70番札所本山寺には、四国霊場の中では珍しい「五重塔」があり、歩き遍路さんはそれを目印にお寺を目指します。五重塔の下には、戦火を免れた国宝の本堂が鎮座しています。
財田川から見える「仏塔」はもしかして?
69番札所観音寺から次の70番札所本山寺へは、香川県内流域面積第1位の「財田川(さいたがわ)」に沿って進んでいきます。
県道49号を3kmほど進んだところに、私が食事に立ち寄ろうと思った(定休日で入店ならず)「本場かなくま餅 福田」があり、香川県ならではの「白味噌雑煮うどん(あん入り) ※冬季限定」がありますので、もしタイミングがあえば、ぜひ試してみてください。
※「本場かなくま餅 福田」と香川県伝統の「白味噌あん餅雑煮」に関しては、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
香川県讃岐國伝統「白味噌あん餅雑煮」とは?【「本場かなくま餅 福田」「エビスヤ本店」】
「本場かなくま餅福田」を過ぎると、財田川の土手を歩く気持ちの良い遍路道を進みます。
川沿いを歩いていると、進行方向に珍しいものを発見です。
70番札所本山寺がある場所を地図で再確認すると、この仏塔があるあたりなので、あれが本山寺だとあたりをつけて、目印にして進んでいきました。
四国霊場では4ヶ寺にしかない五重塔
財田川の土手を歩くこと約2kmで、70番札所本山寺に到着です。
境内に入ると、やっぱり目に飛び込んできたのは「五重塔」です。
この五重塔は、奈良時代以前の大同4年(809年)に建造され、その後損傷していったため、明治29年(1897年)に住職の頼富実毅(よりとみじっき)が再建に着手し、明治43年(1909年)に完成したそうです。
四国霊場の中で五重塔があるのは、31番札所竹林寺、75番札所善通寺、86番札所志度寺と本山寺の4ヶ寺で、珍しい建造物でもあります。
一般には奈良県「法隆寺」の五重塔が、世界最古の木造建造物として有名で、世界遺産にも登録されていますね。
また、五重塔で特に注目されるのが「耐震性」です。
地震が多い日本において、木造で高層の建造物が多く現存しているのは、地震による揺れを受けづらく設計した「柔構造」の技術を用いているそうで、この原理は現代の高層建築物にも採用されているとのことです。
昔の人達の知恵の深さに驚くばかりです。
五重塔の5段は、下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)を意味し、それぞれが5つの世界(五大思想)を示し、仏教的な宇宙観を表しているそうです。
鎌倉時代建立で戦火を免れた国宝「本堂」
五重塔から目を移すと、そこには本山寺の最大の見どころ、国宝に指定されている本堂があります。
この本堂は、鎌倉時代の正安2年(1300年)に建立され、その後戦国時代の長宗我部氏による天正(1573年 ~1593年)の兵火で多くの寺院が戦火に巻き込まれ、本山寺でも多くの堂塔が被害を受けた中、本堂はそれを免れ、現代に受け継がれています。
本堂にまつられている御本尊は「馬頭観世音菩薩」で、四国霊場では唯一という珍しい御本尊でもあります。
また、大師堂も寛政7年 (1795年) 建立、明治16年改修の入母屋造屋根の三間堂で、趣があり、国の登録有形文化財に指定されています。
このほかにも、多くの重要文化財や有形文化財があり、広々した境内は見どころ満載のお寺でした。
70番札所本山寺には、遠くから見える五重塔を目印に進んでください。
国宝や重要文化財がたくさんあるお寺なので、ゆっくりと散策されることをオススメします。
【70番札所】 | 七宝山 持宝院 本山寺(しっぽうざん じほういん もとやまじ) |
宗派: | 高野山真言宗 |
本尊: | 馬頭観世音菩薩 |
真言: | おん あみりとう どはんば うん ぱった そわかおん あろりきゃ そわか |
開基: | 弘法大師 |
住所: | 香川県三豊市豊中町本山甲1445 |
電話: | 0875-62-2007 |