45番札所岩屋寺参拝後の遍路道でも、昔の修行場の名残を残す甌穴があり、一木造りの見事な「不動明王」を拝むことができます。久万高原町中心街に戻るために進んだ「千本峠」ではまさかの迷い道のトラブル発生でした。
古岩屋の甌穴には「不動明王」
45番札所岩屋寺で昔の山岳修行の様子を想像させる岩山に圧倒され、車遍路さんの難所である長距離参道を下って、久万高原町中心街方向への戻り道のスタートです。
1.5kmほど遍路道を進むと「古岩屋(ふるいわや)」というエリアに出ます。直瀬川沿いに連なる円錐状の岩峰が美しい景勝地で、岩肌が水に浸食されて無数の穴が空いていることから「古」がつく地名になったそうです。
この川沿い旧道に、見逃せない立ち寄りスポットがあります。
遍路道を歩いていると、お堂があり、案内板に従って川の対岸の岩峰を見ると、以下写真のびっくり体験です。
この大きな甌穴は昔から修行の場とされていたそうで、修験者の創作とみられる不動明王がまつられていましたが、老朽化が進み、昭和50年に地元の方々の浄財で製作費約2100万円を集め、樹齢約500年のカヤの巨木1本から彫像した不動明王を安置したそうです。
高さは5mを超えるそうで、一木造りの巨大な不動明王はたいへん珍しいこともあり、地元の方々の信仰を集めているとのこと。
歩きでないと見つけられない場所にあるので、歩き遍路さんにはぜひとも拝んでいただきたいお不動さんです。
この古岩屋エリアには、お遍路さんがよく利用する宿泊施設「国民宿舎 古岩屋荘」があり、山ならではの名物「キジ」「イノシシ」の料理を味わうことができたり、天然温泉の岩風呂で疲れを癒したり、評判の良い宿です。
温泉は日帰り入浴も可能なので、八丁坂から岩屋寺への修行道歩行の疲れをとるために立ち寄るのもよいかもしれません。
※参考に施設詳細情報のリンクをはっておきます。
|
ちなみに、野宿遍路さんはこの古岩屋荘の敷地内にある東屋・トイレの休憩所があり、そこで野宿も可能です。
お風呂は日帰り入浴を利用すればよいので、環境のとてもよい野宿スポットでもあります。
昔の遍路宿密集地「河合」から「千本峠」越え
古岩屋から林道に入っていくとほどなくして、「八丁坂」の入口にたどり着き、ここからは行きで通ったルートを打ち戻りになります。
八丁坂から更に3kmほど進むと、通ってきた県道12号と県道153号・県道209号が複雑にからむ交差点があり、行きの時は気がつかなかった「住吉神社」の裏側をまわる旧道への道標があったので、それに従って進んだ先に「河合休憩所」がありました。
この休憩所がある「河合」の集落は、昔は遍路宿が15軒も立ち並び、春のピーク時には一晩で300人を超える宿泊客があったそうで、岩屋寺からの打ち戻り拠点として、荷物を預けてお寺に向かうお遍路さんが多かったそうです。
「河合休憩所」から県道12号に戻ると、県道を渡った向かい側に道標があり、山に登っていく方向に「千本峠」があり、地図を見るとここを通るとショートカットして次の46番札所浄瑠璃寺方面に抜けられるようなのです。
打ち戻り区間のある舗装路を歩くよりも、少々しんどくても未舗装峠越えに挑もうと決意し、こちらの道を進んだところ、私はたいへんな目に遭ってしまいました。
このルートは、2012年から2013年にかけて倒木で通行止め区間ができたほど整備状態がよくないようで、遍路地図「四国遍路ひとり歩き同行二人」の最新10版には遍路道としては記載されていない道だったのです(遍路後に知りましたが…)。
「四国のみち」でもあるので、道標はところどころにあって、それに従って進んだはずなのですが、一向に峠の頂上に着くことはなく、ぐるぐる山の中をさまよう迷子状態になってしまいました。
この山の中は、木材伐採用の林道がたくさん通っていて、分岐が多いので、本来のルートをそれるリスクがとても高いです。
迷いに迷って進んでいった先は、素直に県道12号の舗装路を進んでいたときに通る道に合流するというショックな結果でした。
結果、1時間近く山の中でトレーニングして戻ってきた感じです。
南予の峠越え続きで、ただでさえ体力消耗が激しいときに、この苦行は余計でした。
私がもし再度遍路旅をする機会があれば、リベンジしたい遍路道No1が「千本峠」になりました。
もし千本峠ルートの選択を検討している方がいらっしゃったら、普段よりも道の分岐に注意された方がよいと思います。
山岳修行の難所45番札所岩屋寺にたどり着けてほっとしたのも束の間、打ち戻りの変化の少ない道のりのはずが、良くも悪くもイベントがたくさんあった変化に富んだ遍路道になってしまいました。
鴇田峠越えから始まって、いろいろあった久万高原の遍路道をあとにし、愛媛県最大都市「松山市」を目指します。