59番札所国分寺は、遍路旅で「国分寺」と名の付く3カ寺目で、他県の国分寺と同様、元は国府があった場所にあるお寺です。境内ではお大師さまと握手ができて、薬師如来さまの薬壺に病気回復の祈願ができるという体験型のお寺でした。
作礼山を下山して住宅街を進む
58番札所仙遊寺は作礼山(されいざん)の山頂にあるので、次の59番札所国分寺へは山を下らなければなりません。
57番札所栄福寺からの急坂登りは車も通る舗装路中心の道でしたが、国分寺方面の下り道は、山門のところから未舗装遍路道を1km弱下っていくことになります。
※仙遊寺への登り道とお寺の様子は、以下リンクの記事もぜひご覧ください。
【57番札所栄福寺→58番札所仙遊寺】遍路案内犬の供養池「犬塚池」を通り、作礼山から今治市街としまなみ海道を一望
【58番札所仙遊寺】仙人が忽然と姿を消した伝説のお寺にはお大師さまの「御加持水」と天然温泉付き宿坊あり
山を下り終えると、ここから国分寺までの約5kmは住宅地を歩いていきます。
こんな昭和な雰囲気を残す住宅地から、JR伊予富田駅付近の商業地帯を線路に沿って歩けば、ほどなくして59番札所国分寺に到着です。
伊予の国府跡に建つ「伊予国分寺」
59番札所国分寺は、遍路旅で「国分寺」と名の付く札所の3カ寺目になります。
阿波の国分寺、土佐の国分寺を参拝してきましたが、縁起は同じく、奈良時代に聖武天皇が各国に国分寺建立の詔を発したことにより創建されたお寺で、奈良時代から平安時代にかけてはこの地域に伊予の国府が置かれ、政治の中心地でした。
創建時に行基菩薩が彫像したとされている御本尊の「薬師如来像」は、今なお本堂に安置され歴史を伝えているそうです。
お大師さまと握手をして、薬師のつぼに病気回復を祈願する体験型のお寺
国分寺境内には、珍しいものがふたつあります。
まずは写真にてそのふたつをご覧ください。
まずひとつめが、握手ができる「修行大師像」です。
お大師さまが右手を差し伸べてくださっていて、参拝者が握手をすることができます。
写真のお大師さまの右手をよく見ていただくと、かなり黒くなっていて、多くの人が握手したのだと思います。
ふたつめが「薬師のつぼ」で、国分寺の御本尊でもある「薬師如来」は人々の病苦から救う医薬の仏とされていて、仏像の多くは左手に薬壺(やっこ)を持たれていて、そのつぼに境内で触れることができるようにされています。
写真のつぼをよく見ていただくと、「目」「頭」など体の部位名が彫られていますが、自分が不調な部位名をさすりながら祈願すると病苦快方のご利益があるそうです。
札所で、このように何かに触れて祈願をするような機会は多くないので、実際に体験しながら祈願をすると印象にも残ると思います。
最後にさらに注目していただきたいのが「手水舎」です。
手水舎はお寺によって形態が様々で、私は札所に行くたびに意識してチェックし楽しんでいたのですが、ここ国分寺の手水舎は強烈に記憶に残っています。
59番札所国分寺は、奈良時代から伊予の中心地の役割を担った由緒正しきお寺で、その歴史を感じるとともに、境内では見て触れて祈願する体験を楽しんでみてください。
【59番札所】 | 金光山 最勝院 国分寺(こんごうざん さいしょういん こくぶんじ) |
宗派: | 真言律宗 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 愛媛県今治市国分4-1-33 |
電話: | 0898-48-0533 |