四国八十八ヶ所霊場札所間最長距離である37番札所岩本寺から38番札所金剛福寺へ向かう道の途中の橋の下に川が流れているのですが、この水は本来はこの場所に流れてくることのない最後の清流「四万十川」の水なのです。
37番札所岩本寺を出て片坂を下って、佐賀温泉こぶしのさとさんを過ぎて、伊与木川沿いをしばらく歩いたところ。(同様の景色は多数存在しますが)何の変哲もないコンクリート橋に差し掛かります。
—– こちらの記事に登場する主な地名・単語
第37番岩本寺 (だい37ばんいわもとじ)
第38番金剛福寺 (だい38ばんこんごうふくじ)
伊与喜(いよき) →河川名称は伊与木川(いよきがわ)
市野々(いちのの)
黒潮町(くろしおちょう)
渡川(わたりがわ)
四万十川(しまんとがわ)
伊与木川・市野々川の合流点
伊与木川と市野々川が合流する地点。
来た道を振り返ったところ。 →第37番岩本寺方向
どちらの川も清冽な流れです。
流れ込む市野々川の上流に目をやると、土佐くろしお鉄道・中村線の橋脚がこの川を跨いでいます。/p>
市野々川の上流にある発電所
市野々川の上流をカーナビで見てみると、 "発電所" の地点登録が見えます。
その発電所と記された場所にやってきました。送電線や変電所、斜面に導水管が見えます。
設備の様子から、水力発電所です。
四国電力佐賀発電所
戦前の電力増強のため、国策によりこの場所に水力発電所が設置された。
当時の名称は "渡川水力"
渡川は四万十川の旧称。その名前から察する通り、この水力発電に用いる水は四万十川から流れて来ているのです。
水が流れ落ちる際に発生する力でタービンを回して発電を行う方式が、水力発電。
高い場所から低い位置へ水が流れる仕組みが必要だが、この土地の場合、四万十川が流れる高南台地の標高が高く、ふもとの佐賀は海沿いで標高が低いので、ポンプで揚水する必要が無い。
地形を上手に利用した発電方法と言える。
その反面、四万十川に堰を設けることとなり、本流は水を抜かれるので水質の悪化や生態系への影響が懸念されるため、必ずしもエコということではない。
人間が生きる上で完全に自然に迷惑をかけない暮らしはなかなか難しいのでしょうが、その心掛けだけでも持っていたいですね。
発電に用いられた四万十川の水は そばを流れる市野々川に放水され、すぐに伊与木川に合流した後 ほどなくして太平洋に注ぐ。この一部分にだけ四万十川の水が流れているのは、そのような理由によるものです。
※取水を行う「佐賀取水堰」に関しては、以下リンクの記事で詳しくご紹介しています。
【佐賀取水堰】清流四万十、本流にダムの無い川だというのは本当なのか
37番から38番の間に位置
この交差点を右に曲がると佐賀発電所。
案内看板は一切なく、さきほどの場所に行ってもこのことが記されているわけではないし、清流・四万十川が垣間見れるわけではないので、寄り道の必要性はあまり高くない場所ではある。
真っ直ぐ、もしくは左折して橋を渡って国道56号沿いに歩くと、土佐くろしお鉄道・伊与喜駅に到着。区切って列車で移動やお手洗いを借りることができます。
【「佐賀発電所」 地図】