく使わせていただくことはもちろんのこと、継続的に何か協力もしていきたいものです。
【「りつりん南 休憩所」 地図】
御坊川沿いをひたすら進み「屋島」を目指す
「りつりん南 休憩所」でありがたく休憩させていただいたあとは、ひたすら御坊川沿いを進んでいきますが、おもしろい道・ポイントがいくつかありました。
さらに進んでいくと、次には川沿いに大きなスーパーやお店がたくさん見えてきます。
「マルヨシセンター」を少し過ぎた先で、次の目的地「屋島」の姿が見えました。
さらに進んでいって、特徴的なお店や史跡を発見。
ここからしばらく国道歩行が続きます。
83番札所一宮寺から84番札所屋島寺に向かう北進ルートは、市街地でありながら御坊川沿いの風情があって変化に富んだ遍路道でした。
途中の「りつりん南 休憩所」は、充実した設備であたたかい心遣いが感じられる休憩所・善根宿ですので、ぜひ立ち寄ってみてください。