12番札所焼山寺への輪行によるアプローチ。鴨島駅からJRを利用し、その後路線バスで神山町の神山温泉を経由して、12番札所へ向かう。これを実際に試してみた。
鴨島駅から神山町および山の上に位置する12番札所焼山寺への乗り継ぎとアプローチ方法
鴨島駅で自転車を折りたたみ、輪行を開始。
※鴨島駅での準備の様子は以下リンクの記事で紹介。
【折りたたみ自転車の特性】12番札所焼山寺へ輪行による公共交通機関利用に挑戦
この日利用した公共交通機関の
注意:以下は、2020年9月30日現在、かつ平日の時刻表に基づいているため、この方法・ルートを利用される場合には、その時点の時刻表情報を事前確認することをおすすめする。
1.JR特急: JR鴨島駅 09:30発 → JR徳島駅09:47着
2. 徳島バス(神山高校行き): JR徳島駅 10:15発 → 神山温泉前 11:12着 *徳島駅前からはバスターミナル13番乗り場
1.JR特急: JR鴨島駅 09:30発 → JR徳島駅09:47着
JR鴨島駅から予定通りJRへ乗り込み徳島駅で下車。しっかりしたつくりのTyrell「IVE」、小さくまとまっても持ち運ぶ時はやはりそれなりの重さを感じるが、とはいえ成人であれば十分に持ち運ぶことができる。
2.徳島バス(神山高校行き):JR徳島駅 10:15発 → 神山温泉前 11:12着
神山温泉前のバス停でバスを降り、ミニベロを組み立てる。そこから本日宿泊の神山温泉まで。ほんの数分で到着したが、到着が昼前でチェックインできる時間まではまだ少し余裕があったため、ひとまずお宿に自転車だけを預かっていただき、すぐ近くにある焼肉屋梅里さんで少し早めの昼食で焼肉定食をいただき、大切な体力の充電チャージ。
お宿へ自転車を預けてからは、自転車のない状態で、つまり久しぶり(?)に徒歩による移動と散策となる。ここ神山町では、町民の足として活躍している町営バスを利用させていただき、目的地である12番札所焼山寺を目指す。
神山町営バス(神山高校行き)
神山温泉前12:30発 → 寄井中(よりいなか)12:37着
↓
(乗り継ぎ)
↓
神山町営バス(焼山寺行き)
寄井中13:00発 → 焼山寺13:10着
焼山寺停留所から焼山寺までの山道登山
神山町営バスの焼山寺停留所から12番札所焼山寺までは、ふたつのルートから選択が可能。もし自転車でトライするのであれば、舗装路である車道ルートとなるが、自転車のない気軽さを生かし、歩き遍路道である山道ルートを選んだ。舗装路では自然道とはなるが、舗装路を行く場合と比べると距離も短くてすむ。
- 車道ルート:約5km(舗装路を登るため、もし自転車でトライするのであればこのルートとなる)
- 山道ルート:約3.2km(登り徒歩約60分、下り徒歩約60分)
山道ルートのところどころにある石畳には苔が生え、要所要所で昔からの風情を醸し出す道しるべの石柱に出会う。スギ林の遍路道を抜けると小さな集落を通る。少し視界がひらけた箇所では、静けさの中で鳥のさえずりだけが耳に聞こえてきた。山の上であることから、下界と比べると気温はさほど高くはなかったが、それでも上り坂で汗をかく。途中、すだちジュースの無人販売所があり、喉を潤した。3%という果汁率表示に一瞬残念な気がしたが、よく考えるとすだちの100%では確かに少々困る。何はともあれ土地が与えてくれる恵みに感謝となった。
12番札所焼山寺に到着
汗をかきながらようやくたどり着いた12番札所焼山寺。境内にはいくつもの大杉がそびえ、まるで神社のような佇まい。神秘的な雰囲気に包まれている。自転車四国一周遍路で出会ういくつかの山場のひとつだが、どんな手段であれたどり着いたときに一種の達成感を得ることができるロケーションに佇んでいるお寺。標高のせいか下界と比べ気温が低く、参拝後にしばしゆっくりと境内を散策すると、汗をかいていた身体が冷え込んできた。朝夕の参拝時には、何か1枚羽織るものを持っていくことをオススメする。荘厳な雰囲気を放つ境内でしばし時を過ごし、もと来た山道を下った。湿気の多い杉山の中に伸びる山道は、苔むした石が時々足元を滑らせる。数百年前の人々は、やはりわらじの様なもので旅をしたのだろうか。
焼山寺参拝後は神山温泉へ
町営バス
焼山寺バス停16:31発 → 寄居中16:44着
(乗り換え)
徳島バス
寄居中16:54発 → 神山温泉前16:59着
神山町はIT企業やアーティストの積極誘致でよく知られているが、若い世代の移住者がたくさん集まっている注目度の高い地域だ。その効果の一部として、環境に配慮した持続可能なライフスタイルや地域の仕組みに対する意識が高い人達が運営するレストランやカフェなどが多数見られ、クラフトビールやコーヒーなどとても美味しいものに出会える。この規模の町で出会えるものとしてはかなり高レベルなクオリティーで、なんだか山の上のオアシスの様な町だ。ゲストハウスも点在するため、もし関心があって時間が許すのであれば、しばしここへ滞在してみるのも一案だ。
このように山の上の難所である12番札所焼山寺に公共交通機関を利用してアプローチに成功した。自身の体力や、その日の体調・天候などの事情を考慮して、複数のルート選択肢を検討するのも遍路旅のひとつのスタイルだと思う。