18番札所恩山寺は、弘法大師空海の母「玉依御前」ゆかりのお寺です。門前では立派な修行大師像がお出迎えをしてくれ、お寺前後の歩き遍路道は、昔ながらの風情が残る未舗装路で、牛舎など私有地を通らせていただくのも貴重な体験です。
女人禁制のお寺に母を迎える
18番札所恩山寺は、奈良時代に聖武天皇の勅願で、行基菩薩が薬師如来像を安置し、災厄悪疫を救う女人禁制の道場として創建されたとのことです。
延暦年間(782〜806年)に、空海がこの寺で修行をしていた際に、母の「玉依御前(たまよりごぜん)」がこの地に訪ねてきましたが、女人禁制のためお寺に入ることができませんでし。空海が17日間滝に打たれる修行により秘法を修め、女人解禁の祈願を成就したことにより、母を迎え入れることができたといいます。
母は剃髪をして、その髪を奉納されたことから、空海が山号寺名を「母養山恩山寺」と改めたそうです。
お母さん想いのお大師さまのエピソードに、ほっこりした気分になります。
お大師さまに後ろから「こんにちは」
お寺の入口には、立派な修行大師像がたっており、お母さんとのエピソードと合わせて、お大師さまに想いを馳せるのですが、歩き遍路さんはこのお大師さまに後ろからご挨拶することになるのです。
恩山寺手前にある道案内版が以下の写真ですが、歩きは舗装路に沿った山斜面の未舗装路を進みますが、お寺入口で舗装路と未舗装路が相対して合流する形になっており、お大師さまの後ろ姿をみつめながらお寺に入るのです。
あとの時代からできたものは、歩き遍路さんメインにはなっていませんね。でも、後ろ姿を眺められるのもなかなかよいものではあるのです。歩き遍路の特別感を味わうことができます。
牛舎?私有地?
さらに先ほどの案内板で注目すべきところがもうひとつあるので、もう一回写真を見てください。
なんと、「牛舎」「私有地」の表示があり、「歩き遍路道の黄色の区間は地元樋冨様の私有地です。牛の伝染病対策として牛舎に近づかないよう通過下さい」とのこと。
歩き遍路ならではの希少体験に、お寺のあとの道が気になって、参拝がおろそかになりそうでした。
参拝後、お寺からすぐの実際の牛舎は以下の写真です。
牛舎通過後の竹林やみかん畑の畦道など、とても風情があってよい遍路道なので、写真でご紹介。
この道は、歩き遍路を気軽に体験するのにちょうどよいなと思っていたら、ウォーキング大会らしき隊列とすれ違い、皆さんとご挨拶。
みかん畑の先の畦道沿いの家からは、あめちゃんのお接待。
お遍路文化が定着していて、歩き遍路をしていることを実感できるとてもありがたい道のりです。
18番札所恩山寺では、お大師さまの母とのエピソードを学びながら、お寺前後の歩き遍路道を存分に堪能してください。
【18番札所】 | 母養山 宝樹院 恩山寺(ぼようざん ほうじゅいん おんざんじ) |
宗派: | 高野山真言宗 |
本尊: | 薬師如来 |
真言: | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
開基: | 行基菩薩 |
住所: | 徳島県小松島市田野町字恩山寺谷40 |
電話: | 0885-33-1218 |