86番札所志度寺から87番札所長尾寺へは田園が広がる里道を進んでいきます。アップダウンも少ない癒し系の遍路道には、ほっとする休憩所がありました。
県道3号をひたすら南下する
86番札所志度寺を出発してからは、県道3号を南下していきます。
香川県さぬき市にある86番札所志度寺、87番札所長尾寺、88番札所大窪寺は「上がり3ヶ寺」といわれ、ここまでたどり着ければ、いよいよ結願に向かってクライマックスを迎えます。
県道3号は、交通量が多い主要道路ですが、周辺は山や田畑の景色が広がる里道で、アップダウンも少ないので、のんびりした気持ちで歩いていくことができます。
しばらく進んでいくと、商業施設をほとんど見かけない道なのに大手中華料理ファミリーレストランらしき看板が見えてきました。
夏の時期にはここで桃の直売が行われているようで、この地域の桃園は江戸時代後期に栽培が開始されたという香川県では最古の歴史をもっているそうです。
香川県で桃というイメージがなかったので、意外な出会いです。
冬に巡礼していた私は、残念ながら桃の実食にはありつけませんでしたが。
桃園の隣にある「萩の木地蔵休憩所」
前出の桃の看板が目立っているので見逃しがちなのですが、看板の下にお遍路休憩所があります。
その名も「萩の木地蔵休憩所」で、地蔵堂を休憩所として整備してくださっています。
県道3号のここまでの道のりは、お店などはほとんどなく、休憩スポットも少ない道なので、このような休憩所は貴重です。
桃ばかりに気を取られることなく、ちゃんと休憩所を発見して、お地蔵さまにもお参りしていってください。
【「萩の木地蔵遍路休憩所」 地図】
のどかな川沿いを進む旧遍路道
県道3号をさらに進み「広瀬橋」の交差点を右折して、川沿いの道を進みます。
この道は、ここまでの県道3号とは景色が変わって、さらに田舎の里道の雰囲気が増します。
この旧遍路道を歩いていくと、川沿いにはきれいな休憩所が設置されています。
「上がり3ヶ寺」の遍路道の中でもとても重要な地域なので、自治体を中心にお遍路に対する意識の高さを感じます。
この休憩所のすぐ前に川を渡る橋があり、この橋の名前は「へんろ橋」で、昔から多くの歩き遍路さんがこの道のりを進んでいった様子が思い浮かぶ風景です。
【「へんろ橋 おへんろ休憩所」 地図】
長尾寺の不思議な「東門」
「へんろ橋」を渡ってからは住宅街を歩き、ほどなくして87番札所長尾寺なのですが、遍路道を歩いていると、不思議な門を発見しました。
実はこれは長尾寺の「東門」で、かつてはこれが「正門」だったようですが、現在は裏口のような状態になっています。
この門は、讃岐高松藩主の松平家の別邸であった「栗林(りつりん)公園」の「 嶰の口御門」を移築したものだそうで、史跡として重要な建造物なのですが、今の設置場所は少々違和感があります。
お寺の南側の「仁王門」から境内に入って、お寺の中からこの「東門」もチェックしてみてください。
85番札所志度寺から86番札所長尾寺への道のりは、のどかな田園風景が広がる癒しの里道です。
数少ない休憩スポットでひと休みしながら、のんびり歩いてみてください。